2017年11月15日水曜日

海上から辺野古に

琉球新報1面トップ 2017年11月15日

【 石材、海上から辺野古に 】新基地建設 陸上も同時搬入
米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設で、沖縄防衛局は14日、辺野古埼北側の「K9護岸」を使い、初めて海上から石材を搬入した。
米軍キャンプ・シュワブのゲート前からも工事車両で資材を運び込んだ。陸上に加え海上からも同時に資材搬入を行い、工事を加速させる。県が工事停止を求める行政指導などを行う中で、工事を強行する国の姿勢に県内で反発の声が一層強まりそうだ。

県はK9護岸を使った搬入は実施計画の変更に当たると指摘し、事前協議をやり直すことや協議がまとまるまで海上運搬を実施しないことを求めていた。これに対し沖縄防衛局は、2015年に協議済みだとして、県の指導は「当たらない」と回答、同護岸を使った海上搬入を強行した。
台船は辺野古埼北側の100mまで延びた「K9護岸」に午前9時半ごろ、ロープで係留され、同10時半ごろに接岸した。船上にに積んだ砕石を重機でトラックに載せ替え、陸上にに搬入した。
運び込んだ砕石は10トンダンプカー役50台分で、13日に国頭村奥港で積んだもの。辺野古埼南西側のK1護岸とN5護岸を造成する工事に投入される。
新基地に反対する市民は海上や、K9護岸が見える瀬嵩の浜、ゲート前で抗議の声を上げた。
県は14日、吉田勝広政策調整官らが国頭村を訪れ、海上輸送に伴う奥港の岸壁の使用許可を9月に出したことについて同村や奥区に説明した。宮城村長は「区民の不安を取り除くよう最大限努力してほしい」と要望した。
奥区は23日に区民総会を開き、奥港からの海上輸送について区の方針を話し合う予定。
総会には県土木部の宮城部長も同席する。沖縄防衛局に対し13日、総会までに同港を使った海上輸送を行わないよう求めた。
沖縄防衛局は本紙取材に23日まで搬出を止めるよう地元から要望があることについて「次回以降の搬出に当たっては区長をはじめとする関係者の皆様に丁寧な説明を行い、理解を得ていきたい」とするにとどめ、搬出の一時停止は明言しなかった。

【 奥港許可 県が区に説明 】新基地資材海運「不許可は困難」
辺野古新基地建設で使用する資材を輸送する作業で、県が国頭村の奥港の使用許可を出したことについて14日、県は国頭村役場と奥区事務所を訪れ経緯を説明した。
宮城土木建設部長は糸満区長に「弁護士にも助言をもらったが、港湾関係法令に基づき判断すべきであり、申請者に帰責事由がない場合に不許可とするのは困難であると判断した」と話した。

『区長、安全配慮を要望』
糸満区長は「小学校も近い。安全面だけは気を付けてもらいたい」と訴えた。
吉田勝広政策調整官は「今後、問題点や課題が出てくるかもしれないが、村や区と相談しながら解決していきたい」と話した。
宮城国頭村長は県が14日になって村と区を訪れたことに「説明に来るのが遅い」と伝えた。宮城村長は「区民は何も知らなかったから不安だった。不安を取り除くように最大限努力してほしい」と県側に伝えた。さらに「港の使用を許可した以上は県側の責任もある。事故が起きないようしっかりと指導してほしい」と述べた。

『県の指導「当たらない」』防衛相、正当性を主張
小野寺防衛大臣は14日の閣議後会見で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設をめぐり、沖縄県の行政指導を無視する形で石材の海上搬入を始めたことについて「護岸自体の設計内容を変更するものではない。県からの指導は当たらない」と述べ、手続きの正当性を主張した。
県は10月、海上搬入に使用する護岸を運搬船の接岸に使用することなどが護岸の設計変更に当たるとして、工事を中止して協議するよう行政指導していた。
小野寺氏は資材の海上搬入は埋め立て承認願書に既に記載していると強調した上で、今回石材を搬出した国頭村奥の区長からの要望を踏まえて公民館に「お知らせ」を掲示するなど、地元に配慮しているとの姿勢も示した。防衛省は資材の海上搬入と陸上搬入を同時並行で進める考え、海上搬入により、環境負荷の軽減や施工の円滑化、効率化が図れるとしている。


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