2017年12月22日金曜日

《問うべきは沖縄差別》山城議長「公判の不当性主張」

《問うべきは沖縄差別》山城議長「公判の不当性主張」
〈琉球新報2017年12月21日 29面〉


名護市辺野古の新基地建設や東村高江の米軍北部訓練場ヘリコプター発着場建設に対する
抗議活動を巡り、威力業務妨害や公務執行妨害・傷害などの罪に問われた沖縄平和運動セ
ンターの山城博治議長(65)ら3人の公判が20日、那覇地裁(柴田寿宏裁判長)であった。
弁護側は最終弁論で今回の訴追は運動弾圧に当たるとして裁判で問う不当性を主張した。
最後に山城議長は「問われるべきは政府の差別的沖縄政策だ」と意見を述べ、結審した。
判決は来年3月14日に言い渡される。


【那覇地裁「3月14日判決】
弁吾側は薩摩侵攻や琉球処分、沖縄戦、戦後など沖縄の歴史を列挙し「事件の本質は沖縄
差別や基地負担の現実にある」と指摘した。その上で「憲法を踏みにじる日米両政府の姿
を直視し憲法の理念に基づく判決を願う」と求めた。
資材搬入を止めるためのブロックを積み上げた行為について、威力業務妨害を適用するこ
とは「表現の自由を侵害し違憲だ」などと主張し、器物損壊を除く各事案で無罪を訴えた。
検察側は4日の論告求刑公判で「主義主張を、違法な手段で実現しようとした。正当化でき
ない」などとして、山城議長に懲役2年6ヵ月を求刑した。
起訴状によると、山城議長は2016年1月に名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ工事用ゲ
ート前でブロックを積み上げ、資材搬入の業務を妨害したとされる。
公判前に那覇地裁近くの城岳公園で開かれた集会には、約180人の支援者が集まった。裁判
勝利に向け「最後まで頑張ろう」と気勢を上げた。


【被告の主張 的外れではない】傍聴記、森川恭剛・琉球大学教授
山城博治氏は最終意見陳述で事実へのこだわりを見せた。沖縄の平和運動をおとしめ、事実
に反する罪を着せる。そのことが許せなかったのだろう。そして沖縄の夢を奪わないでほし
いと最後に付け加えた。
裁判では5件の公訴事実を争った。論点は多肢にわたるが、傍聴を通し全体として次の感想
を持った。
2014年7月、臨時制限区域が設けられた辺野古海上で「海保の暴力」が問題になり、現在は
2件の国賠裁判が提起されている。他方、高江の森や辺野古のゲート前では県外から派遣さ
れた「機動隊の暴力」が問題になったが、反対に山城氏らが刑事訴追された。
海上では海保がカヌー隊を押さえ込むのは容易なのだろう。しかしゲート前では、抗議行動
の参加者が機動隊の数を上回ることがある。また16年9月、高江の森の中に数十人が入って
ヘリパッド建設工事に反対し始めた時、基地侵入罪の適用を困難視した国はもはや押さえ込
めないと危惧した。そこで山城氏らを逮捕・勾留し、抗議行動の力をそごうとした。
被告3人は正義ある裁判と述べた。刑事事件としては異例だが、県民の怒りや悲しみをよそに、
基地建設を強行する沖縄防衛局が被害届を出した裁判だったことを思えば、的外れとは言え
まい。


【加害者の免責、米政府が要求】米兵タクシー強盗致傷
2008年1月に沖縄市で発生した米軍人2人によるタクシー強盗致傷事件の補償問題で、示談書
の文言を巡り、米政府側は19日までに、見舞金を支払うに当たり、加害者の賠償責任を免責
しなければ、支払いはできないと沖縄防衛局を通して伝達した。

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