2017年11月25日土曜日

《基地ごみ積極受け入れ》利益優先、ごみの山の一因

《基地ごみ積極受け入れ》利益優先、ごみの山の一因
〈琉球新報2017年11月23日 30面〉

【倉敷産廃取り消し】
不法投棄をしたとして産業廃棄物処分業の許可を取り消された沖縄市池原の大手廃棄物処分業者、倉敷環境が2013年度以降、在沖米軍基地から排出されたごみの受け入れ量を大幅に増やしていたことが22日、県の調べで分かった。
廃棄物を積み上げた高さ30mの「山のごみ」の処理をしなければならない同社が、十分な分別がなされず、処理に手間がかかる米軍基地の排出ごみを積極的に受け入れていた実態が明らかになった。倉敷ダム流域振興促進協議会の池原秀明会長は「ごみ山の処理より、利益を最優先する社の姿勢が如実に表れている」と指摘した。

【分別せず2.3万トン】14年度
在沖米軍基地内には廃棄物処理場がないため基地から排出されるごみは、倉敷環境を含む県内の民間業者2者が大方、請け負っている。中でも倉敷環境は前身の南商会の時代から、県内随一の量を受け入れてきた実績がある。
県の調べによると、09~15年度までの米軍基地排出ごみの総量は年間2万1千~2万6千トンで推移し、ほぼ横ばいだった。排出ごみの総量が2万6691トンだった09年度は、倉敷環境と別の会社が半分ずつ受け入れていた。だが13年度は総量2万5608トンのうち1万9670トンを、14年度は総量2万3064トンすべてを倉敷環境が受け入れていた。
日本環境管理基準(JEGS)には「各米軍施設は固形廃棄物管理計画を策定・実施し、廃棄物の排出量削減やリサイクル率の上昇、堆肥化に努めること」と明記されているが、実際はほとんど分別されないまま、業者に排出されている。
県の担当者は、米軍の1人当たりのごみの排出量は県民の約2倍とされることから「長期にわたる米軍基地排出ごみの受け入れが、ごみ山をつくる一因になった可能性は高い」と分析している。

【県、市町村に協力要請】
倉敷環境の産業廃棄物処分業の許可取り消しを受け、県は22日、本島中南部地区の廃棄物処理に係る職員を対象にした説明会を那覇市内で開いた。県はこれまで同社が処理していた在沖米軍基地から排出される一般廃棄物の受け皿が現時点で見つかっていないことを説明し、各市町村で焼却施設などで受け入れできるかを検討するよう求めた。
在沖米軍基地から排出される一般廃棄物の大半が、倉敷環境と別の業者の2者で処理されている。環境整備課の松田了課長は倉敷環境の許可取り消しに伴い、もう一方の業者に受け入れを打診したが「現状では厳しい」との回答があったと報告した。県は引き続き民間の中間処理業者の協力を得ながら適正に処理できる方法を模索するとして、市町村に協力を求めたほか、米軍に対しても沖縄防衛局を通して市町村ごとの規則にのっとった分別をするよう協力を求めていくとした。
県は市町村が認めれば一般廃棄物処理施設で産業廃棄物を併せて処理できる「合わせ産廃」のシステムについても説明し、協力を求めた。

中部地区の役所職員は県の対応に対し、「説明を聞いても不明瞭な点が多い」とし、「行政だけではなく廃棄物の回収・運搬・処理業者など末端にはまできちんと周知してほしい」と指摘した。

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