2017年11月24日金曜日

《容疑米兵に「深い同情」》海兵隊トップ、責任言及せず

《容疑米兵に「深い同情」》海兵隊トップ、責任言及せず
〈琉球新報2017年11月23日 1面〉

ロバート・ネラー米海兵隊総司令官は21日、那覇市で19日に起きた在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故について、「亡くなった方のご家族に哀悼の意を表する。また、(事故を起こした)海兵隊員にも深い同情を感じている。(事故は)彼の意図ではなかったと確信している」と述べた。本誌の取材に答えた。
海兵隊トップが、飲酒運転で死亡事故を起こした海兵隊員の責任については言及せず、「同情」の意を示した。再発防止策や綱紀粛正などの言及もなかった。

「彼の意図ではない」
ネラー氏の発言について県幹部は「謝罪の言葉が真っ先に出るべきなのに、非常に違和感を感じる」と不快感を示した。
取材に対しネラー氏は「事故は捜査中であり、日米地位協定の下、彼に何が起きたかについて日本の司法で判決が下されるだろう。今後も捜査に協力していく」と述べた。
また事故は「もちろん、起きて欲しくなかったが、起こってしまった。沖縄の人々、日本の人々に理解をしてほしい。2万2~3000人の海兵隊員が沖縄、日本に駐留している。そしてこの個人は大きな間違いを起こしてしまった」と説明。
「私の知る、沖縄の多くの人々は、非常に大多数のアメリカ人は良き隣人であり、文化に対して敬意を表し、海外でも適切な行動を取ってることを理解しているだろう」と述べた。

《同盟、沖縄が貢献》米兵飲酒死亡事故「米広報官、基地正当化」
〈琉球新報2017年11月23日 2面〉

米国務省のヘザー・ナウアート報道官は21日、那覇市で起きた米海兵隊員による飲酒運転死亡事故について、「事故が起きてしまい非常に残念だ。故人、ご遺族に深い哀悼の意を表する」と本誌の取材に述べた。
アーロン・ターバー東アジア担当広報官は「沖縄の人々が、日米同盟に重要な貢献をしていること、また在沖米軍基地の軍人たちにも友情を広げていることに、深い敬意と感謝を改めて伝える」と説明。沖縄、日本にある米軍基地は「米国が同盟へのコミットメントを果たし、地域の平和と安全を保つことを可能にしてる」とコメントした 。

《謝罪なく「傲慢」》容疑米兵に「同情」『隊員擁護に不信と怒り』
〈琉球新報2017年11月23日 31面〉

米海兵隊トップのロバート・ネラー米海兵隊総司令官が、那覇市で飲酒運転死亡事故を起こした在沖米海兵隊員に対し、責任については言及せずに「深い同情」の意を示したことに県内からは「あまりに傲慢だ」「本音が露呈した」などと反発や疑問視する声が上がった。過去にも、米兵が起こした事件を巡り、米軍幹部が米兵を擁護するような発言してきたことも踏まえ、「兵隊を守る意識が第一」「地元に対する言葉(哀悼)はリップサービス」などと批判が相次いだ。

米軍人・軍属による事件被害者の会元事務局長の村上有慶さんは「軍のトップが海兵隊員に同情するという発言はおかしい。あまりにも傲慢で上から目線だ」と指摘した。「同情」発言の背景にある意識について「組織として軍を守る意識が第一にあって、地元住民への(哀悼の意の)言葉はリップサービスで言ってるだけだろう」と強調した。
那覇市の城間幹子市長は(事故を起こした)当事者感覚がないなと思う。ますます腹立たしい」と怒りをあらわにした。ネラー総司令官の「(事故は彼の)意図ではなかった」との発言についても「かばうような身内感覚は死者にむち打つようなものだ。言ってはいけない」と批判。「沖縄から離れるほど、沖縄の存在は切り捨てられている感じがする」と述べ、日米両政府が沖縄の基地問題を軽視する姿勢の表れだと指摘した。
県幹部は米軍の思考として「海外展開している兵員をねぎらう言葉が真っ先に口に出る。日本を守るために駐留しているのになぜ批判されないといけないのか、という本音が露呈したのだろう」との見方をした。

【米兵勾留を決定】飲酒場所など特定へ
米海兵隊員による飲酒運転死亡事故で、那覇地裁は22日、米海兵隊上等兵ニコラス・ジェームズマクリーン容疑者(21)=米海兵隊牧港補給地区所属=の勾留請求を行い、同日、裁判所が勾留を認めた。那覇署は今後、事故の目撃者や関係者らへの事情聴取し、実況見分を行う。事故当時の様子や同容疑者の飲酒場所などを特定する方針。

【不名誉除隊の意向】所属司令官、軍法会議も
在沖米海兵隊による飲酒運転死亡事故で那覇市民が犠牲になったことを受け、隊員が所属する米軍キャンプ・キンザー司令官のスコット・ジョンソン大佐が22日、那覇市役所を訪れ、城間幹子那覇市長に謝罪した。城間市長は「家族のことを思うと本当に胸が痛く、かきむしられる思いがする。綱紀粛正は効果がなく、憤慨に堪えない」と強い怒りを伝え、抗議した。その上で「目に見える形での綱紀粛正、職員管理をお願いしたい。『良き隣人』でありたいと言うなら、それなりの態度や行動を示してもらいたい」と再発防止を求めた。
これに対しジョンソン大佐は「我々に対する怒りと、深い悲しみを理解する。効果的な綱紀粛正と教育を再度、徹底していく」と述べた。
那覇市に先立ちジョンソン大佐は浦添市役所に野口広行副市長訪れ、謝罪した。市によると、ジョンソン大佐は死亡事故を起こした隊員を不名誉除隊にした上で軍法会議にかけると表明したという。野口副市長は「大変遺憾だ。綱紀粛正が守られていない」と抗議した。

那覇市長との会談終了後、ジョンソン大佐は記者団に対し、県警の捜査に全面的に協力することを強調した。隊員の飲酒の経緯について「隊員が基地の中で飲酒してたのか、外で飲んでいて基地に戻ってきたのかわからない」と述べた。基地を出る際の飲酒検査の有無については「一般的には、通常の勤務時間帯であれば公用車のドライバーの飲酒検査はしない」と、米軍車両の管理や飲酒検査について問題があるという認識は示さなかった。

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