2017年12月5日火曜日

《辺野古弾薬庫 建て替え》年明け着工「米軍再編に明記なし」

《辺野古弾薬庫 建て替え》年明け着工「米軍再編に明記なし」
〈琉球新報2017年12月3日 1面〉

日米両政府が年明けにも名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ北側に接する辺野古弾薬庫4棟の建て替えを始めることが2日、分かった。日本政府が約20億円を負担する。防衛省は2006年の米軍再編ロードマップに盛り込まれたシュワブ内の施設再編成の一環としてるが、合意文書に辺野古弾薬庫の再開発は明記されていない。シュワブ陸上部の再編成に合わせて弾薬庫再開発も組み込んだ格好となる。

【日本は20億円負担】
基地機能強化につながる弾薬庫の再開発が、本来は「地元の負担を軽減」を掲げる再編合意盛り込まれたことになり、県民からの反発が予想される。
防衛省によると、11月9日の日米合同委員会で辺野古弾薬庫の一部となる4棟、計 2100平方メートルを解体することに合意した。解体場所は大浦湾に面する区域の中央部あたりで、年明けにも立て替え工事に着手する。
米海兵隊は14年に作成した内部文書「自然資源・文化資源総合管理計画」で、普天間飛行場の辺野古移設計画に伴い「新たな任務に対応できるよう、キャンプ・シュワブ及び辺野古弾薬庫を再設計・拡張する」と明記した。13の弾薬庫を解体し、12の新たな弾薬庫と武器の組立区画を設置し「この計画には大規模な土木工事と未開発の土地の造成を伴う」としている。
防衛省は、弾薬庫再開発はロードマップに明記されていた、普天間飛行場移設に伴う「シュワブの施設及び隣接する水域の再編成」で初の建て替えだと説明。米海兵隊内部文書にある「再設計・拡張」には当たらないとした。ただ、同省関係者は「米軍のニーズがあれば工事はあり得る」としている。
再編のために必要となる建設費などは原則として日本政府が負担することになっている。再開発の総額は分かっていない。

《頭越し、負担減に逆行》弾薬庫再開発「県民反発は必至」
〈琉球新報2017年12月3日 3面〉
米軍辺野古弾薬庫の再開発となる建て替え工事が、2006年5月に日米が合意した在日米軍再編ロードマップに盛り込まれたキャンプ・シュワブ内の施設再編成に位置付けられた。米軍再編は「地元の負担を軽減しつつ、抑止力を維持する」ことが狙い。「軽減」と「意義」という相反する目的がぶつかり、結果的に沖縄の基地機能が強化されるという側面が浮かび上がる。

米軍再編は、05年10月の外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2+2)で在日米軍と関連する自衛隊の施設などを再編することに合意したことを受け、翌06年にまとめられた。
再編は基地所在地の「地元負担を軽減」すると位置づけられていた。県内では普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設が含まれているものの、日米特別行動委員会(SACO)最終報告に盛り込まれた他の基地の整理縮小計画など土地の返還や海兵隊のグアム移転などの「負担軽減」が前面に打ち出されていた。
だが計画が進むにつれてもう一つの側面が姿を現してきた。
海兵隊のグアム移転後、基地の運用に空きができるキャンプ・ハンセンには陸上自衛隊の水陸機動団の配置配備がささやかれてる。さらに今回、シュワブの再編の一環で辺野古弾薬庫の再開発が加わることになった形だ。
県内では昨年12月の北部訓練場の過半返還などで米軍基地の面積は減少している。一方で、米軍の事件事故は相次ぐ。米軍の訓練も激しさを増しており、嘉手納基地では外来機飛来や日米合意違反の運用が繰り返されて騒音も増加している。日米両政府が主張する「負担軽減」とはかけ離れた実態がある。辺野古弾薬庫の再開発は地元への説明もない。頭越しの計画に県民の反発は必至だ。

【サンゴ採捕判断「時期見通せず」】県が防衛局に回答
県は1日、辺野古新基地建設予定海域で見つかったオキナワハマサンゴ1群体の特別採捕許可申請で、沖縄防衛局が求めていた審査の進行状況や許可の見通しについて「現段階で判断時期の見通しは示せない」と回答する文書を防衛局宛に郵送した。県水産課は取材に「(申請内容で)まだ不明な点があり、改めて説明を求めることも検討している。今後の説明も合わせて審査する」と述べた。防衛局が10月26日付けで申請し、県は11月15日内容の説明を求める文書を送付した。防衛局が同24日付の回答の際、県に許可次期の見通しなどを照会していた。

【元軍属判決 米でも報道】ワシントン発
米主要メディアは1日、2016年4月に起きた米軍属女性暴行殺人事件で、元海兵隊員で事件当時軍属だったケネス・フランクリン・シンザト被告(旧姓ガドソン)に無期懲役が言い渡されたことを報じた。
ABCニュース(電子版)は、同事件が、米軍基地の過重な負担や米軍の駐留による犯罪に対して不満を抱える沖縄の人々の激しい怒りを呼び起こし、日米両政府は日米地位協定の米軍属の適用範囲を明確化する「補足協定」を締結したことなどを紹介するAP通信の記事を掲載した。
ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、米軍人などによる犯罪は日米関係の緊張の原因になり続けており、11月には海兵隊員の飲酒運転死亡事故が起こったことなどを紹介した。

USAトゥディ(電子版)は昨年の事件発生時に、安倍晋三首相がオバマ大統領当時に抗議し、オバマ氏が哀悼の意を表したことをや、1995年の米兵による少女乱暴事件をきっかけに、普天間飛行場の移設計画が提案されたが、抗議により計画が進んでいないことなどを報じた。

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