2017年11月15日水曜日

女性殺害軍属 裁判員裁判

沖縄の紙面風景(新聞記事)2017年11月12日

琉球新報 2面 『女性殺害軍属 どう判断』16日から裁判員裁判

本島中部で昨年4月、女性会社員、当時(20)を暴行し殺害したとして、殺人などの罪に問われた元海兵隊員で軍属だったケネス・シンザト被告(33)の裁判員裁判が16日から那覇地裁で始まる。
基地が集中し、米軍関係者による事件事故が繰り返されてきた沖縄で再び起きた残虐な事件を市民がどう判断するか注目される。

被告側は「殺意はなかった」として殺人罪は否認する一方、強姦致死と死体遺棄の罪は認める方針。16日の初公判に続き17日h被告人質問を実施し、24日に検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論を経て結審。判決は12月1日に言い渡される。
起訴状によると、シンザト被告は昨年4月28日午後10時頃、本島中部の路上で女性会社員を乱暴目的で襲い、頭を背後から棒で殴打。ナイフで首筋を刺すなどして抵抗できない状態にしたが目的を遂げられず、一連の暴行で殺害したとしている。
女性はウォーキングに出た後、行方不明になり県警は5月19日にシンザト被告を逮捕。供述に基づき、恩納村の雑木林で白骨化した遺体が見つかった。捜査関係者によると、当初「首を絞め、刃物で刺した」などと供述したが、その後、黙秘に転じた。
事件に沖縄の怒りと反基地感情が噴出した。
1995年に起きた米兵による少女暴行事件の記憶と重なり、昨年6月の県民大会では6万5千人(主催者発表)が抗議の声を上げた。
米兵の特権意識を助長すると指摘される日米地位協定の見直し議論が再燃し、日米両政府は今年1月、軍属の範囲を縮小する「補足協定」を発効した。
遺体が発見された雑木林には事件から1年半が過ぎた今も花を手向ける人の姿が絶えない。親族によると女性の両親は仏壇に線香をあげながら手を合わせる日々を送っている。
シンザト被告は現在、那覇拘置所にいる。弁護人の高江洲歳満弁護士によると、面会しても無反応な様子だが沖縄の市民から選ばれた裁判員裁判には「フェアじゃない」と話したという。被告側は審理を東京に移すよう求めたが、最高裁は昨年8月、「裁判員は法律に従い公平に職務を行う義務を負っており、適正な裁判が制度上保証されている」として退けた。

「両親、苦しみ抱え法廷へ」
事件で殺害された会社員の女性(当時20)は、結婚を約束した男性と幸せな同居生活を送っていた。勤務先では「明るく、気配りができる」と信頼されていた。
趣味のウォーキングに出かけ、自宅近くで襲われたとされる。事件から1年半。「犯人を私の手で殺したい」。両親は娘を奪われた苦しみを抱え、元米軍属の男の裁判に臨む。
名護市の父親の家には女性が生前、身に着けていた服や靴が今も大切に保管されている。
親族によると両親は娘の話題になると言葉に詰まり、事件に関するニュースも見ることができないという。親族は「娘との時間が止まったままで、落ち込んでいる」と気遣う。
「ウォーキングしてくる」。事件当日の午後8時すぎ、交際中の男性にスマートフォンでメッセージを送ったのが最後だった。当時2人で暮らしていたマンションの部屋は既に引き払われた。
女性はアイドルグループ「AKB48」が好きで中学の修学旅行では曲に合わせて楽しそうに踊っていたという。友人の会社員の女性は(22)は「かわいくて優しい子だった。基地がなければ、事件は起きなかった」と悔しがる。勤務していたショッピングセンターの店長によると女性は興味があった化粧品の売り場を任され、真面目に働いていた。

1 件のコメント:

  1. 「裁判員9人選任」米軍属女性暴行殺人
    2016年4月に発生した米軍属女性暴行殺人事件で、殺人や強姦致死などの罪で起訴された元米海兵隊員で事件当時軍属のケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告(33)の公判に向けた裁判員選任手続きが13日、那覇地裁で開かれた。
    候補者の中から選ばれた42人が裁判所の質問手続きを受け、くじで裁判員6人と補充裁判員3人が決まった。
    ケネス被告の裁判員裁判は16日に初公判が開かれ、17日まで審理が続く。24日に論告求刑公判で判決は12月1日に言い渡される。
    裁判で被告側は「殺意はなかった」と殺人罪を否認する方針で争点は殺人罪の成否と量刑の2点になる。

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