2017年12月2日土曜日

《元軍属に無期懲役》【殺意を認定】 女性暴行殺人

《元軍属に無期懲役》【殺意を認定】 女性暴行殺人
「那覇地裁『危険性認識し実行』」
〈琉球新報2017年12月2日 1面〉

2016年4月に発生した米軍属女性暴行殺人事件で、殺人や強姦致死などの罪に問われた元海兵隊員で事件当時軍属のケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告(33)の裁判員裁判判決公判が1日、那覇地裁で開かれた。柴田寿宏裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。ケネス被告は殺意を否認していたが、柴田裁判長は死亡させる危険性の高い行為と認識して暴行を加えたとして殺意を認定し「殺人罪が成立する」と述べた。

【遺族、損害賠償請求へ】
ケネス被告は殺意は否認し、殺人罪で無罪を主張する一方、強姦致死と死体遺棄の罪は認めており、争点は殺意の有無だった。被告の弁護人は控訴について「被告の意思を確認した上で決めたい」と話した。
一方、被害者の父親は判決を受け「被告は真実を述べて欲しかった。謝ってほしかった。被告を許すことはできません」などとコメントを出した。
代理人を通じて遺族はケネス被告に対し損害賠償請求をする考えを明らかにした。すでに裁判所に損害賠償命令を申し立てており、第1回審理が6日に開かれる。申し立てに対し賠償金支払いの決定後、日米両政府に補償請求する方針。
判決で柴田裁判長はケネス被告の逮捕直後の供述は信用性があると指摘。ケネス被告が被害者の後頭部を鉄と鉛でできた棒状の凶器で殴ったり、腕や手で首を絞めたりしたほか、ナイフで首の後ろ付近を刺したと認定した。その上でいずれの行為でも「死亡させる危険性が高いと認識しながらあえて実行した。殺意が認められる」と判断した。
被害者を抱きかかえて倒れる込む際に、被害者は地面に頭をたたきつけられ死亡したとの弁護側主張は「その状況を具体的に思い描くことはできない」と退けた。
量刑理由では強姦目的の犯行に「動機は身勝手」と批判。被害者の父親は死刑を求めたが「同種事案との公平の観点から求刑を越えて死刑を科すべき特別な事情はない」とした。
裁判員は女性5人男性1人だった。

《元軍属 無期懲役判決》知事「今なお心痛む」再発防止など強く要求
〈琉球新報2017年12月日 2面〉

翁長雄志知事は1日、米軍属女性暴行殺人事件の公判で被告に求刑通り無期懲役が言い渡されたことを受け「このような事件が二度と起こることのないよう、米軍等に対し、米軍人・軍属等の綱紀粛正、再発防止と教育の徹底などを改めて強く求めていく」とコメントを出した。
事件自体についてはコメントで「将来への大きな夢を抱き、社会の一員として地道に努力している若者の尊い命を奪った今回の事件は実に痛ましいもので、本人や家族の無念さを思うと今なお心が痛む」と述べた。

【まず米が努力を】菅氏
米軍属女性暴行殺人事件で那覇地裁がケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告に無期懲役の判決を下したことについて、菅官房長官は1日の定例会見で、再発防止には「まずは米側の努力が重要だ」と述べ、米国と結んだ補足協定における軍属の明確化や隊員の教育、綱紀粛正などを求めていく考えを示した。
在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故に対して県議会が在沖海兵隊の国外、県外移転を要求する抗議決議・意見書を全会一致で可決したことについては、オスプレイの訓練の県外移転など「目に見える形で(負担軽減を)進めたい」と述べるにとどまった。

【米兵事故で抗議決議】那覇市議会「高江ヘリ炎上も」
11月19日に発生した在沖海兵隊員による飲酒運転死亡事故について、那覇市議会(翁長俊英議長)は1日、12月定例会本会議で抗議決議と意見書を全会一致で可決した。
抗議決議と意見書では①被害者家族への謝罪と完全補償②米軍車両を飲酒した米兵が運転できた経緯の説明③在沖米軍人・軍属の綱紀粛正と再発防止ーなど4項目を求めた。決議などでは「那覇市民の尊い命が奪われた。強い怒りを込めて抗議する」と言及した。
東村高江の民間地で発生した米軍ヘリ不時着、炎上事故への抗議決議と意見書も、全会一致で可決した。①地主への完全補償②事故原因究明と事故防止策ーなど4項目を求めた。決議の宛先はいずれも米国大統領、在日米軍司令官など。意見書の宛先はいずれも衆参両院議長、首相など。

【浦添議会も可決】
浦添市議会(島尻忠明議長)は1日、臨時会を開き、牧港補給地区所属の在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故に対する抗議決議と意見書を全会一致で可決した。意見書では遺族への補償や綱紀粛正と再発防止策の徹底、在沖米軍基地の整理縮小と米海兵隊の早期の国外・県外移転などを求めている。決議の宛先は在日米国大使、在日米軍司令官ら。意見書は首相、衆参両院議長など

【在沖海兵隊移転 河野外相が否定】

河野太郎外相は1日の衆院安全保障委員会で、在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故を受け県議会が全会一致で要求した在沖海兵隊の早期の国外、県外移転について「(在沖海兵隊のは)日米同盟の抑止力を構成する重要な要素であり、我が国の平和と安全を確保する上で必要なものだ」と否定した。照屋寛徳氏(社民)への答弁。

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