2017年12月25日月曜日

《県民投票「知事選同日に」》県政与党検討「辺野古問う」

《県民投票「知事選同日に」》県政与党検討「辺野古問う」
〈琉球新報2017年12月24日 1面〉


辺野古新基地建設に関わる公有水面埋め立て承認の撤回に向けて、県議会与党が2018年11
月ごろに実施が想定される県知事選と同日に、県民投票を実施する案を検討していること
が23日までに分かった。県民投票で辺野古新基地建設に反対の意見が多い結果となった場
合に、翁長知事の承認撤回の根拠としたい狙いがある。


【承認撤回の根拠に】
14年の名護市長選以降、辺野古新基地建設が主要な争点となった県内選挙では建設に反対
する候補者がほぼ勝利してきた。一方、行政法の専門家や弁護士らは「有権者はその他の
政策も総合的に判断して投票していると、裁判所は判断するだろう」として、選挙結果を
根拠にした撤回は難しいとの見方を示している。
与党は知事選と同日に県民投票も実施し、辺野古新基地建設に対する県民意思も明確に示
すことで、県民投票の結果を承認撤回の根拠としたい考えだ。知事選と同日の県民投票実
施を検討していることを、翁長雄志知事ら県三役にも伝達している。
県民投票には約半年の準備期間が必要なため、県知事選と同日に実施するためには、18年
度初旬から住民による直接請求のための署名運動を開始し、県議会9月定例会までに県民
投票条例の制定が必要になる。
与党県議や県内の市町村議員110人余でつくる「自治体議員立憲ネットワークおきなわ」は
22日に総会を開き、18年の活動計画で県民投票に取り組むことを承認した。18年2月に開く
研修会で実現に向けた手続きや作業などを確認する。


《撤回後の訴訟にらむ》県民投票知事選同日『民意無視の判決、困難の見方』
〈琉球新報2017年12月24日 2面〉
政府が強行する辺野古新基地建設に対し、県議会与党が現時点で最も強力な対抗手段と位置
づけているのが、県民投票の結果を踏まえた翁長雄志知事による公有水面埋め立て承認撤回
だ。撤回後にその適法性を巡り、国との訴訟にもつれ込んだ場合でも、県民投票で辺野古新
基地建設反対の民意が示されれば、裁判所がそれを無視する判決を出すのは難しいとの見方
が強いためだ。


県や県を支援する弁護士らは、撤回するためには以下の5つの法的要件のいずれかを満たす
必要があると想定している。そのうち4つは新基地建設工事が進む中で、沖縄防衛局が取る
べき手続きを怠った場合のものだ。現在、県は各種法令に基づいた手続きを踏むよう防衛局
に求めているが、防衛局は県の要求にほぼ応じず、工事を進めている。ただ行政法の専門家
らはこれらのやりとりをもって撤回したとしても、短期間の裁判を経て、県が敗訴する可能
性が高いとみている。
一方、残り1つである県民投票の結果を基にした撤回であれば、撤回条件として定められる
「公益上の理由」に明確に当たるとして県勝訴との見込みを持つ。
県民投票は県民の署名による直接請求を経て、県議会で県民投票条例を制定した上で、県内
市町村の協力を得て実施する。踏むべきプロセスは多い。
辺野古新基地建設問題で翁長知事と距離を置く首長が協力しないことも想定されるが、地方
自治法上、県民投票の事務委任については市町村との誠実な協議は要するが、同意までは必
要ないと解釈されている。
県民投票は県ではなく、県民の請求に基づき実施されるものだ。仮に協力しない首長が出て
くるならば、県民の要求に応えない合理的な説明が求められるだろう。知事選という全県選
挙が同日に行われる場合であればなおさらだ。
来年もし県民投票が実現されれば、辺野古新基地建設の是非について、全県民が初めて法的
手続きを経た場で、意思を示すこととなる。反対の民意が示されれば翁長知事はその結果を
基に撤回することになるため、いわば県民の手で直接、沖縄の未来を決める機会になるとい
得そうだ。


【県民投票、撤回に必要】立憲ネット学習会「新垣弁護士が強調」
県議や県内の市町村議員でつくる「自治体議員立憲ネットワークおきなわ」が22日、県議会
棟で総会を開き、2018年活動計画などを承認した。第2部の学習会で新垣勉弁護士が講演し
「工事が進む前に翁長知事が撤回するには明確な民意を示す県民投票のプロセスがどうして
も必要だ」と語った。
新垣弁護士は「県内部で検討している撤回の法的要件5つのうち4つは工事が進む中で、政府
が県との約束を破ることなどでしか成立し得ないものだ。県民は工事が進む前の撤回を望ん
でおり、その実現のためには残る1つの県民投票を根拠にした撤回しかない」と説明した。
その上で「現状に対し、『知事、何とかしてくれ』と思う県民が多いはずだが、県民投票で
辺野古新基地建設に対する民意を明確にしないと知事は撤回できない。県民がどう運動する
かが問われている」と指摘した。

総会では日米地位協定の抜本改定を求める意見書を、全国の自治体議会で採択してもらうよ
う取り組むなどの2018年の活動計画が承認された。

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