2017年12月13日水曜日

沖縄負担減に消極的》全国知事会「安保は国責任」【オスプレイ墜落1年】

《沖縄負担減に消極的》全国知事会「安保は国責任」【オスプレイ墜落1年】
〈琉球新報2017年12月13日 1面〉


米軍垂直離着陸輸送機オスプレイが配備されてる普天間飛行場をはじめ、在日米軍専用施設
の約7割が集中する沖縄の負担軽減について、沖縄を除く全国の知事が必要性に一定の理解
を示しつつ、具体策では消極的な実態が、共同通信が12日までにまとめたアンケート結果で
明らかになった。事故やトラブルが相次ぐオスプレイの訓練受け入れや沖縄県の配備撤回
要求に関し、多くは「安全保障は国の責任」などとして明確な賛否を示さなかった。


普天間所属のMV22オスプレイは昨年12月に名護市沿岸部に墜落。今年8月にはオーストラ
リア沖で墜落、死亡事故を起こしたほか、大分空港などに相次いで緊急着陸している。事
故率は海兵隊機全体を上回り、アンケートでも沖縄県外で懸念拡大をうかがわせた。
共同通信が13日の墜落事故1年に合わせ、47都道府県知事を対象に11月10日にアンケート
を送り、12月11日までに全員から回答を得た。
オスプレイの安全性に不安や懸念が「ある」「どちらかというとある」と答えたのは14人。
MV22の事故率が過去最悪になったことは4人が「不安が高まった」、12人が「不安」
「どちらかというと不安」とした。
配備撤回要求に理解を示したのは10人のみ。「負担軽減を求める沖縄県民の切なる願いは
国全体として真摯に受け止めるべきだ」(宮崎)との意見もあった。
日米両政府が合意しているオスプレイの沖縄県外への訓練移転には、9人が「賛成」または
「どちらかというと賛成」と回答。ただ、訓練の地元受け入れの賛否を問う質問になると、
新潟のみが、国による情報開示と十分な説明などを条件に「どちらかというと賛成」とし
「県民理解が進むことを前提に自治体として受けるべきだ」と答えた。ほかは「これ以上の
負担は困難」(神奈川県)、「適地はない」(兵庫県)などと否定的で、「国の専権事項」
(岩手県)として賛否を示さない知事が最も多かった。


《危険払拭されず》 オスプレイ事故率倍「配備撤回要求、国応じず」
〈琉球新報2017年12月13日 2面〉


米海兵隊垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部の沿岸部に墜落した事故から13日
で1年を迎えた。普天間飛行場に同機が配備されて以降、県内で最初の墜落事故で、県民に
大きな衝撃を与えた。翁長県政は発足以降、同機の配備撤回を求めてるが、政府に応じる様
子はない。
県は事故直後、県、米軍、日本政府をメンバーとする協議会を設置するよう求めた。事故に
関する情報を迅速に共有できる仕組みが必要としたためだ。しかし政府は既存の協議会活用
への言及にとだまり、県の要望に正面から向き合う姿勢はない。
事故は、日米地位協定の不平等性も改めて浮かび上がらせた。米軍は、第11管区海上保安本
部の捜査協力要請を無視し、機体を11管の検証前に持ち去り、日本の捜査機関は指一本触れ
られなかった。地位協定が壁になった格好だが、外務省は「順調に運用されている」とし、
県が求める協定改定に向けた動きは見られない。
米軍は事故報告書で、事故原因は空中給油作業における人為的ミスと天候不良だと結論づけ
た。配備前から指摘されてる「構造的欠陥」は否定したが、安部での墜落事故後も、国内外
でオスプレイの緊急着陸や事故は相次いでいる。
事故率は配備当初の5年前に比べ倍増している。オスプレイは2012年10月に県民の「配備反
対」の声を無視して強行配備された。政府は当時、事故率の低さを強調し、配備を進めたが、
配備当初の事故率(クラスA・ 10万飛行時間当たり)は1.65だったのに対し、17年9月末の
事故率は約2倍の3.27に上昇している。


【「墜落」矮小化に終始】日米政府「不時着」主張続く
米軍普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが名護市安部に墜落した事故で、
今年9月に公表された事故調査報告書では救助を求める救難信号「メーデー」を2回発信し、
米軍が当初は「墜落(crash)」と連絡してたことも手書きのメモで既に判明している。だ
が日米両政府は事故を制御された「不時着水」と主張し続けている。日米両政府は事故後
「墜落」の事実を矮小化することに終始し、何よりも優先されるべき人命をないがしろにし
ている。
事故調査報告書によると、事故原因は強風や後方乱気流など「困難な気象条件下」で空中給
油中の「パイロットのミス」だったと結論付けられた。オスプレイのパイロットは空中給油
を何度か試みたが、給油機のMC130の給油口への接続が失敗し続け、給油口が右プロペラに
接触した。機体が不安定化したことで着陸時のヘリモードに転換できず「制御した緊急着水
」をしたと位置づけた。
ただ、事故機は制御不能になったことを意味する「メーデー」を2回発信していた。報告書
などには制御された着水を示すデータはなく、日本側も米軍の証言だけで「安全なところで
意図的に着水した」と判断した。だが制御されていれば軽微であるはずの損傷が激しく、機
体は真っ二つになった。
オスプレイはヘリモードでは飛行制御が不安定になるため、空中給油できないという構造上
の欠陥がある。しかも固定翼モードでは機体前部に給油口と大きなプロペラがあるため、給
油機のホースが安定しなければ、プロペラに接触して損傷する危険性がある。
政府は事故当時、オスプレイの空中給油中の事故は初めてとしていたが、2例目だったこと
も判明した。昨年の事故がオスプレイ特有の事故だった可能性は今も払拭されていない。


【事故・不具合14件】1年間の普天間機
名護市安部沖にオスプレイが墜落して以降の1年間、米軍普天間飛行場所属機の緊急着陸や不
具合は判明してるだけでも14件に上る。8月にはオーストラリア沖にオスプレイが墜落し、
10月11日には大型輸送ヘリCH53Eが東村高江で炎上。名護市で発生した事故だが、飛行場周
辺住民も不安を抱えたままの生活を強いられてきた。
オスプレイの名護市沖墜落からわずか1か月の17年1月、CH53Eが夜間飛行中に異常音を発し、
翌日にクレーンで吊り上げられる様子が確認された。市役所に「墜落しないか」などと不安を
訴える通報が3日間で33件、寄せられた。着陸装置の故障が後に判明。1週間後、 AH1攻撃
ヘリがうるま市与那城伊計の農道に不時着。2月には再び、CH53Eの着陸装置が故障した。
6月1日から10日には所属機の緊急着陸が頻発した。3回のうち2回はオスプレイで、6日は米軍
伊江島補助飛行場、10日は鹿児島県奄美空港で発生。オスプレイの緊急着陸はさらに続き、
2ヶ月後の8月、山口県の米軍岩国基地から普天間飛行場へ戻ろうとした1機が途中で大分県に
緊急着陸した。前日に白煙を出す問題を抱えた機体だった。
9月には2機が民間専用の石垣空港へ緊急着陸した。


【オスプレイ墜落1年「欠陥性 日増し証明」】
名護市安部での墜落事故後、米軍はわずか6日で飛行を再開した。米軍は事故は人為的ミスだ
と強調し、構造的欠陥ではないことをアピールした。安部での墜落事故後も、確認されてるだ
けで普天間飛行場所属オスプレイは墜落1件、緊急着陸4件を起こしている。事故から1年経過
し、県民は安心感を得るどころか、不安、不信感は増幅している。
開発段階から事故が相次ぎ米国でも多くの死者を出し「欠陥機」との悪名高いオスプレイ。政
府は県民の民意を無視して県内に強行配備した。普天間飛行場の「危険性除去」をさけぶ政府
自らが、県内に持ち込んだ新たな”危険”と言える。
国は普天間飛行場を名護市辺野古に移設することで同飛行場の危険性除去が実現すると強調す
る。しかし仮に辺野古新基地が完成してもオスプレイの飛行区域が辺野古周辺に限定されるわ
けではない。
普天間飛行場所属機が名護市安部で事故を起こしたように、オスプレイは北部訓練場や伊江島
補助飛行場など県内上空を広範囲で飛行する。

事故から1年、県内配備から5年を経過した。上昇する事故率が示すように、同機が欠陥機であ
ることが日増しに証明されている。

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