2017年11月14日火曜日

石材の海上輸送着手

2017年11月14日 琉球新報一面トップ

『国、石材の海上輸送着手』新基地建設 奥港に搬入強行

米軍普天間飛行場の流し辺野古移設をめぐる新基地建設で沖縄防衛局は13日、国頭村奥港で石材を海上輸送する作業に着手した。
大型トラック約50台が台船へ石材を積み込んだ。天候が整えば、14日に辺野古へ搬入する見通し。資材の海上輸送は2014年7月に新基地建設が着工してから初めてとなる。新基地建設に反対する市民らが、奥港で抗議の声を上げた。

海上から台船で石材を直接、大量に搬入することで新基地の埋め立てを加速させることが狙い。台船1隻に搭載される石材は陸上での搬入に使われている大型トラックの200台以上の積載量に相当する。
午前7時半すぎ、大量の石材を大浦湾まで運ぶ大型の台船が奥港に到着した。
国頭村奥集落の住民や新基地建設に反対する役50人が奥港に集まり、「集落は意思表示していない。ちゃんと説明しろ」「搬入を強行するのはおかしい」など抗議した。
午前9時過ぎ、国頭村辺土名の採石場から石材を積んだ大型トラック25台が港に到着した。新基地に反対する市民がトラックの進行を妨害しようと道路に横たわるなどして抗議したが、県警機動隊に排除された。午後1時過ぎにも大型トラック26台が石材を台船に運び込んだ。
沖縄防衛局は、辺野古先北側のK9護岸を桟橋として使い、台船を接岸させて石材を搬入する。運び込んだ石材は、6日に始まった辺野古先南西側のN5護岸、K1護岸の工事に投入する。
県はK9護岸の利用が実施計画の変更に当たるとし、工事の停止を求めているが、海上輸送に伴う奥港の岸壁と港湾施設用地の使用許可を9月に出した。
本部町は10月、本部港の荷捌き地の使用許可を出している。
今のところ、本部港に近い埼本部区の区長に沖縄防衛局からの説明はなく、本部港からの石材搬出のめどは立っていない。


琉球新報 2面関連記事
【 県幹部「行政の限界」 】辺野古新基地 石材海上輸送「国、抗議分散で消耗狙う」

辺野古での新基地建設工事に使用する石材の海上輸送が始まった。国は工事の加速化のほかに、海上搬入と陸上搬入を同時に進めることで市民の抗議行動を分散させエネルギーを消耗させる”効果”も狙っている。
石材の海上輸送をめぐっては、県が奥港の使用を許可したことから「あらゆる手段を使い新基地建設を阻止する」と口にしてきた翁長雄志知事に対し言動不一致との批判も表面化し始めている。
これに対し県幹部の一人は「市民からそういう声が出るのは当然だ。ただ、行政にも限界がある」と苦悩をにじませる。県は今後、往来する大量のダンプカーによる振動や粉じん、騒音で、奥港近くの奥小学校やヤンバルクイナなどの環境への影響を監視していく構えだ。
13日、中国出張から帰任し、ハガティ駐日大使との面談を終えた知事に報道陣が港湾使用許可への説明を求めたが、知事は取材に応じなかった。事務方が「地元にも説明し、現場の情報を集めてからではないと説明責任が果たせない。県民の気持ちを受け止めた上で説明したい」との知事の言葉を伝言するのみだった。
国のペースで工事が進むが課題もある。海上と陸上の資材搬入を同時に行うことで抗議活動を警戒する機動隊も分散することになる。
国には「反対派を抑えられる人数を確保しないといけない。分断は警察側もきつい」(警察関係者)との不安の声もある。しかし、防衛省関係者は「使える港はもっと増えてもいい。安全に作業を進めるためだ」とほくそ笑み、工事の手を緩めるつもりはないことを強調した。

【 県「違法」批判を回避 】岸壁使用許可 政府の提訴懸念
辺野古新基地の護岸工事で国頭村奥港からの石材海上搬送に向けて台船への積み込みが13日始まった。台船が港を使う岸壁使用は県が9月上旬に許可した。6月下旬の申請から3ヵ月弱。許可決定まで県庁内では新基地は造らせないとの翁長雄志知事の公約との兼ね合いをめぐる議論もあったが、逆に政府側から不履行で提訴されることも想定し「法律論として認めざるを得ない」(県幹部)として決定に至った。
岸壁使用申請について県はこれまで通常2週間で判断してきた。3ヵ月弱は異例ともいえる長期で、その間、知事公約を念頭に「許可を出さないことが可能か」との議論も交錯した。
「港湾法に基づけば不許可にはできず、不許可とすれば逆に違法になる」(県担当者)。
弁護士にも相談し政府が県を訴え「違法との判決が出た場合、不適切な行政を行ったと国民に受け取られかねない」との判断も働いた。
県幹部は「裁判に負ければ、また政府は負けた、負けたとはやし立ててくる」との見通しも示しながら「だからこれ以上延ばせない」との決断に至った経緯を説明した。
辺野古新基地建設の護岸工事を巡っては奥港のほかに中城湾港の使用についても9月上旬に申請が県に提出されている。こちらの申請は県としてはあくまでも法的に判断していく姿勢だ。

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