2017年12月15日金曜日

《”協定違反”は日常》米軍ヘリ、経路順守せず

《”協定違反”は日常》米軍ヘリ、経路順守せず
〈琉球新報2017年12月14日 2面〉


米海兵隊普天間飛行場を離着陸する米軍の回転翼機の飛行経路については、2004年の米軍
ヘリ沖国大墜落事故を受けて07年に日米が再検討した。だが沖縄防衛局が確認した輸送機
MV22オスプレイやCH53E大型輸送ヘリなどの回転翼機の実際の飛行経路は、日米で合意
された飛行範囲を逸脱し、範囲の外にある緑が丘保育園や普天間第2小学校、普天間中学
校などの上空を飛行している。
さらに日米が合意した航空騒音規制措置(騒音防止協定)では、基地周辺に沿って飛行す
る場周経路や進入・出発経路は「できる限り学校、病院を含む人口稠密地域上空を避ける
ように設定する」としている。
だが緑が丘保育園の保護者らは「しっかり守られていない」「軍用機のおなかが見える距離
感」と話し、ヘリが園上空を飛行するのは日常だと指摘。ほとんどの日米合意にある「でき
る限り」との条件設定が”協定違反”の実態を生み出している。
07年の飛行経路再検証では、東西南北への離着陸で飛ぶ範囲を確認。報告書は「普天間飛行
場のヘリの飛行は一定の安全が確保されたが、今後、飛行と住民の安全をさらに確実にする
ため、本件検討の結果を日米両当局が着実に実施していくことが適切」とまとめている。


《教育16施設が隣接》設定経路、逸脱も
〈琉球新報2017年12月14日 32面〉


米軍普天間飛行場の周辺には小中高校や幼稚園、保育園、大学などの教育機関が16か所隣接
している。子どもたちが日中過ごす場で、米軍ヘリやオスプレイなどの米軍機が上空を飛ん
でいる。騒音に加え、墜落や部品落下などの危険に絶えずさらされ、安全・安心が脅かされ
ている。
米国内の航空基地設置基準では、滑走路の延長線上に離着陸の際の安全を確保するための「ク
リアゾーン(土地利用禁止区域)」の設定が定められている。本来であれば、普天間飛行場の
延長線は、建築物がない緩衝地帯にしなければならない。しかし、県内では設定されていない。
普天間基地周辺に住民約3600人が住んでおり、普天間第2小学校もこの地域に含まれている。
日米が合意した航空騒音規制措置では、できる限り学校や病院などがある地域上空を避け、飛
行場の周囲を飛ぶ「場周経路」などが設定されている。しかし、沖縄防衛局の定期的な調査で
は、場周経路を逸脱しているのが確認されている。普天間第2小学校も含め、教育施設の上空
を日常的に米軍機が飛行している。


《老朽化、部品も枯渇》CH53、後継開発おくれ
〈琉球新報2017年12月14日 3面〉


大型輸送ヘリコプターCH53Eは、米ロッキード・マーティン傘下のシコルスキー社製造の重量
物資輸送などを目的としたヘリ。1981年から米海兵隊で導入されたが、飛行時間の増加やアフ
ガニスタンなど戦地での任務に伴う老朽化、部品の枯渇で、海兵隊航空機の中でも最も深刻な
整備と即応性の課題が指摘されている。
普天間飛行場所属の同型機は今年に入って事故や不具合を相次いで起こしている。1、2月は着
陸装置の故障、6月に久米島空港への緊急着陸、10月には東村高江で不時着・炎上事故が発生。
3、4月に米軍車両を吊り下げた同型機の訓練が読谷村で確認されている。
CH53Eは、04年に宜野湾市の沖縄国際大に墜落したCH53Dの後継機。30年以上の運用のため、
順次退役が決まっているが、積載量の増加やコックピットの近代化などを打ち出した新型機CH
53Kは開発が遅れ、今年4月に生産体制が整ったばかりだ。
海兵隊の17年航空計画によると、新型機配備は19米会計年度開始を予定しているが、29年度の
完全配備までCH53Eの運用を先延ばししなければならない状況だ。
米海軍安全センターの事故統計では、17年米会計年度中、事故の規模が最も重大な「クラスA」
の事故が2件、いずれのアリゾナ州ユマで発生。15年9月には、ノースカロライナ州キャンプ・ル
ジューン海兵隊基地で宙づり訓練中に墜落し、乗員1人が死亡、11人が負傷。16年1月には、ハ
ワイ州オアフ島沖で同型機2機が衝突、墜落する事故があり、12人が死亡している。

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