2017年11月19日日曜日

沖縄問題、言及せず

《沖縄問題、言及せず》政権下で初、埋没の懸念も 〈琉球新報2017年11月18日 3面〉

安倍晋三首相の17日の所信表明演説では、これまでの演説で触れていた米軍基地問題や振興などの沖縄政策に関する言及はなかった。安倍政権下でのこれまでの所信表明では最も少ない3500字の演説で簡素な内容だったとはいえ、「沖縄」の2文字が消えたのは安倍政権になって初めてのことだ。
今回の演説の特徴について、政府関係者は今国会で提出法案が少なく、衆院選で与党が訴えたことを中心に、内閣の大きな課題の方針を示すものだと指摘。触れられていない重要政策については、年明けの通常国会での施政方針演説で説明するとした。
衆院選で、自民党は北朝鮮情勢や少子高齢化への対応などを「国難」として争点に位置付けた。一方で選挙期間中には東村高江の民間地で米軍ヘリ炎上事故が発生し、日本側の捜査が日米地協定に阻まれるなど、日本の主権が及ばない実態があらわになった。だがそうした中でも、沖縄が抱える問題は全国的な争点にはならなかった。
これまでの演説では、沖縄に関する言及として、辺野古移設推進のほか、米軍北部訓練場の過半数返還に伴う基地負担軽減、好調な観光需要などを強調する内容などがあった。
県と対立する基地問題を巡っては、現在も名護市辺野古で石材を海上搬入などの新基地建設作業が急ピッチで進む。北朝鮮がクローズアップされる中で、沖縄問題が埋没することも懸念される。

《「辺野古」意義を強調》米大使「日米政府の姿勢踏襲」〈琉球新報2017年11月18日2面〉

ハガティ駐日米大使は17日、千代田区の日本記者クラブで会見した。米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について「現在追求されている唯一のオプションだ。かなりの進展がみられたと思う。普天間を訪れた後、代替施設が必要だと痛感した」と工事の進展を歓迎し、計画を進めるこれまでの日米両政府の姿勢を踏襲した。
辺野古新基地建設について記者から質問されて答えた。ハガティ氏は13日に来県し、辺野古、普天間を視察。普天間周辺は住宅が密集していることなどを挙げ、辺野古新基地建設の正当性を主張した。 同時に「沖縄の方々と緊密に連携し、私どもの影響をできる限り下げるだけではなく、北朝鮮の圧力に対処したい」と基地負担軽減と抑止力の維持の必要性を指摘した。

【米防衛技術供給 日米首脳が協議】今月来日時
日本記者クラブで記者会見したハガティ駐日米大使は、トランプ大統領が今月来日した際の安倍晋三首相との会談で、米国の高度な防衛技術を日本に提供するための原則と手続きの迅速化に関して協議したと明らかにした。具体的な武器の種類には触れなかったと説明した。
トランプ氏は会談を受け、ハガティ氏らに日本側との調整を指示した。
ハガティ氏は、トランプ氏が米国製の武器購入拡大を求めたのは貿易の不均衡を是正するためではないと指摘した。「日本の防衛能力と日米の相互運用性を高めるため」であり「結果
として貿易赤字の穴埋めになればいいが、それは目的ではない」と主張した。
貿易不均衡の問題に関連し、ハガティ氏はトランプ氏と安部首相が会談で「自由貿易協定(FTA)を含むあらゆる貿易の問題を話し合った」と述べた。

【基地内環境調査 未実施を認める】環境相、14年度以降
中川雅治環境相は17日の閣議後の記者会見で、国内の在日米軍基地で環境省が実施していた環境汚染調査について、2014年度以降は基地内では実施していないことを認めた。「基地周辺を調査すればより広範囲の調査となり、基地内もそこから推測される。異常な状態はない」と述べ、基地内で実施していない理由は明らかにしなかった。

在日米軍基地での環境汚染調査は、基地に起因する環境問題の未然防止を目的に、環境省が1978年度以降から毎年実施。以前は基地内部でも調査していた。沖縄県は、水質調査業務を環境省から受託して実施している。県の担当者によると、基地内を調査できるかどうかは、委託を受けた時点で決められている。「周辺の河川の調査では、排水の実態は分からない。環境への影響も薄まるのではないか」と指摘。基地内での調査再開を環境省に求めている。

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