2017年12月4日月曜日

《知事「辺野古断念を」》外相初来県「要望に回答せず」

《知事「辺野古断念を」》外相初来県「要望に回答せず」
〈琉球新報2017年12月3日 1面〉

河野太郎外相は2日、就任後初めて翁長雄志知事やローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官、沖縄経済同友会や県内の一部市長らとそれぞれ会談した。
翁長知事は「日米地位協定は、政府は抜本的見直しに向けて取り組んでいただく必要がある。県民の理解が得られない辺野古新基地建設を断念していただきたい」と求めた。
河野外相は辺野古新基地建設に直接言及せず、地位協定改定は閣外時代に勉強したとし、「難しさ、必要性、提案に米側がどう出るかもよくわかっているつもり。運用改善だと叱られるかもしれないが、どんなやり方でも改善できることはしていきたい」と述べるにとどめたという。
翁長知事は、米軍機の相次ぐ墜落や1日に判決が出た米軍属女性暴行殺人事件など米軍関係の事件事故も具体的にあげて負担軽減を求め、14項目の要請書を手渡した。
翁長知事は「日米地位協定について県は、米側に裁量を委ねる形となる運用の改善では不十分だと考えている」と指摘した。辺野古新基地建設については「反対の民意は一連の選挙でも示されている。大浦湾を埋め立てるのは許されない」と述べた。また、米軍普天間飛行場の5年以内の運用停止実現も求めた。
河野外相は会談で「日米同盟の抑止力、対処力を高めることと、地元の負担軽減は両方しっかりやり遂げなければならない。ぜひ知事としっかりコミュニケーションを取って頑張っていきたい」と応じた。
会見で河野外相は、ニコルソン氏との会談内容について「北朝鮮の危機の状況の中で、日米同盟の抑止力強化と同時に地元の負担軽減が大切で、しっかり意見交換して行こうと申し上げた」と説明した。米軍の訓練通知は直前ではなく、調整期間を設けて行うよう求めたことも述べた。
各会談は冒頭のやり取り以外は非公開だった。

《”リベラル派” 外相、今は昔》
〈琉球新報2017年12月3日 3面〉
就任後、初来県した河野太郎外相は、米軍基地を抱える神奈川県選出で、かつては地位協定の抜本改定に取り組む党内議連の役員も務め、改定要求の急先鋒として知られてきた。しかし外相就任後は改定をめぐる発言はトーンダウン。
この日の知事との会談でも「できることを、一つずつ確実に対処してく」と述べるにとどまった。

「河野家は自民党の中でもリベラルで沖縄に寄り添ってきてくれた。今までの大臣とは違った形で意見交換したい」。知事は会談の冒頭、こう切り出し河野外相へのの期待感を示した。地位協定の抜本改定をはじめ14項目の要請書も手渡したが、河野外相から踏み込んだ回答はなかった。
”リベラル派”はすっかり鳴りを潜めていた。
一方、河野氏が来県中、先々でアピールしたのが米軍基地を活用した国際人材育成構想だ。「在日米軍の力を借りて、米軍の子と地域の子が英語で一緒に学ぶ学校を作りたい。ゆくゆくはハーバードでもオックスフォードにも行ける学校にしたい」などと述べ、基地内学校などを活用し、県民向けの英語教育を充実させたい意向を示した。
河野氏は同日、豊見城や浦添、宜野湾ら県内8市長を招いた昼食会でも同構想を披露。昼食会に名護市長や那覇市長は招待されていなかった。出席した市長らは「逆に基地があるからこそ、沖縄の子はみんな英語がしゃべれるとなれば良いとなった」と一定の盛り上げる見せたと明かした。
地位協定の抜本改定、辺野古移設断念など、県の要望には正面から取り組む姿勢は示さず、国際人材育成構想のアピールに注力した河野氏。「基地があることでプラス面もあると言うための材料を作りたいのだろう」。県幹部は人材育成に込めた懐柔策が国の狙いと読み取る。自らの都合に合わせて沖縄への”協力”を売り込む外相の姿は、まさに「できることしかしない」政府を体現していた。

【沖縄の生徒ら米派遣】国際人材育成へ外相表明
河野太郎外相は2日、県内各界との会談で、国際化に対応できる人材育成として沖縄から高校、大学生を毎年20人米国に派遣する「トーフプロジェクト」を始める考えを表明した。このほか米軍基地内の大学などを活用した英語教育の促進や、基地内の子供と日本側の子供が共に英語で学ぶ学校の創立構想なども語った。
翁長雄志知事は、会談後の会見で「英語学力を高める意味では理解は進むが『基地があるからできる』というのは県民が警戒心を抱くので留意してもらいたいということで『ぜひ、やってもらいたい』という話はしなかった」と述べた。
トーフ(TOFU)プロジェクトは「Think of okinawa Future in United States(沖縄の将来を米国で考える)」の頭文字。
河野外相は帰任前の会見で「沖縄から大学生、高校生を米国に派遣し、米国から沖縄を見て色々意見交換してもらうのを毎年20人続けていきたい」と意義を語った。
会談した沖縄経済同友会の玉城義昭代表幹事によると、同友会側は日米英語教育小学校創立に「英語教育はどうしても必要な事項だ」と理解を示し、沖縄を教育の特区とし、海外の大学を誘致するなど提案した。これに河野外相は「可能性としてはないとは言えない。先進事例も調べる必要がある」と応じたという。

【事故気持ち去り 外相問題しせず】高江米軍ヘリ炎上
河野太郎外相は1日の衆議院安全保障委員会で、東村高江で米海兵隊普天間飛行場所属の大型輸送ヘリコプターCH53Eが不時着し、炎上した事故に関し、日本側が事故機を主体的に捜査できないままに米軍が基地内に持ち去ったことについて、米側の立場を支持した。赤嶺政賢(共産)の質問に答えた。赤嶺氏が事故が民間地でおきたことから、事故機の捜査ができるよう「外務省が米側に働きかけるのが当然だ」と問いただした。河野氏は「米軍が機体の検証に同意を与えなくても地位協定に違反しない」と述べ、日米地位協定は順守されてるとした。

防衛省が事故調査のために自衛官を派遣したが、事故機の搭乗員からの聞き取りやフライトレコーダーなどの資料は直接確認できず、米側担当者会からの聞き取りで同型機の飛行再開を認めたと説明した 。

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