2017年12月21日木曜日

《県民投票、困難視も》

《県民投票、困難視も》
〈琉球新報2017年12月21日 2面〉


辺野古新基地建設を巡り、改めて反対の民意を示そうと県民を対象とした住民投票(県民
投票)を模索する動きがある。辺野古埋め立て承認後に起きた新たな事由として、承認撤
回の主要な根拠となり得るとの見方が強い。ただ実際に県民投票を実施するとなると、県
内自治体での実務作業があり、各首長の協力がどこまで得られるかが不透明。低投票率な
どへの懸念から実行を困難視する向きもある。
翁長雄志知事は「県民が主体となって十分議論されることが、県民投票を実施するか否か
の大きなことになる。私からは県民投票条例の提案は考えていない」と、住民判断にゆだ
ねる考えを示している。
県民投票について謝花喜一郎公室長は「これまでに全国で24件の住民投票が行われ、うち
直接民意が反映されたものが22件だった」と述べ、影響の大きさを指摘した。
さらに県民投票の結果と辺野古を巡る裁判との関係について謝花公室長は「知事が埋め立
て承認を撤回し、くにがそれに対して代執行訴訟を起こすなど裁判になった場合、県民投
票で示された民意は(裁判に)相当の影響が出ると思う」と述べた。
1996年の基地の整理縮小を問う県民投票に関わった関係者によると、翁長県政と距離を置
く首長の「チーム沖縄」からの協力が得られなければ、低投票率になりかねず、投票実現
を疑問視する声もある。


【民主主義の在り方問う】
名護市民投票で示された「辺野古ノー」の民意は、現在も続く辺野古新基地建設反対・県
内移設反対の沖縄の民意の原点だ。その後の各種選挙や世論調査、県民大会などで幾度と
なく示されてきたノーの民意は、20年経過しても変わることはなく維持され続けている。
米軍普天間飛行場の返還は20年前に「5年ないし7年」と日米で合意された。
だが普天間第2小学校米軍ヘリ窓落下事故に象徴されるように、普天間飛行場の危険性は放
置されたままだ。
日米政府は、普天間飛行場の位置する中部地域よりも人口密度が低く、海に面している辺野
古への移設が「沖縄の負担軽減」になると強調してきた。だが昨年末に米海兵隊輸送機オス
プレイが名護市沖に墜落し、市民らは「普天間で危険なものは、辺野古でも危険」との思い
を改めて強くした。県内での基地のたらいまわしによる沖縄の負担のしわ寄せにノーを突き
つけている。

辺野古の海を臨むテントで始まった座り込みの非暴力・不服従の抵抗運動は5千日を数え、辺
野古ゲート前にも波及している。これほど反対の意思が持続的に示されいるのにも関わらず、
政府はそれを押し込めて続けている。「こんな県がh下にあるだろうか」(翁長雄志知事)と
いうように、名護市は民主主義の在り方を今も全国に問い続けている。

0 件のコメント:

コメントを投稿