2017年12月12日火曜日

《保育園屋根に「痕跡」》米軍部品落下「県が写真で指摘」

《保育園屋根に「痕跡」》米軍部品落下「県が写真で指摘」
〈琉球新報2017年12月12日 1面〉


米軍ヘリの部品が宜野湾市内の保育園の屋根に落下した問題で、トタン屋根に落下した際
についた可能性がある凹みが2か所残っていることが分かった。富川盛武副知事が11日、
中間報告に訪れた中嶋浩一郎沖縄防衛局長会へ説明した。富川副知事は凹みが見える屋根
の写真を示しながら「固いセメントの上に落ちると粉砕すると思うが、(屋根の)下が空
洞でショックアブソーバー(衝撃緩和材)のようになって、これだと当初(米側から)聞
いた説明と違う」とさらなる事実究明を求めた。中嶋局長は同日、佐喜眞宜野湾市長や現
場の保育園にも報告した。
屋根の凹みは9日に現場を視察した吉田勝弘政策調整官が確認した。部品の発見場所から
数メートル離れた場所で凹んでいたという。
中嶋局長は米側の説明として、見つかった部品は「(普天間飛行場に配備の) CH53ヘリ
のブレード(羽根)の損傷を検知するための装置カバー」と説明。
ヘリ1機に7個装着され、保育園の上空を飛行した CH 53からは離陸前にすべて取り外さ
れ、他の CH 53の部品も保管されているのが確認されたと報告した。
それらのことから中嶋局長は「海兵隊としては普天間基地の航空機が飛行中に落下したも
のではないと認識している」と伝えた。
富川副知事は「(部品が)在庫としてあることはわかったが、ヒアリングを受けただけで、
誤認はありえないのか、紛れ込みがないのか確認お願いしたい。うやむやでは県民も納得
できないし、不安も払拭できない」と指摘し、更なる事実解明を求めた。
一方で佐喜眞市長から「(同じ部品が)他の機種には使用されてないのか」と質問を受け
た中嶋局長は「この形の部品はついてない」と説明した。佐喜眞市長は「保育園側の『落
ちてきた』との話もあり、双方の見解が異なる。事実確認して市民や県民に公表してほし
い」と求めた。


《疑問呼ぶ米軍の説明》県、トタンくぼみで反証
〈琉球新報2017年12月12日 2面〉


米軍ヘリの部品が宜野湾市内の保育園の屋根に落下した問題で、米側は米軍ヘリの部品で
あると認めたものの「飛行中に落下したものではない」との認識を示す中、部品の由来を
巡り謎は深まっている。ネット上では「ヘリから落ちた割には無傷」として誰かが投げ込
んだのではなどと様々な憶測が飛び交う中、トタンの屋根にへこみが明らかになった。県
は「そもそも管理状況がどうなっているのか確認して欲しい」と求めており、米側の保管
状況のあり方にも波及している。
「なぜそれが保育園の上に存在したかがわからないと、色々と憶測は飛ぶかもしれないが、
県民は不安を払拭できない」。中間報告に訪れた中嶋浩一郎沖縄防衛局長に富川盛武副知
事が、繰り返し事実究明を求めた。
そういう富川副知事も一旦は米側の説明に半ば納得していた。事故を受けて8日訪れた米海
兵隊太平洋基地司令官のポール・ J・ロック准将は、700フィート(210メートル)の高さ
から落下すると砕けるか、傷がつくと述べ、落下物の可能性が低いと説明した。これを聞い
た富川副知事は、保育園の屋上がコンクリート製だと思い込み「なるほどおっしゃる通り
だ」と返答していた。
だが、吉田勝弘政策調整官の現場視察で、屋根はトタンで2箇所にくぼみがあったとの報告
から、富川副知事は「聞いた話と違う。疑問点として残る」と認識を改めた。
県幹部は、トタン屋根の2箇所のくぼみについて「県の騒音測定局で2度の衝撃音が記録され
ているが、それとも合致する」と述べ、落下してきた可能性がより強まったとの見方を示す。
県の騒音測定では、1回目が「ボーン」という重い音で、2回目が「チャーン」という金属
的な音だったといい「1つ目のくぼみは大きくなってるが、しっかりしたトタンで重い音が
したのではないか」と推測した。
米側の説明ではヘリに装着されている部品は全て揃ってるとされる。だが県関係者は「果た
してその全てに東村高江で炎上した CH 53の部分が含まれているのか」と疑義を呈する。
富川副知事も中嶋局長に「誤認はありえないのか、ほかの紛れ込みはないのか確認願いた
い」と求めた。
別の県幹部は「そもそも迫撃砲などの演習でも米軍の管理が曖昧なのは、これまでの経験
からわれわれは知っている。この部品が本当に在庫まで全部揃ってたのか」と米側の管理
自体に疑念を脱げない様子で語った。

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