2017年12月26日火曜日

《離島防衛にF53B》先島、大東で運用「短距離離陸型」防衛省が導入検討

《離島防衛にF53B》先島、大東で運用「短距離離陸型」防衛省が導入検討
〈琉球新報2017年12月25日 1面〉


防衛省が将来的に海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦で運用することも視野に、短距
離でで離陸できるF35B戦闘機の導入を本格的に検討していることが24日、政府関係者へ
の取材で分かった。既に導入を決めた空軍仕様のF35A計41機の一部をB型に変更する案、
別に追加する案があり、来年後半に見直す「防衛計画の大綱」に盛り込むことも想定して
いる。


【「空母」保有も構想】
護衛艦であってもF35B戦闘機を搭載すれば軍事的には「空母」と位置付けられ、自衛のた
めの必要最小限度を超えるため攻撃型空母を保有することは許されない、としてきた政府
見解との整合性が問題となる。アジア各国が強く反発することも予想される。
加速する中国の海洋進出への対処が目的で、当面は滑走路が短い南西諸島での運用を想定
し、将来的にヘリ搭載型護衛艦を改造するか新造する。
F35Bは空自が導入するA型の派生型で、米海兵隊に配備。空母よりも甲板が狭い上陸作戦
用の強襲揚陸艦に搭載するため、短距離で離陸でき、オスプレイのように垂直着陸が可能。
高度なステルス性を備えている。
防衛省はF35B導入で宮古、石垣、与那国島のほか、南・北大東島の各空港も空自戦闘機に
よる警戒監視活動に使用でき、活動範囲が拡大するとしている。実際にどの空港を使うか
は地元と協議するとみられる。
さらに将来、ヘリ搭載型護衛艦「いずも」「かが」などの艦首を、戦闘機が発艦しやすい
スキージャンプ台のように改修、甲板を耐熱塗装する。航空燃料タンクや弾薬庫を増設、
整備、管制機能を改造するなどとしてF35Bを搭載できる「軽空母」として運用する構想が
あるほか、強襲揚陸艦を新造する案もある。
尖閣諸島をはじめとする南西諸島で、空自戦闘機が離着陸できる長さ3千メートル級の滑走
路があるのは、下地島空港だけ。しかし、同空港は1971年、国と当時の琉球政府が締結し
た覚書で民間機以外は使用しないとされている。


《専守防衛 逸脱の恐れ》F35B導入検討『「空母」保有、アジア警戒も』
防衛省が将来的に「空母艦載機」としての運用を視野にF35B戦闘機の導入を検討している
背景には、中国の海洋進出、軍拡に対する危機感があるためだ。しかし、空母を保有すれ
ば、戦後日本の基本方針である専守防衛を逸脱してしまう恐れがある。


中国は近年、東シナ海から太平洋へと海空軍の海洋進出を加速、南シナ海では埋め立てで造
成した人工島を拠点に活動を活発化させている。
軍備面でも、ウクライナから購入して改修した初の空母「遼寧」が日本近海や南シナ海を航
行。4月に初の国産空母が進水、3隻目の空母も建造中とされる。
尖閣諸島問題などで対立が深まる中、防衛省・自衛隊には「中国の軍備増強がこのまま進め
ば、南西諸島周辺の制空、制海権確保が困難になる」との強い焦りがある。
政府は一貫して「自衛のための必要最小限度を超えるため、攻撃型空母の保有は許されない」
としてきた。だが、艦首から艦尾まで甲板が貫く海自の護衛艦に戦闘機を搭載すれば、世界
から日本が「軽空母」を保有したとみられるのは間違いない。
政府は「離島防衛のため」「艦隊防衛用」と説明、攻撃型ではなく防御型と主張するだろう
が、軽空母であっても、適地攻撃に使用するなど専守防衛を逸脱する運用が可能なことは明
白だ。アジア各国は強く警戒するだろう。
集団的自衛権の行使容認を含め、自衛隊の活動範囲を一気に広げた安全保障関連法が成立し、
装備面でも政府はほとんど議論のないまま次々と最新型の導入を決めている。敵基地攻撃も
可能な長距離巡行ミサイルも2018年度予算案に盛り込んだ。

北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出を追い風として、自衛隊の装備を無制限に増強
し、専守防衛をなし崩しにすることは許されない。

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