2017年11月29日水曜日

「米兵飲酒死亡事故」県議会が抗議決議

《米兵飲酒死亡事故》 県議会が抗議決議
〈琉球新報2017年11月29日 1面〉

那覇市で起きた在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故を受け、県議会(新里米吉議長)は11月定例会初日の28日、在沖海兵隊の早期の国外・県外移転や在沖米軍・軍属の凶悪犯罪に対する司令官や上司の更迭などを求める意見書と抗議決議を全会一致で可決した。
27日時点で要求事項の文言が折り合わないとして与野党間で物別れに終わっていたが、28日に再調整し、双方が歩み寄った。
決議と意見書は①遺族への謝罪と完全な補償の速やかな実施②在沖米海兵隊の早期の国外、県外移転③在沖米軍・軍属による凶悪犯罪発生時の司令官と上司の更迭④県と日米両政府の三者による特別対策協議会を設置した上での事件事故の再発防止⑤日米地位協定の抜本改定ーを求めている。

決議は「県民の尊い命が失われたことは極めて遺憾であり、基地あるがゆえの事件・事故が繰り返されることに怒りを禁じ得ない」とした上で「公用車が公務外に使用されている状況を鑑みると、米軍の綱紀粛正や再発防止の取り組みはもはや機能していないと言わざるを得ない」と指摘してる。


《文言修正し総意実現》米兵死亡事故県議会抗議決議
〈琉球新報2017年11月29日 2面〉

【海兵隊「撤退」→「県外・国外」
在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故に対する意見書・抗議決議は、27日の米軍基地関係特別委員会(軍特委)では文言をめぐって折り合わず、本会議では与党が提案する意見書・抗議決議が可決される公算が大きかった。翌28日には一転して与野党、中立の各会派が「退席なしの全会一致」を追求して調整を繰り返し、与野党双方が歩み寄る形で県議会の総意を示すことにこぎつけた。

27日の軍特委では与党会派が「在沖米海兵隊の撤退」を盛り込むよう主張したが、野党の沖縄・自民は「その文言では乗れない」と削除を求め、物別れに終わった。
28日の11月定例会本会議前に開いた議会運営委で、自民会派から「できるだけ全会一致を目指したい。こちらが提案する意見書・決議案を改めて軍特委で諮ってほしい」と要望が上がり、与党会派が応じた。
自民側は文案の中で①米軍人・軍属による凶悪犯罪発生時の司令官と上司の更迭②県、日米両政府の三者による協議機関の設置ーを盛り込んでいた。自民会派の1人は軍特委の採決に持ち込めば、社民や共産を含む他会派も反対する内容ではない」と述べた上で、「与党が主張する在沖海兵隊の撤退は実現性に乏しい」として、自民会派の文案での全会一致に自信を見せていた。
自民会派の思惑とは別に、28日の軍特委開会前に調整を重ねる間に双方が歩み寄る機運が徐々に高まった。自民側は与党が掲げる「在沖米海兵隊の撤退」の代わりに「早期移転」の文言を提案したが、与党会派は「辺野古移設推進に繋がる」として拒否。中立の公明会派から「『早期の国外、県外への移転』ではどうだ」と提案が上がり、合意に至った。
与党会派の1人は「我々からすると『撤退』と『国外、県外移転』は何ら変わらない。自民側がこの文言を良しとしたのしたのが驚きだ。撤退を求める県民意思を無視できなくなっているのではないか」と語った。
一方、自民会派の1人は「撤退と国外、県外移転では安全保障上の意味合いが異なる。可決した文言は日米特別行動委員会(SACO)合意の範疇だ。三者協設置など我々が提案した要求事項が可決された意義は大きい」と述べた。
与野党間で歩み寄った文言の解釈の違いを残しつつも全会一致で決議、意見書を可決した。公明会派の県議は「再発防止に向けて効果あるメッセージを政府に発するためにも、全会一致で可決できて良かった」と胸をなでおろした。

【首相「ドアはオープン」新基地巡る県との対立に】
安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、対立する状況が続いている国と県が対話する可能性を問われ「翁長知事から会いたいと言われればいつでもドアはオープンだと言いたい」と述べ、求められれば会談に応じる姿勢を示した。下地幹夫氏(維新)の質問に答えた。
下地氏は北朝鮮への対応でも米軍基地が集中する沖縄の役割が重要になると主張。辺野古新基地建設については、埋め立てに向けた工事が進んでいるとして「交渉できる最後の時期に来ている」として、早期に会談すべきだとした。
安倍氏は新基地建設を巡り、和解後も訴訟が続いていることを念頭に「残念だ」と指摘した。同時に「建設的な話になっていかなければならない」と述べ、基地建設に理解を求めていく意向もにじませた。

【辺野古移設「全力で」】防衛、外相が所信表明
小野寺五典防衛相は、河野太郎外相は28日の衆院安全保障委員会で所信表明し、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、1日も早く実現させるとして「全力で取り組む」と改めて明言した。
両氏とも同時に基地負担軽減といった沖縄などの地元対策が必要なのは「米軍の安定的な駐留のため」と強調した。
小野寺氏は核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威を抑止する行動をするとしたうえで「同時に沖縄など地元の基地負担軽減の取り組みも重要だ」と指摘した。

辺野古新基地建設や在沖海兵隊のグァムなどへの移転を進めるとした。米軍の安定駐留のために「地元の理解を得ることが必要不可欠だ」として、事件事故への懸念に応じて安全な飛行や綱紀粛正の徹底を求めるとした。

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