2017年12月16日土曜日

《学校上空は「経路」》海兵隊、逸脱を否定「日米合意では【回避】」

《学校上空は「経路」》海兵隊、逸脱を否定「日米合意では【回避】」
〈琉球新報2017年12月15日 1面〉


13日午前に宜野湾市の普天間第2小学校の運動場に米海兵隊普天間飛行場所属の CH 53 E
ヘリコプターの窓が落下した事故に関連して、在沖米海兵隊は14日、小学校の上空を米軍
機が飛行することが、日米間で確認された経路を逸脱し合意違反にあたるとの指摘につい
て「海兵隊の運用は日米間の合意に沿って行なっている」と述べ、合意違反との指摘を否
定した。一方、県は普天間第2小学校上空の飛行は合意違反に当たるとの認識を示している
ほか、同小の喜屋武悦子校長も米軍が今後学校の上を飛行しないと確約しない限り、事故
現場の運動場は使用できないとしており、教育関係者らが反発している。


【県警、事故機を調査】
翁長雄志知事は14日、事故を受けて上京し、防衛省や在日米国大使館などへ、過去1年に米
軍機の墜落や事故が相次いでいると抗議し県内の全米軍機の飛行停止を求めた。県警は同日、
普天間飛行場内に入り、米軍立会いの中で窓が落下した事故機を調査した。
在沖米海兵隊は「合意違反」の有無を問う琉球新報の質問に「海兵隊の飛行訓練は2国間の
協力協定と沖縄全体の安全を支えるため、日米両政府の間で過去に合意した訓練区域で実施
している」と回答した。
普天間飛行場を離着陸する経路は2004年の米軍ヘリ沖縄国際大墜落事故を受け07年に日米
で再検討した。その際確認した飛行経路は普天間第2小学校の上空を避ける形になっている。
さらに1996年に日米が合意した普天間飛行場の航空機騒音規制措置は場周経路の設定につい
て「学校、病院を含む人口稠密地域を避ける」としている。ただ「できる限り」との但し書
きがあり、米側はこの文言を根拠に合意違反を否定した可能性がある。
事故を受け来県した福田達夫防衛政務官は14日、富川盛武副知事との会談で飛行経路につい
て「既に合意がある」と述べ、米軍は合意を順守し同小上空の飛行を避けるべきだと認識を
示した。
富川副知事は会談後、記者団の取材に普天間第2小学校上空の飛行は「約束違反、合意違反
だ」と強調した。


《経路守る研究開始》米軍、順守要請に回答
〈琉球新報2017年12月15日 2面〉


宜野湾市の普天間第2小学校に米海兵隊普天間飛行場所属の CH 53 E 大型輸送ヘリコプターの
窓が落下したことを受け防衛省の福田達夫政務官が14日来県し、県や学校、米軍の関係者と面
談をした。福田氏は米海兵隊太平洋基地司令官のボール・J・ロック准将に、学校上空を飛行
しないとして日米合意した「場周経路」を守るよう求めた。ロック氏は「合意があり、その中
で最大限の努力する。そのための研究を始めている」と述べたという。
場周経路については、「できる限り」との言葉があるため、政府側は実際に学校上空を飛行し
ても黙認してきた。福田氏は「『出来る限り』(に込められた最小限抑制すると意味)が今回
の件でももうちょっと上がったと、ロック准将との合意ができたと述べ、米側の理解を得られ
たと強調した。
福田氏は、小学校の落下現場も視察し喜屋武悦子校長と面談したほか、富川盛武副知事、佐喜
眞淳市長とも会談。佐喜真市長は「今の状態では全機種、飛行停止してもらいたい。そんな思
いだ」と訴えた。
喜屋武校長が学校上空の飛行禁止を求めたのに対し福田氏は「(事故は)あってはならないこ
とだ。申し訳ない」と述べるにとどめた。


【「できる限り」が元凶】
米海兵隊が本誌取材で、ヘリの飛行経路の日米合意逸脱を否定したのは、合意にある「但し書
き」を最大限活用した解釈運用にほかならない。日米合意の騒音規制措置は、学校や病院など
人口密集地域を「できる限り」避ける例外規定があり、これを隠れ蓑に米軍はやりたいように
運用できるのが実態だ。米軍の運用に任せている限り、学校上空を飛ぶ現状は変わらない。
協定の抜け穴は飛行経路だけではない。夜間までの米軍機の騒音が、米空軍嘉手納基地の周辺
住民や、やんばるの米軍ヘリ発着場周辺の住民を悩ませている。
協定では午後10時から翌午前6時までの飛行と地上の活動は禁止と定めているが、これも「米
国の運用上の所要のために必要と考えるもの」に制限されるとの但し書き付きだ。この抜け穴
によりオスプレイが深夜も飛行を続けても協定違反とされない。
普天間第2小米軍ヘリ窓落下事件を受けて来県した福田達夫防衛政務官は、在沖米軍ナンバー2
との会談で「そもそも場周経路から外れてる」と経路の逸脱を指摘した。日本側としても経路
逸脱を問題したことの表れといえる。
たが返答は「合意の中で最大限努力する」。小学校の上空を飛ばさないという担保について福
田氏は「信じている。それが合意に基づいてやっていくということだ」と述べるにとどめた。

「信じる」だけで実行されるならすでに実現しているはずだ。相手の「善意」に頼るのではな
く、但し書きによって空証文となっている協定ではない、嘉手納町など地元が求めてるような
例外なき新たな協定の締結が必要だ。

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