2017年12月13日水曜日

《不平等 改善なく》オスプレイ墜落1年「全国知事アンケート」

《不平等 改善なく》オスプレイ墜落1年「全国知事アンケート」
〈琉球新報2017年12月13日3面)


在日米軍専用施設の約7割が集中する沖縄の負担軽減について、全国知事アンケートでは”総
論”で理解を示す一方、訓練を受け入れなどの具体的な”各論”では、安全保障は国の問題など
とする消極的回答が最も多かった。過重な基地負担を訴える沖縄との間に依然として大きな
温度差があることを示した。


【本土との以前温度差】
本土に訓練を移転拡大する日米合意に基づき、米軍輸送機オスプレイが各自治体上空を飛
ぶ機会は今後、増加していくものとみられる。
本土の自治体トップも、当事者の視点と問題意識を沖縄と共有することが重要になる。
戦後も基地と隣り合わせの生活を余儀なくされてきた沖縄は、国が「米軍の考えを最優先」
にしてきたと批判する。オスプレイに関し国は、原因究明前の墜落事故6日後の飛行再開
を追認した。8月の大分空港を含め各地の緊急着陸も、日米地位協定などが壁となり、国か
ら十分な情報が出てきたとは言い難い。
しかし国の姿勢に疑問を示したの沖縄以外では、「米国の言われることを鵜呑みにして安
全性をおうむ返しに言っている」とした静岡だけだった。


【訓練拡大に不安】地位協定改定言及も
米軍輸送機オスプレイに関する全国知事アンケートでは、「なし崩し的に日本へ配備され
てることに懸念がある」(静岡)など、沖縄県外で訓練拡大による不安の高まりを示す意
見が目立った。米軍が関係する事故の際に日本側の操作の壁となる日米地位協定は、約1/3
が改定の必要性に言及した。
アンケートの回答や防災訓練などの参加実績によると、2012年の米軍普天間飛行場配備後、
オスプレイは少なくとも30都道府県で飛来を確認。オレンジルートと呼ばれる低空飛行訓
練経路が上空にある徳島県は「事故率が高く不安が払拭されてない」と答えた。
8月に日米共同訓練で飛来した北海道は、知事としての不安の有無は答えず「道民に不安や
懸念がある」として国に安全管理の徹底を要求した。
沖縄県は「今後も事故が繰り返し発生する不安がある」と訴えた。
一方で「オスプレイだけが特に危ないわけではない」(和歌山)、「専門的知見を持つ国
が安全性を確認してる」(長崎)との意見もあった。
日米地位協定の改定は、16人が「必要」「どちらかというと必要」と回答。山梨県は「事
件・事故の抜本解決のために改訂が必要だ」とし、鳥取県は「戦後70年が経過し、(米国
と)新たなパートナーシップを考えるべき時期に来ている」と指摘した。


【知事「県民の怒り限界」】
翁長雄志知事は12日、米海兵隊輸送機MV22オスプレイの名護市安部での墜落事故から13日
で1年にあたり、「(事故後も)緊急着陸が繰り返され、墜落事故が発生したことは、米軍
運用を最優先し、安全を軽視する姿勢が招いたとも言え、県民の不安はこれまでになく高
まっている」とコメントを出した。その上で改めてオスプレイの配備撤回を求める考えを
強調した。
さらに10月に起きた東村高江のCH53E ヘリ炎上事故をあげて「重大な事故が繰り返し発生
しており、県民の怒りは限界に達しつつある」と批判した。

オスプレイの事故率が倍増していることも指摘し、「安全な機体と説明していたが、政府の
説明は破綻してると言わざるを得ない」と断じた。その上で「オスプレイの配備撤回と沖
縄の過重な基地負担の軽減を引き続き国に強く求めていきたい」と訴えた。

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