2017年11月20日月曜日

米兵飲酒運転事故、男性死亡

《米兵飲酒運転、男性死亡》衝突、信号無視か
那覇・泊交差点 公務外に公用車〈琉球新報2017年11月20日 1面トップ〉

那覇署は19日、酒気を帯びた状態で米軍公用車の2トントラックを運転し、会社員の平良英正さん(61)=那覇市=が運転する軽トラックと衝突して平良さんを死亡させたとして、米海兵隊牧港補給地区基地所属の米海兵隊員上等兵ニコラス・ジェームズ・ マクリーン容疑者(21)を自動車運転処罰法違反(過失運転致死)と道路交通法違反(酒気帯び運転)の容疑で逮捕した。那覇署によると、ジェームズマクリーン容疑者は容疑を認めており、呼気からは基準値(1リットルあたり0.15ミリグラム)の約3倍のアルコールが検出された。同署は危険運転致死容疑への切り替えも視野に捜査を進めている。

【那覇署、容疑で逮捕】
逮捕容疑は19日午前5時25分頃、酒気を帯びた状態で米軍公用車の2トントラックを運転して那覇市泊の国道58号線を南向けに直進中、那覇市松山方面から安里方面へ右折しようとした平良さんの軽トラックに衝突し、平良さんを胸部圧迫閉塞や外傷性くも膜下出血などにより死亡した疑い。平良さんは救急搬送されたが、午前6時55分に死亡した。ジェームズマクリーン容疑者も左腰に擦り傷負った。
目撃者の証言などから、赤信号で右折矢印に従って曲がろうとした平良さんの車に、米軍トラックが信号を無視して交差点に進入し、衝突した可能性がある。
県警には事故後、米軍側から公務外という連絡があった。那覇署は無断で公用車を持ち出した可能性もあるとみている。県警が容疑者を逮捕しているため、日米地位協定上の身柄引き渡し問題は発生しない。
米軍のトラックは那覇署が現場道路の安全確保のために同署に運んだ。米軍は19日午後、米軍財産としてトラックを回収した。那覇署によると、実況見分などの初動捜査は終えており、捜査の大きな支障にはならないという。

《繰り返す事故に怒り》飲酒米兵衝突 遺族「優しいおじさんが」
〈琉球新報2017年11月20日 27面〉

公用車を公務外で飲酒運転していた米海兵隊上等兵のニコラス・ジェームス・ マクリーン容疑者のトラックが、平良英正さん(61=那覇市=の運転する軽トラックと衝突し、平良さんは約1時間後に死亡した。繰り返される米兵の飲酒運転が絡んだ事故。在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官は19日、遺族に「遺憾と哀悼の意を伝えたい」との声明を発表した。遺族はあらためて事故の再発防止を求めた。

日曜日の午前5時半、夜が明けきらない時間帯に、事故が発生した。昼間は交通量が多いことで知られる那覇市の泊交差点。最も交通量が少ない休日の早朝で目撃者も少なかった。
英正さんのおい・幸生さん(48)によると、英正さんはこの日、休日の予定だったが前日に急遽変更になり、出勤途中だったという。「優しいおじさんでかわいがってもらった」と振り返り、衝突した車両について「自分もよく乗っていた車だった。ぺしゃんこになってしまってて、びっくりした」と驚いた様子で語った。米兵の飲酒運転については、米軍基地の即時撤去が現実的に厳しい現実現状を踏まえ「”共存”しなければならない以上、きちんとした再発防止に取り組んで欲しい」と語った。
今回は県警が逮捕しているため、身柄の引き渡しに関する地位協定の問題は生じない見通し、しかし被害者の賠償に関しては規定で、公務外で事件、事故を起こした米兵本人に支払い能力がない場合、米政府が慰謝料を支払うことになっている。
しかし、米政府が遺族に提示する額が日本の裁判所が命じた賠償額より低いケースが過去にあった。米軍人・軍属による事件被害者の会元事務局長の村上有慶さんは「被害者が『泣き寝入りしない』という意思で行動を起こさないといけない」と述べた。

《駐日米大使 遺族へ弔意》
外務省は19日、米兵が飲酒運転で過失運転致死事故を起こしたことについて、海外出張中の河野太郎外相の指示を受けた杉山晋輔外務事務次官が、ハガティ駐日米国大使に遺憾の意を伝え、綱紀粛正と再発防止を求めた。
ハガティ氏は事故の被害者に「哀悼の意」を表し、遺族への弔意と 謝罪があった。同時にハガティ氏は「捜査協力と再発防止策に全力を尽くす」などと県警の捜査に協力する姿勢を示した。外務省は併せて、駐日米国大使館のジョセフ・ヤング首席公使、チャールズ・シュロティ在日米軍副司令官らに対しても同様に遺憾の意を伝えた。

「遺憾と哀悼」四軍調整官が声明
在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官は19日、海兵隊員が飲酒による交通死亡事故を起こしたことを受け「死亡した方の家族や友人に深い遺憾の意と哀悼の意を伝えたい」と声明を発表した。米軍は20日、米海兵隊太平洋基地司令官ポール・ J・ロック 准将が県庁を訪れ事故について説明する。謝罪する見通し、海兵隊は事故原因について「調査中」とし「日本の捜査機関と協力していく」とした。

【県が抗議検討】
海兵隊による飲酒死亡事故を受け、県は抗議などの対応の検討に入った。19日、富川盛武副知事に在沖米軍トップのローレンス・ニコルソン四軍調整官から電話で事故の連絡が入り、20日に米軍幹部が県庁訪れる意向を伝えた。
外務省沖縄事務所の川田司大使は19日、ニコルソン四軍調整官に電話で抗議し、再発防止を求めた。外務省沖縄事務所によるとニコルソン氏は飲酒絡みで死亡者を出した事故の深刻さに触れ謝罪の言葉を口にしたという。沖縄防衛局は19日、口頭で米軍に再発防止と綱紀粛正の徹底、遺族への誠実な対応を要請した。

【「腹立たしい」那覇市長】
城間幹子那覇市長は、泊交差点で米海兵隊員による飲酒運転死亡事故が発生し、市民が犠牲になったことに「悔しい、腹立たしい思い」と憤った。「これまで何度も声を上げて求めてきた綱紀粛正が不十分で、こういう事故が起きたと思う。まずは米軍側が市民や県民にどう説明するか注視したいと話した。

《米の管理態勢に問題》前泊博盛氏(沖国大教授)
飲酒して公用車を使用していたという状況は、米側の管理態勢に問題がある。県は、しっかりとした管理態勢を取るよう米側にくぎを刺す必要がある。
公務外だったとのことだが、公用車に乗っていたのはなぜなのか疑問が残る。
公用車を使うことで検問を受けにくくし、飲酒運転の発覚逃れをしようとの意図はなかったか。今回逮捕された米兵以外にも、日常的に公用車を使って飲酒運転をしていないか。米軍車両であっても、しっかりと検問する必要があるし、公用車の運用や、管理態勢についても注目すべきだ。

被害者遺族への補償も注視しなくてはいけない。Yナンバーだと任意保険に入っていない場合もあり、事故時の補償の支払いが問題になることが多い。遺族がきちんと補償を受けられるよう、意識しておいた方がいい。

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