2017年11月17日金曜日

津見島沖、米軍降下訓練

《中止訴え 声届かず》津堅沖、相次ぐ米軍降下訓練〈琉球新報27面2017年11月16日〉


【地元無視、通知もなおざり】


うるま市津堅島訓練場水域での米軍パラシュート降下訓練が今年に入り急増し、常態化している。うるま市やうるま市議会が降下訓練の中止を求め関係機関へ採算訴えるものの、具体的な対策について返答はなく、一向に改善されない状況が続く。米軍は16日にも訓練を強行する構えで、市議からは「多すぎる」「政府は米軍に地元の声を伝えているのか」と憤りの声が上がってる。


〈 いらだち〉
津堅島訓練水域での降下訓練は、1997年以降の10年間で16回、直近では2009、2015年に年1回確認されていたが、今年は11月7日までに9回と急増している。


市議会は9日、今年4回目となる抗議決議と意見書を可決した。4回の抗議決議は全て退席なしの全会一致で可決されている。


「(文書に)回数も明記した方がいいんじゃないか」。9日の臨時会を前に開かれた市議会基地対策特別委員会で、ある議員が発言した。しかし、別の市議からは「頻繁に訓練があるから、回数は入れない方がいい」との指摘があった。決議を協議している最中にも、新たな訓練が実施されるという懸念からだ。


常態化する訓練に「抗議決議と意見書を決議して意味があるのか」「( 水域での訓練禁止は)国家間交渉で、これ以上議会としての手立てはない」と抗議決議の効果を問う声や諦めの声も漏れ始めている 。


《形骸化》
訓練が実施される際には事前に県やうるま市に通知されるが、その内容は水域を使用する旨しか記載されておらず、時刻や訓練内容は分からないのが現状だ。今月7日に、実施された降下訓練では民間の作業船とみられる船舶に、上空から落下する兵士が近接する様子も確認されている。詳細な訓練時刻が知らされない中では、船舶への注意喚起が行き届かない恐れもある。


2009年に実施された降下訓練の際には、県やうるま市に事前の連絡がなく、米兵1人が水域外に落下して地元漁業者から苦情が寄せられたことで訓練が発覚した。今後も不十分な事前通知すら行われない可能性も否めない。


市幹部は、詳細な訓練時刻が知らされないことに「訓練をいつやるのか、実施したのか、してないのかもわからない」と憤る。確認のために職員を派遣しようにも「(人員の問題で)終日職員を配置することはできない」と話し、事前通知のあり方に疑義を示す。


《政府への不信感》
1996年の SACO(日米特別行動委員会)最終報告で、日本政府は読谷補助飛行場の返還条件として、パラシュート降下訓練を伊江島に移転することを盛り込み合意した。
移転に伴う降下訓練の増加に対応するため、SACOでは伊江島での降下訓練の最大時間枠を設けている。一方で、津堅島訓練水域の使用条件が記されている「5.15メモ」には「水陸両用訓練のために使用される」とされ、降下訓練について詳細な記載はない 。


「これまでと同じような状況とはいかない」。訓練急増を受け9日、市議会と共に沖縄防衛局に抗議要請に訪れた上間副市長は強い口調で指摘した。事前通知を受け取るたびに訓練中止を求める市だが、それを無視される形で強行される訓練に、憤りを隠さない。市議からも「(中止要請は)政府や米側にきちんと伝わっているのか」「中止要請を受けて防衛局ではどう対応してるのか」などの声が上がり、政府への不信感も増している。

市議会の大屋議長は、SACOや5・15メモに、降下訓練の記載がないことに「やるとも(書いていない)、やらないとも明記されていない。しっかりと整理してほしい」とした上で、「地元が訓練禁止を強く要望していえう。国も真摯に取り組んでほしい」と水域での訓練禁止に向けた、政府の具体的な対応を求めた。(上江洲真梨子)

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