2017年11月30日木曜日

《米「見舞金で免責を」》2008年沖縄市タクシー強盗致傷

《米「見舞金で免責を」》2008年沖縄市タクシー強盗致傷
【被害者側は修正希望】〈琉球新報2017年11月30日 30面〉

2008年1月に沖縄市で発生した米軍人2人によるタクシー強盗致傷事件で現在も被害者側に日米地位協定に基づく補償がされていない問題で米政府側が29日までに、被害者側に加害者の責任を免除する内容の示談を提示した。
被害者側は29日、賠償責任を問えなくなる可能性があるとして内容を修正した上で署名することを、沖縄防衛局に申し入れた。
示談書は約146万円を見舞金として支払い、「事件から生じる全ての請求や訴訟から同人(加害者)、米国政府などを永久に免責する」としている。これに対し、被害者側は今後控える損害賠償請求訴訟に向け「同人」を削除した内容でのみ示談に応じることを伝えた。
被害者側代理人の新垣勉弁護士は「米側は事件事故を巡る補償で従来と変わらず責任の免責を提示しており、問題がある。見舞金も被害者が受けた損害に到底及ばない。国はこの姿勢を正すよう米側に要求すべきだ」と指摘した。

《沖縄戦訴訟きょう判決》2審弁護団「実態直視を」
沖縄戦で被害を受けた民間人や遺族ら60人が国に謝罪と損害賠償を求めた「沖縄戦被害国家賠償訴訟」の控訴審判決が30日、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で言い渡される。沖縄戦は住民を守るためではなく実態は本土防衛のための「捨て石」作戦で、多数の住民が動員され、犠牲者を出した。どのように国の責任を問い、戦争被害の歴史を後世に伝えるべきか。司法の判断が注目される。
1審の那覇地裁判決は、戦時の憲法には国の公権力行使による賠償責任は「認められない」などとして住民側の請求を棄却した。沖縄戦当時は国家賠償法施行前だったため損害賠償の責任を負わないとする「国家無答責の法理」で退けた。
戦争遂行により民間人を特別な危険な状態にさらした「公法上の危険責任」の訴えは実定法上の根拠がないとし、民間被害に対する国の賠償責任を認めなかった。

瑞慶山茂弁護団長は「沖縄戦は集団自決や壕追い出しなどで亡くなった人が多い。日本軍の加害行為、不法行為が存在する。外傷性精神障害を負った住民がいるという実態を見て、高裁は国の責任の取り方を示してほしい」と訴えた。

2017年11月29日水曜日

「米兵飲酒死亡事故」県議会が抗議決議

《米兵飲酒死亡事故》 県議会が抗議決議
〈琉球新報2017年11月29日 1面〉

那覇市で起きた在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故を受け、県議会(新里米吉議長)は11月定例会初日の28日、在沖海兵隊の早期の国外・県外移転や在沖米軍・軍属の凶悪犯罪に対する司令官や上司の更迭などを求める意見書と抗議決議を全会一致で可決した。
27日時点で要求事項の文言が折り合わないとして与野党間で物別れに終わっていたが、28日に再調整し、双方が歩み寄った。
決議と意見書は①遺族への謝罪と完全な補償の速やかな実施②在沖米海兵隊の早期の国外、県外移転③在沖米軍・軍属による凶悪犯罪発生時の司令官と上司の更迭④県と日米両政府の三者による特別対策協議会を設置した上での事件事故の再発防止⑤日米地位協定の抜本改定ーを求めている。

決議は「県民の尊い命が失われたことは極めて遺憾であり、基地あるがゆえの事件・事故が繰り返されることに怒りを禁じ得ない」とした上で「公用車が公務外に使用されている状況を鑑みると、米軍の綱紀粛正や再発防止の取り組みはもはや機能していないと言わざるを得ない」と指摘してる。


《文言修正し総意実現》米兵死亡事故県議会抗議決議
〈琉球新報2017年11月29日 2面〉

【海兵隊「撤退」→「県外・国外」
在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故に対する意見書・抗議決議は、27日の米軍基地関係特別委員会(軍特委)では文言をめぐって折り合わず、本会議では与党が提案する意見書・抗議決議が可決される公算が大きかった。翌28日には一転して与野党、中立の各会派が「退席なしの全会一致」を追求して調整を繰り返し、与野党双方が歩み寄る形で県議会の総意を示すことにこぎつけた。

27日の軍特委では与党会派が「在沖米海兵隊の撤退」を盛り込むよう主張したが、野党の沖縄・自民は「その文言では乗れない」と削除を求め、物別れに終わった。
28日の11月定例会本会議前に開いた議会運営委で、自民会派から「できるだけ全会一致を目指したい。こちらが提案する意見書・決議案を改めて軍特委で諮ってほしい」と要望が上がり、与党会派が応じた。
自民側は文案の中で①米軍人・軍属による凶悪犯罪発生時の司令官と上司の更迭②県、日米両政府の三者による協議機関の設置ーを盛り込んでいた。自民会派の1人は軍特委の採決に持ち込めば、社民や共産を含む他会派も反対する内容ではない」と述べた上で、「与党が主張する在沖海兵隊の撤退は実現性に乏しい」として、自民会派の文案での全会一致に自信を見せていた。
自民会派の思惑とは別に、28日の軍特委開会前に調整を重ねる間に双方が歩み寄る機運が徐々に高まった。自民側は与党が掲げる「在沖米海兵隊の撤退」の代わりに「早期移転」の文言を提案したが、与党会派は「辺野古移設推進に繋がる」として拒否。中立の公明会派から「『早期の国外、県外への移転』ではどうだ」と提案が上がり、合意に至った。
与党会派の1人は「我々からすると『撤退』と『国外、県外移転』は何ら変わらない。自民側がこの文言を良しとしたのしたのが驚きだ。撤退を求める県民意思を無視できなくなっているのではないか」と語った。
一方、自民会派の1人は「撤退と国外、県外移転では安全保障上の意味合いが異なる。可決した文言は日米特別行動委員会(SACO)合意の範疇だ。三者協設置など我々が提案した要求事項が可決された意義は大きい」と述べた。
与野党間で歩み寄った文言の解釈の違いを残しつつも全会一致で決議、意見書を可決した。公明会派の県議は「再発防止に向けて効果あるメッセージを政府に発するためにも、全会一致で可決できて良かった」と胸をなでおろした。

【首相「ドアはオープン」新基地巡る県との対立に】
安倍晋三首相は28日の衆院予算委員会で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、対立する状況が続いている国と県が対話する可能性を問われ「翁長知事から会いたいと言われればいつでもドアはオープンだと言いたい」と述べ、求められれば会談に応じる姿勢を示した。下地幹夫氏(維新)の質問に答えた。
下地氏は北朝鮮への対応でも米軍基地が集中する沖縄の役割が重要になると主張。辺野古新基地建設については、埋め立てに向けた工事が進んでいるとして「交渉できる最後の時期に来ている」として、早期に会談すべきだとした。
安倍氏は新基地建設を巡り、和解後も訴訟が続いていることを念頭に「残念だ」と指摘した。同時に「建設的な話になっていかなければならない」と述べ、基地建設に理解を求めていく意向もにじませた。

【辺野古移設「全力で」】防衛、外相が所信表明
小野寺五典防衛相は、河野太郎外相は28日の衆院安全保障委員会で所信表明し、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、1日も早く実現させるとして「全力で取り組む」と改めて明言した。
両氏とも同時に基地負担軽減といった沖縄などの地元対策が必要なのは「米軍の安定的な駐留のため」と強調した。
小野寺氏は核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威を抑止する行動をするとしたうえで「同時に沖縄など地元の基地負担軽減の取り組みも重要だ」と指摘した。

辺野古新基地建設や在沖海兵隊のグァムなどへの移転を進めるとした。米軍の安定駐留のために「地元の理解を得ることが必要不可欠だ」として、事件事故への懸念に応じて安全な飛行や綱紀粛正の徹底を求めるとした。

2017年11月28日火曜日

F35B 嘉手納も使用

《F35B 嘉手納も使用》海兵隊「岩国配備の最大26機」
〈琉球新報2017年11月28日 2面〉

米海兵隊が2014年に作成した「自然資源・文化資源統合管理計画」によると、かいへいたいの最新鋭ステルス戦闘機F35Bは最大26機が米軍嘉手納基地へ展開する計画があることが27日までに明らかになった。同機は2017年米会計年度(16年10月~17年9月30日)から岩国基地(山口県)に配備後、嘉手納基地に展開し、伊江島補助飛行場や普天間飛行場をはじめ、在沖海兵隊のしせつのしようが明記されている。

【騒音増大の懸念】
同機は他機種よりも騒音が大きく、一層の基地負担の増大が懸念される。
F35Bは今年1月、米国外で初めて岩国基地に10機が配備され、11月下旬までに6機の追加を含む計16機の配備が完了。現行のAV8ハリアー戦闘攻撃機やF18ホーネット戦闘攻撃機と交代する。
在沖海兵隊広報は本紙の取材に「現在、海兵隊のF35Bを嘉手納基地に恒久的に展開する計画はない。第1海兵航空団所属の同機は岩国基地に常駐している。従来のAV8B、FA18と同様に、特定の訓練や活動支援のために、嘉手納基地に展開し、これまで通りの軍事空域、範囲内で活動する」と説明している。
空軍仕様のF35Aは、米ユタ州ヒル空軍基地所属の12機が11月から半年間にわたり嘉手納基地に暫定配備され、既に騒音が激化している。米軍は嘉手納基地で格納庫や駐機場整備、伊江島補助飛行場では強襲揚陸艦の甲板を模した着陸隊「LHDデッキ」の拡張工事を行い、F35を県内の基地で使う準備を進めている。
一方、米政府監査院(GAO)は、F35の深刻な部品不足による訓練・整備体制の不備や、資金面の課題に警鐘を鳴らしている。
同計画は米国の生物多様性センターが昨年9月、情報公開法に基づき入手。海兵隊のホームページでも公開されている。

【那覇軍港に新高速艦】「グァム」従来船と2隻体制も
在沖米海兵隊の兵士や車両の輸送を新たに担う米海軍の高速輸送艦「グァム」(1646トン)が那覇軍港に初寄港した。これまで大西洋で展開していたが、サイパンから22日に入港した。現在、在沖米海兵隊の移動に使われている高速艦「ウエストパック・エクスプレス」と交代させ、太平洋に展開予定とされていた。だが今回、両船そろって那覇軍港に停泊しており、2隻体制となる可能性も指摘されている。
高速艦の運用は海兵隊の機動展開の観点で注目されている。在日米軍の動向を監視する市民団体「リムピース」の瀬和太郎編集長は「ウエストパックはチャーター契約が更新されたばかりで最大2021年4月までの契約が見込まれている。両線とも沖縄海兵隊の支援任務に就く可能性が高い」と分析している。
米軍海上輸送司令部(MSC)は17年会計年度(16年10月~17年9月)はじめから、沖縄の第3海兵遠征軍(3MEF)を支援する予定と述べていたが、1年遅れで配備された格好。

高速輸送艦「グァム」は車両288台、乗員866人が搭載可能。双胴船タイプで、もともとハワイの民間フェリー「ファカイ」だったが、12年米会計年度に米海軍が購入した。運用するMSCの広報部は16年3月、高速輸送艦「グァム」について「17年会計年度の初めから、西太平洋で3MEFの支援に当たる予定」と発表していた。

米軍機墜落38%増、死者数は2.3倍

《米軍機墜落38%増》17年世界各地「死者数は2.3倍」
〈沖縄タイムス2017年11月28日 1面〉

2017年に米軍機が非戦闘地域で通常訓練中に起こした墜落事故は22件で、昨年同時期比で約38%増加した。米大手テレビ局フォックス・ニュースが25日、報じた。
事故による死者数は、沖大東島沖で22日に発生した米海軍のC2輸送機墜落事故の行方不明者3人(捜査打ち切り)を含めると37人で、昨年同期比2.3倍に増えた。
空中給油輸送機やオスプレイ、ヘリなど歯止めがかからない墜落事故に米メディアや議会が警鐘を鳴らしている。

【訓練中多発22件】
死者数が急増した背景には、乗員数が1人の場合の多い戦闘機などと比べ、乗員数の多い輸送機などの事故の増加が指摘されている。
米海兵隊のヘリ墜落事故をめぐっては、今年7月に米南部ミシシッピ州で、空中給油輸送機KC130が墜落し、乗っていた16人全員が死亡。8月には普天間飛行場所属の MV22オスプレイがオーストラリア沖で墜落し、乗員23人が救助され、3人が死亡した。8月には、ハワイのオアフ島沖で米陸軍の多目的ヘリUH60ブラックホークが墜落し、5人が死亡した。
16人の死者を出した7月のミシシッピー州での墜落事故後、米メディアは海兵隊の安全管理体制を批判するとともに、事故が頻発する原因を分析している。
米紙ニューヨーク・タイムズは8月、国防予算の削減が機体整備面に深刻な影響を与えている可能性があると指摘。フォックス・ニュースは、機体の整備能力の低下に加え、予算削減で訓練時間が削られたため、操縦士の技術の低下を招き、人命に関わる深刻な事故につながっているなどと分析していた。
同事故後は米議会でも国防総省に対する批判が高まり、マケイン上院議員は「戦闘地での敵からの攻撃よりも、通常訓練で多くの兵士を殺してる」と非難した。これに対し、マティス国防長官は原因解明と安全対策を約束していた。

《米兵飲酒事故 抗議へ》県議会「与党案きょう決議」
〈沖縄タイムス2017年11月28日 1面〉
県議会(新里米吉議長)の与党3会派は27日、在沖米海兵隊員が飲酒運転し那覇市内で死亡事故を起こした疑いで逮捕された事件を受け、抗議決議・意見書の両案を28日開会の11月定例会に提出することを決めた。被害者遺族への謝罪と補償を求めると同時に、在沖海兵隊の撤退を要求しており、28日に賛成多数で可決される公算が大きい。

県議会の米軍基地関係特別委員会(仲宗根悟委員長)は27日に与野党、中立の委員が抗議決議・意見書案を協議したが、在沖海兵隊の撤退をめぐり与野党で意見が一致せず委員会としての提案を見送った。
野党の沖縄・自民も独自の議案を定例会に提案する。在沖米軍・軍属による凶悪事件が発生した場合は司令官と上司を更迭することや、沖縄と日米両政府の三者の協議会設置などを求める内容だが、野党小数のため否決の可能性が高い。
抗議決議・意見書案の文言をめぐって意見が分かれ全会一致とはならない格好だが、27日の軍特委では中立の会派の議員から「自分の主張を押し通して決着するのは思い上がりだ。県民の意思をまとめあげ県議会の意思を示す努力が必要」と苦言を呈す場面があった。

【 F35B配備計画 米軍へ事実確認】沖縄防衛局
米海兵隊が嘉手納基地へ最新鋭ステルス戦闘機F35Bを最大26機展開する計画に関し、沖縄防衛局は27日、本紙の照会に「承知していない」と回答した。事実関係を米軍へ確認しているという。嘉手納町にも同様の説明をした。

F35Bの配備計画を巡っては、嘉手納町や訓練が計画されている伊江島補助飛行場がある伊江村からは強い反発が上がっている。

県民感情の悪化懸念

《米兵事故「移設に影響」》米紙支局長「県民感情の悪化指摘」
〈琉球新報2017年11月27日 2面〉

米公共ラジオ局(NPR)は22日、在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故について「米軍の駐留に対する地元の反対は高まっている」と題して取り上げた。NPRの絵リース・フー記者が米ワシントン・ポストのアナ・ファイフィールド東京支局長へのインタビューで紹介。ファイフィールド氏は同事故が県知事を先頭に反対する普天間飛行場の県内移設について「影響する」と指摘した。
ファイフィールド氏は「沖縄では昨年も(米兵による)交通事故が起こり、悲しみとフラストレーションがあふれている。米軍が厳しく取り締まり、再発防止を約束したにも関わらず、起こり続けているという感覚がある」と説明。
フー氏が昨年あった飲酒禁止措置の効果を問うと、ファイフィールド氏は「通常に戻るとこのような事故が起こる。そのため、米軍の昨年の措置は十分ではなかったと人々は考えるだろう」と米軍の綱紀粛正に疑問を呈した。
また、フー氏は基地の過重負担に沖縄の人々が不満を感じる中で起こった事故が、普天間飛行場移設問題に影響するかと質問。ファイフィールド氏は「もちろん、影響する」と答え、沖縄の多くの人々は県外移設を望んでおり、「このような事件・事故は反発を増やすだけであり、県内移設を進める米軍の努力をより複雑にする」と述べた。

【米兵、飲酒し差別発言】ネット動画、海兵隊調査
米海兵隊専門誌「マリンコータイムズ」(電子版)は21日、写真・動画共有サービス「スナップチャット」に、飲酒しながら黒人蔑視の差別用語を叫ぶ海兵隊員の動画がアップされ、海兵隊が調査していると報じた。同誌が入手した声明によると、在沖海兵隊の第3海兵遠征軍が「動画に映った数人が海兵隊員だと確認できる」と回答したという。
動画には少なくとも2人の男性が飲酒しながら、黒人への差別用語を叫んでいる。
米ニュージャージー州在住の黒人運動活動家で教師の男性が18日、海兵隊に「これはよくあることか」とツイッターで投稿し明らかになった。
海兵隊は「ビデオに描かれている行動は、海兵隊の高い行動基準に沿ったものではない。しっかりと調査し、適切な措置を取りたい」と声明で述べているという。
動画はツイッターでも確認できる。

【相次ぐ米事故 抗議案を提出】那覇市議会
那覇市議会は12月1日開会の12月定例会で、在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故を巡る抗議決議案と意見書案を提出する。さらに、東村高江の民間地に米軍ヘリコプターが不時着し、炎上した事故を含めて相次ぐ米軍機事故への抗議決議案と意見書案も提出する。24日の議会運営委員会で古堅茂治氏(共産)が飲酒運転死亡事故と米軍機事故に関する抗議決議案、意見書案を読み上げた。自民党会派は文案を会派内で検討するとした。29日の議会運営委で文案を調整する。

《米軍30機、岩国へ移駐へ》きょうにも「厚木から艦載機」
米軍厚木基地(神奈川県)から」岩国基地(山口県)への空母艦載機移駐計画を巡り、防衛省中国四国防衛局は26日、FA18戦闘攻撃機など計約30機の移駐が早ければ27日から始まると山口県や同県岩国市に伝えた。8月に移駐したE2D早期警戒機5機に続く第2陣。防衛局によると移駐するのは米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦載機で、FA18戦闘攻撃機の2部隊とEA18G電子戦機の1部隊。天候次第で日程を変更する可能性がある。
東京・沖ノ鳥島の北西の公海上で同空母のC2輸送機が墜落した事故を受け、移駐計画に含まれるFA18など11機は26日までに岩国基地に飛来。27日以降に別の機体が到着後、滞在中の11機も移駐扱いになるという。

福田良彦市長は防衛局担当者と面会後、「事故が多発している。実効性のある対策をするよう、国は米側に要請してほしい」と話した。計画では、来年5月までに艦載機計61機を段階的に移転。岩国基地の所属機は約120機に倍増し、嘉手納基地と並ぶ極東最大級の航空基地になる。

2017年11月27日月曜日

東京裁判記念館、上海市

《東京裁判記念館、上海に建設計画》「抗日」教育の拠点か
〈琉球新報2017年11月26日 7面〉

第2次大戦で勝利した連合国側が日本の指導者の戦争責任を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)の記念館を中国上海市に建設する計画が進んでいることが25日、分かった。上海交通大・東京裁判センター長の程兆奇教授が明らかにした。
習近平指導部は「日本の侵略戦争を断罪した」と東京裁判の意義を強調。憲法改正論議など「戦後体制」見直しの動きが進む日本に対し、歴史問題でけん制を強める狙いがありそうだ。完成すれば、江蘇省の南京大虐殺記念館などと同様に「抗日」教育の重要拠点に認定される可能性が高い。
中国は「戦勝国」の立場を誇示して中国を戦後の国際秩序の構築者とアピール。愛国心を鼓舞し、10月の共産党大会で掲げた「強国建設」に向けた国内の機運を盛り上げたい思惑もありそうだ。
日本政府は1952年発行のサンフランシスコ平和条約で東京裁判を受諾した。しかし、同裁判を巡っては、日本の保守層などから、連合国による報復の意味合いが強く、A級戦犯の東条英機元首相らが問われた「平和に対する罪」は事後法の適用だとの批判がある。
一方、中国側はA級戦犯が合祀された靖国神社に現職の首相や閣僚が参拝することに激しく反発している。
程氏によると、中国政府から昨夏に許可が下りた。上海市当局などが市内で土地を選定中で完成時期は未定だが、裁判関連の資料や写真のほか、裁判官や検察官、東条英機元首相らの姿を描いた巨大な油絵などを展示する予定だ。
東京裁判は48年11月に判決が言い渡され、A級戦犯25人を有罪とし、東条元首相ら7人が絞首刑となった。
上海交通大・東京裁判センターは2011年に設立。資料や文献の収集のほか、関連書籍の編集や内外の識者を集めたシンポジウムを開くなどしている。

《「慰安婦記念日」成立》韓国国会、毎年8月14日
韓国国会本会議は24日、毎年8月14日を旧日本軍の従軍慰安婦問題の「記念日」と定めた「慰安婦被害者の生活安定支援と記念事業関連法」改正案を賛成多数で可決した。
記念日の目的を「慰安婦問題を国内外に広く知らせ、被害者を記憶するため、多様な行事と広報を行う」こととしている。213人の出席議員のうち205人が賛成し、8人が棄権した。
日本政府は、2015年末の日韓政府間合意で、慰安婦問題については国連を含む国際社会での避難を互いに控えることを約束したとして、韓国政府が関与し、国外でこの問題に焦点を当てる活動に反発してきた。
法案可決を受け24日、「日韓合意に反し、未来志向の関係発展に水を差すものだ」と韓国側に抗議した。

8月14日は、韓国で最初に慰安婦だったと名乗り出た故金学順さんが1991年に初めて公の場で被害を語った日。元慰安婦の支援団体「韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)」を含むアジア各国の市民団体が12年にこの日を「世界連帯行動の日」と定め、集会開催などを呼びかけてきた。

米軍、外出制限緩和。飲酒死亡事故から3日で

《米軍 外出制限を緩和》飲酒死亡事故から3日で
〈琉球新報2017年11月25日 1面〉

ローレンス・ニコルソン在沖米四軍調整官は24日までに、米海兵隊員が公務外に公用車を飲酒運転し死亡事故を起こした件を受け、在沖米軍で発していた外出禁止令を緩和した。基地と住居の移動を除き、全面禁止だった外出禁止時間を午前0時から午前5時までに縮小し日中はは外出可能とした。事故から3日後の22日午後4時半から緩和した。アルコールの購入、飲酒は引き続き基地内外で禁止している。
緩和指示はニコルソン氏のメッセージとして22日付でホームページやフェイスブックで公表した。メッセージの最後には「安全で幸せな感謝祭を」と締めくくっており、23日の感謝祭を前に緩和したと受け止められかねない。
四軍調整官のメッセージは「沖縄の全兵士に対し、沖縄本島全域での基地外での自由は、午前5時から深夜0時まで認められる。さらなる指示があるまでは、基地内外でのアルコールの購入、消費は禁ずる」と指示した。

その上で「祝日の期間は、我々はなぜ家庭や家族から遠く離れた日本にいるのか考える時間に充ててほしい」と呼び掛けた。

殺意の有無

《遺族 厳罰の声強く》「殺意の有無」判断が鍵
〈琉球新報2017年11月25日 28面〉

米軍属女性暴行殺人事件で検察側は、犯行が極めて残酷で謝罪や反省もないなどとして「死刑検討に値する事案」としながらも無期懲役を求刑した。一方で被害者の父親は死刑を求めるなど遺族の悲痛さや処罰感情の強さが改めて浮き彫りになった。
検察側が死刑に言及しながらも無期懲役の求刑にとどまったのは過去の最高裁判決が背景にある。
1983年に最高裁が示した死刑適用の「永山基準」は、犯行の性質や殺害された人数など結果の重大性、犯行後の情状など九つの条件で考慮されるとされる。中でも被害者の数が大きな要素を示す判決となっている。
2009年に発生した「千葉大生殺害事件」でも被害者が女性1人で裁判員裁判は死刑判決だったが、2審の高裁は破棄して無期懲役とし最高裁で確定した。今回の事件では被告の一部自供や前科がないことも求刑の判断材料になったとみられる。
一方で弁護側は殺人罪は成立しないと反論。有期刑を求めたが、被告は公判で殺意否定の事情を自ら語ることはなかった。被害者の死因が不明の中、裁判員は殺意の有無を判断する。被告が供述した暴行の行為について、命を奪う危険性が高かったかどうかが判決の鍵を握る。

【争点】検察側「殺意は明らか」弁護側「危険認識なし」
検察側はケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告が女性を襲う目的で打撃棒などの凶器を準備していることから、「計画的犯行」と指摘。後頭部を殴る、首を絞める、ナイフで首の後ろ付近を刺すなどの一連の行為について、死亡する危険性が高いと認識しながら繰り返しており「殺意が傷に認められる」として、殺人罪が成立すると主張した。
また、逮捕前に遺棄現場を自供したこと、日本での前科がないことを「有利に考慮すべき事情」としながらも、被告が公判中に真相を明らかにせず事件と向き合う意思が認められないこと、遺族の処罰感情が極めて強いことなど挙げて「社会にでてくる有期懲役は不相当」と結論付け、無期懲役を求刑した。
一方、弁護側は乱暴については相応の計画性を認めつつ「計画自体は犯罪ではなく、行われた犯行自体が量刑上重要」と主張。打撃棒での殴打や首を絞める行為などについては、乱暴目的で気絶させるための手段であり、被告が「死亡の危険性の高い行為とは認識していない」と述べた。
ナイフで刺す悔いが行われたのは遺棄現場のみで、暴行現場での同様行為は認められないとも指摘したうえで、暴行現場で被告が被害者を抱きかかえ倒れこんだ際、被害者が頭部を強打したことによって死亡した可能性を排除できないとした。
また、遺棄現場の自供や前科がないことで情状の考慮を求め、事実認定や量刑において「黙秘権行使自体を不利に判断することは違法」と付け加えた。

《被告 沈黙破り釈明》女性暴行殺人論告求刑『悪い人間ではない』
【父親陳述には苦い表情】
「私は本来悪い人間ではない」。米軍属女性暴行殺人事件の公判でこれまで沈黙を貫いてきたケネス・フランクリン・シンザト被告(33)。裁判長から発言の機会を与えられ、最後に述べたのは釈明の言葉だった。法廷内の全ての視線がケネス被告に注がれた。法廷で怒りをぶつけ涙した被害者の遺族とは対照的に淡々と語る様子に、裁判員や傍聴人の多くが息をのんだ。

那覇地裁で24日に開かれたケネス被告の裁判員裁判論告求刑公判。ケネス被告は白いTシャツ、紺色のズボン姿で頬づえを突き、左耳のイヤホンから通訳を通し求刑を聞いた。検察側が論告を述べている間、眉間にしわを寄せながら耳を傾けていた。
検察側から無期懲役を求刑された際は、身動きせず通訳担当者を見つめたままだった。一方、「被告人には死刑を望む」と被害者の父親の陳述を代理人が読み上げると、唇をかみ苦い表情を見せた。
発言の機会を与えられると、ゆっくりとマイクに顔を近づけ「このようなことになったのは、意図したことではなかった」と述べ、下を向いた。声は小さく、通訳担当者が聞き返す場面もあった。被害者の両親は黙って被告を見ていた。
愛情をたっぷり注いで育てた娘を突然失った両親。「娘の魂を成仏させてあげたい思い」(父親の陳述)で裁判に臨んだ。「いとしい、尊い娘の命を残虐な行為で奪った被告人には命をかけて償ってほしい」。代理人の父親陳述の読み上げる声に、両親は目を赤くした。
結審後、法廷内にいた全員が席を立つ中、ケネス被告だけが座ったまま、被害者の父親が座る検察側の方向に目を向け、何か言いたげに見続けていたが、拘置所職員に促され、唇をかみながら立ち上がり、法廷を後にした。

【公平な裁判を】弁護人、黙秘の正当性主張
論告求刑公判を終えたケネス被告の主任弁護人の高江洲歳満弁護士は、米軍基地問題とは切り離して「日本人に対する裁判と同じように公平な判断を望む」と述べた。

黙秘権行使は「全て被告の意思。この事件を政治的に利用していないかとの疑いが、そうさせたのだろう」と推察した上で「黙秘権は憲法に由来する権利だ」と正当性を強調した。殺意の有無が争点になっていることについては「殺していなければ認定の必要もない」とし、殺人罪を判断できる証拠はないと主張した。

2017年11月26日日曜日

『私は悪い人間ではない』

《元軍属に無期懲役求刑》1日判決「弁護側は『有期刑相当』」

2016年4月に発生した米軍属女性暴行殺人事件で、殺人や強姦致死などの罪に問われた元海兵隊員のケネス・フランクリン・シンザト(旧姓ガドソン)被告(33)の裁判員裁判論告求刑公判が24日、那覇地裁(柴田寿宏裁判長)で開かれた。検察側は身勝手で残酷な犯行などとして無期懲役を求刑した。一方被害者の父親は死刑を求めた。弁護側は殺意はなく殺人罪は成立しないとして「有期刑が相当」と主張した。ケネス被告は最後に「私は悪い人間ではない。このようなことになったのは意図したことではなかった」と述べた。公判は結審し12月1日に判決が言い渡される。
検察側は論告で、逮捕直後の供述からケネス被告が被害者の後頭部を打撃棒で殴ったり腕や手で首を絞めたりしたほか、ナイフで首の後ろ側を刺したと主張した。
命を奪う危険性が高いと分かりながら一連の行為に及んでいるとして「殺意が認められる」と指摘した。

犯行は凶器を準備するなど身勝手で計画的な上、攻撃を繰り返すなど「きわめて残酷」と批判した。ケネス被告に謝罪や反省の態度もなく「死刑検討に値する事案」としたが、求刑は逮捕前に事件への関与を自供したことや、国内での前科がないことなどを考慮した。
弁護側は暴行現場でケネス被告が被害者を抱きかかえ倒れこんだ時に、被害者は頭を強く打ち死亡した可能性が否定できないとして殺人罪は成立しないとした。検察側は殺意認定根拠とした逮捕直後の供述は信用性に疑問があると主張した。

一方、被害者の父親は代理人を通して陳述。公判で黙秘したケネス被告に「真実を語っていない。反省の言葉もない」と怒りをぶつけ「命を懸けて償ってほしい」と訴えた。

2017年11月25日土曜日

《基地ごみ積極受け入れ》利益優先、ごみの山の一因

《基地ごみ積極受け入れ》利益優先、ごみの山の一因
〈琉球新報2017年11月23日 30面〉

【倉敷産廃取り消し】
不法投棄をしたとして産業廃棄物処分業の許可を取り消された沖縄市池原の大手廃棄物処分業者、倉敷環境が2013年度以降、在沖米軍基地から排出されたごみの受け入れ量を大幅に増やしていたことが22日、県の調べで分かった。
廃棄物を積み上げた高さ30mの「山のごみ」の処理をしなければならない同社が、十分な分別がなされず、処理に手間がかかる米軍基地の排出ごみを積極的に受け入れていた実態が明らかになった。倉敷ダム流域振興促進協議会の池原秀明会長は「ごみ山の処理より、利益を最優先する社の姿勢が如実に表れている」と指摘した。

【分別せず2.3万トン】14年度
在沖米軍基地内には廃棄物処理場がないため基地から排出されるごみは、倉敷環境を含む県内の民間業者2者が大方、請け負っている。中でも倉敷環境は前身の南商会の時代から、県内随一の量を受け入れてきた実績がある。
県の調べによると、09~15年度までの米軍基地排出ごみの総量は年間2万1千~2万6千トンで推移し、ほぼ横ばいだった。排出ごみの総量が2万6691トンだった09年度は、倉敷環境と別の会社が半分ずつ受け入れていた。だが13年度は総量2万5608トンのうち1万9670トンを、14年度は総量2万3064トンすべてを倉敷環境が受け入れていた。
日本環境管理基準(JEGS)には「各米軍施設は固形廃棄物管理計画を策定・実施し、廃棄物の排出量削減やリサイクル率の上昇、堆肥化に努めること」と明記されているが、実際はほとんど分別されないまま、業者に排出されている。
県の担当者は、米軍の1人当たりのごみの排出量は県民の約2倍とされることから「長期にわたる米軍基地排出ごみの受け入れが、ごみ山をつくる一因になった可能性は高い」と分析している。

【県、市町村に協力要請】
倉敷環境の産業廃棄物処分業の許可取り消しを受け、県は22日、本島中南部地区の廃棄物処理に係る職員を対象にした説明会を那覇市内で開いた。県はこれまで同社が処理していた在沖米軍基地から排出される一般廃棄物の受け皿が現時点で見つかっていないことを説明し、各市町村で焼却施設などで受け入れできるかを検討するよう求めた。
在沖米軍基地から排出される一般廃棄物の大半が、倉敷環境と別の業者の2者で処理されている。環境整備課の松田了課長は倉敷環境の許可取り消しに伴い、もう一方の業者に受け入れを打診したが「現状では厳しい」との回答があったと報告した。県は引き続き民間の中間処理業者の協力を得ながら適正に処理できる方法を模索するとして、市町村に協力を求めたほか、米軍に対しても沖縄防衛局を通して市町村ごとの規則にのっとった分別をするよう協力を求めていくとした。
県は市町村が認めれば一般廃棄物処理施設で産業廃棄物を併せて処理できる「合わせ産廃」のシステムについても説明し、協力を求めた。

中部地区の役所職員は県の対応に対し、「説明を聞いても不明瞭な点が多い」とし、「行政だけではなく廃棄物の回収・運搬・処理業者など末端にはまできちんと周知してほしい」と指摘した。

2017年11月24日金曜日

グァム米軍基地、弾薬量10%増

《グァム弾薬量10%増》米空軍「北朝鮮に言及せず」
〈琉球新報2017年11月24日 2面〉

米空軍は、北朝鮮から沖合へのミサイル発射が警告されている米領グァム島で、弾薬貯蔵量を前年比10%増の約680トンに増加させる。期限切れの弾薬の入れ替えなどを含め弾薬が8月末から9月末まで海上から輸送された。グァム島の米空軍アンダーセン基地が明らかにした。北朝鮮を巡る情勢との関連については言及していない。

【嘉手納増減は答えず】
グァムの弾薬貯蔵の増加に関連して、在沖米軍の嘉手納基地に嘉手納弾薬庫の貯蔵量については本紙が質問したが「運用上の安全のためから、われわれが使命を遂行するための詳細については答えられない」と内容は回答しなかった。
アンダーセン基地は「戦場での戦闘能力を支援するための『戦争備蓄資材』の貯蔵や、日々の訓練用資材で使える弾薬の量が増えることになる」と意義を強調した。訓練使用だけでなく、実際の戦闘使用も念頭に入れた貯蔵量をうかがせた。
今回、9500万ドルに値する81万6393発の弾薬が運び込まれ、貯蔵された。弾薬の輸送に携わった第36弾薬中隊のエリック・シュミット司令官は「部隊の使命は、勝利に備えるということだ。弾薬貯蔵を増やすことで、兵士らはさなる能力を得られる。われわれが必要とされる場面で(実際に兵士が米軍機を投入する)『動的作戦』を支援することになる」と説明した。

北朝鮮はこれまで、グァム沖に中距離弾道ミサイル「火星12」の発射計画を表明している。北朝鮮のミサイル発射などを巡る情勢を踏まえ、米空軍と航空自衛隊は朝鮮半島沖などで合同訓練を実施した。その際米軍は、B1戦略爆撃機2機をグァムの基地から派遣した。

米軍機、また墜落。沖ノ鳥島沖

《米軍機 また墜落》沖ノ鳥島沖「1時間半前、嘉手納離陸」
〈琉球新報2017年11月23日 1面〉

22日午後2時45分ごろ、北大東村の無人島、沖大東島の南東約530キロ、東京都沖ノ鳥島の北西約150キロの公海上で、米海軍原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦載機C2輸送機が墜落した。米海軍第7艦隊(神奈川県横須賀市)と防衛省によると11人が搭乗し、8人が救助され、現在3人が行方不明になっている。
小野寺五典防衛相は防衛省で取材に応じ、米側から「エンジン不調が原因」と一報があったと明らかにした。C2輸送機は米軍嘉手納基地にもたびたび飛来している。22日も墜落した機体を含む2機が飛来し、補給後、午后1時ごろ飛び立った。
県などによると漁船などの被害情報は入っていないという。ロナルド・レーガンは海上自衛隊との共同演習「海上自衛隊演習」に参加していた。第7艦隊によると、墜落したC2には乗員と乗客11人が乗っており、岩国基地からロナルド・レーガンに乗客や貨物を運ぶ輸送飛行をしていたという。8人は午後3時23分ごろに救助された。搭乗者に自衛隊員はいないという。
墜落原因は分かっていない。防衛省は米側に情報提供を求めており、詳しい情報が得られ次第、関係自治体に連絡する。
在日米軍の航空機の事故が相次いでいる。8月、オーストラリア沖で普天間飛行場所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが揚陸艦への着艦に失敗し墜落した。10月には東村高江の民間地に普天間飛行場所属のCH53E大型輸送ヘリコプターが不時着し炎上した。

《飛行停止言及せず》C2墜落 防衛相「安全運航求める」
〈琉球新報2017年11月23日 2面〉

小野寺五典防衛相は22日、米軍の原子力空母ロナルド・レーガンの艦載機のC2輸送機が墜落したことについて「捜索中の乗員については一刻も早く救助されるように努力したい。航空機事故がたびたび発生しているので、米側に安全な運航を求めたい」と述べた。飛行停止には言及しなかった。防衛省で記者団の取材に答えた。
C2輸送機が嘉手納基地にも飛来していることに関して「まだ詳細が分からない」と述べるにとどめた。
小野寺五典防衛相は海上自衛隊の艦船6隻、航空機も現場に投入していることなど説明した。同型機の飛行停止は求めるかを問われ、「まだ事故が発生した直後なので、今後原因などについて米側に確認したい」と述べた。

【県民へ不安、遺憾】公室長 米機事故頻発に懸念

県の謝花喜一郎知事公室長は22日、沖ノ鳥島沖で米海軍C2輸送機が墜落した事故を受け、乗員の安否を気遣ったうえで「県内の米軍基地への飛来も確認されている同型機が事故を起こしたことは県民に大きな不安を与えるもので大変遺憾だ」とコメントを発表した。
さらに米軍機事故が重なっている事態にも言及し「米軍機による事故や緊急着陸などが相次ぎ、県民は米軍の航空機整備の在り方、安全対策について大きな懸念と不信感を抱かざるを得ない」と県内に広がる懸念も示した。
そのうえで「事故原因究明と公表、再発防止措置を含む一層の安全管理の徹底等に万全を期す必要がある」と日米に対応を求めた。
墜落現場での船舶への影響について、「公海上で発生したものとはいえ、現場付近はマグロはえ縄漁業の漁場で、漁業者をはじめ民間の船舶等への被害も懸念されたが、現時点で被害の情報はない」と指摘した。

【FA18が17機飛来】米空母艦載機C2墜落

東京都の沖ノ鳥島北西約150キロの公海上でC2輸送機が墜落したことに伴い、艦載機FA18戦闘攻撃機が午後4時過ぎから次々と飛来し、同6時までに17機が着陸しているのが確認された。空母の甲板を空けるために艦載機の一部が飛来したとみられる。

《容疑米兵に「深い同情」》海兵隊トップ、責任言及せず

《容疑米兵に「深い同情」》海兵隊トップ、責任言及せず
〈琉球新報2017年11月23日 1面〉

ロバート・ネラー米海兵隊総司令官は21日、那覇市で19日に起きた在沖米海兵隊員による飲酒運転死亡事故について、「亡くなった方のご家族に哀悼の意を表する。また、(事故を起こした)海兵隊員にも深い同情を感じている。(事故は)彼の意図ではなかったと確信している」と述べた。本誌の取材に答えた。
海兵隊トップが、飲酒運転で死亡事故を起こした海兵隊員の責任については言及せず、「同情」の意を示した。再発防止策や綱紀粛正などの言及もなかった。

「彼の意図ではない」
ネラー氏の発言について県幹部は「謝罪の言葉が真っ先に出るべきなのに、非常に違和感を感じる」と不快感を示した。
取材に対しネラー氏は「事故は捜査中であり、日米地位協定の下、彼に何が起きたかについて日本の司法で判決が下されるだろう。今後も捜査に協力していく」と述べた。
また事故は「もちろん、起きて欲しくなかったが、起こってしまった。沖縄の人々、日本の人々に理解をしてほしい。2万2~3000人の海兵隊員が沖縄、日本に駐留している。そしてこの個人は大きな間違いを起こしてしまった」と説明。
「私の知る、沖縄の多くの人々は、非常に大多数のアメリカ人は良き隣人であり、文化に対して敬意を表し、海外でも適切な行動を取ってることを理解しているだろう」と述べた。

《同盟、沖縄が貢献》米兵飲酒死亡事故「米広報官、基地正当化」
〈琉球新報2017年11月23日 2面〉

米国務省のヘザー・ナウアート報道官は21日、那覇市で起きた米海兵隊員による飲酒運転死亡事故について、「事故が起きてしまい非常に残念だ。故人、ご遺族に深い哀悼の意を表する」と本誌の取材に述べた。
アーロン・ターバー東アジア担当広報官は「沖縄の人々が、日米同盟に重要な貢献をしていること、また在沖米軍基地の軍人たちにも友情を広げていることに、深い敬意と感謝を改めて伝える」と説明。沖縄、日本にある米軍基地は「米国が同盟へのコミットメントを果たし、地域の平和と安全を保つことを可能にしてる」とコメントした 。

《謝罪なく「傲慢」》容疑米兵に「同情」『隊員擁護に不信と怒り』
〈琉球新報2017年11月23日 31面〉

米海兵隊トップのロバート・ネラー米海兵隊総司令官が、那覇市で飲酒運転死亡事故を起こした在沖米海兵隊員に対し、責任については言及せずに「深い同情」の意を示したことに県内からは「あまりに傲慢だ」「本音が露呈した」などと反発や疑問視する声が上がった。過去にも、米兵が起こした事件を巡り、米軍幹部が米兵を擁護するような発言してきたことも踏まえ、「兵隊を守る意識が第一」「地元に対する言葉(哀悼)はリップサービス」などと批判が相次いだ。

米軍人・軍属による事件被害者の会元事務局長の村上有慶さんは「軍のトップが海兵隊員に同情するという発言はおかしい。あまりにも傲慢で上から目線だ」と指摘した。「同情」発言の背景にある意識について「組織として軍を守る意識が第一にあって、地元住民への(哀悼の意の)言葉はリップサービスで言ってるだけだろう」と強調した。
那覇市の城間幹子市長は(事故を起こした)当事者感覚がないなと思う。ますます腹立たしい」と怒りをあらわにした。ネラー総司令官の「(事故は彼の)意図ではなかった」との発言についても「かばうような身内感覚は死者にむち打つようなものだ。言ってはいけない」と批判。「沖縄から離れるほど、沖縄の存在は切り捨てられている感じがする」と述べ、日米両政府が沖縄の基地問題を軽視する姿勢の表れだと指摘した。
県幹部は米軍の思考として「海外展開している兵員をねぎらう言葉が真っ先に口に出る。日本を守るために駐留しているのになぜ批判されないといけないのか、という本音が露呈したのだろう」との見方をした。

【米兵勾留を決定】飲酒場所など特定へ
米海兵隊員による飲酒運転死亡事故で、那覇地裁は22日、米海兵隊上等兵ニコラス・ジェームズマクリーン容疑者(21)=米海兵隊牧港補給地区所属=の勾留請求を行い、同日、裁判所が勾留を認めた。那覇署は今後、事故の目撃者や関係者らへの事情聴取し、実況見分を行う。事故当時の様子や同容疑者の飲酒場所などを特定する方針。

【不名誉除隊の意向】所属司令官、軍法会議も
在沖米海兵隊による飲酒運転死亡事故で那覇市民が犠牲になったことを受け、隊員が所属する米軍キャンプ・キンザー司令官のスコット・ジョンソン大佐が22日、那覇市役所を訪れ、城間幹子那覇市長に謝罪した。城間市長は「家族のことを思うと本当に胸が痛く、かきむしられる思いがする。綱紀粛正は効果がなく、憤慨に堪えない」と強い怒りを伝え、抗議した。その上で「目に見える形での綱紀粛正、職員管理をお願いしたい。『良き隣人』でありたいと言うなら、それなりの態度や行動を示してもらいたい」と再発防止を求めた。
これに対しジョンソン大佐は「我々に対する怒りと、深い悲しみを理解する。効果的な綱紀粛正と教育を再度、徹底していく」と述べた。
那覇市に先立ちジョンソン大佐は浦添市役所に野口広行副市長訪れ、謝罪した。市によると、ジョンソン大佐は死亡事故を起こした隊員を不名誉除隊にした上で軍法会議にかけると表明したという。野口副市長は「大変遺憾だ。綱紀粛正が守られていない」と抗議した。

那覇市長との会談終了後、ジョンソン大佐は記者団に対し、県警の捜査に全面的に協力することを強調した。隊員の飲酒の経緯について「隊員が基地の中で飲酒してたのか、外で飲んでいて基地に戻ってきたのかわからない」と述べた。基地を出る際の飲酒検査の有無については「一般的には、通常の勤務時間帯であれば公用車のドライバーの飲酒検査はしない」と、米軍車両の管理や飲酒検査について問題があるという認識は示さなかった。

2017年11月22日水曜日

鶴保氏の地元後援会長に1000万円提供か、辺野古採石場巡り

《鶴保氏、地元に照会》辺野古採石場『沖縄相在任中に』
〈琉球新報2017年11月22日 2面〉


自民党の森山裕国対委員長は21日、鶴保庸介前沖縄北方担当大臣側が米軍普天間飛行場移設工事をめぐり、鹿児島県の採石業者から金銭提供などを受けたとする一部報道に関し、鶴保氏から同県内の採石場に関する問い合わせを受けたことがあると明らかにした。東京都内で記者団に答えた。
森山氏は鹿児島県の選出。鶴保氏の問い合わせには、沖縄県への運搬を念頭に「採石を排出するルートも港もない」として困難という見解を伝えた。鶴保氏との会話の時期は時期は示さなかった。
一部報道は、普天間移設工事への参入を目指す業者が、閣僚在任中の鶴保氏に飲食などで接待したほか、鶴保氏の後援会長に1000万円超の資金を提供したとしている。これに関し二階俊博幹事長は21日の記者会見で、鶴保氏の報告を待つ考えを述べた。


《知事の国連演説》「公金支出不当」5人、返還求め提訴
翁長知事が2015年9月にスイス・ジュネーブの国連人権理事会で演説を行ったのは、参加資格がない「県知事」の立場であり公金の支出は不当だとして、県民5人が21日、県が翁長知事に渡航費や宿泊費約96万円の返還を請求するよう求める住民訴訟を、那覇地裁に起こした。
原告の江崎孝さん(76)=宜野湾市=らが同日、県庁をで会見した。原告によると、国連人権理の規定で演説が認められるのは非理事国の政府代表者や、国際機関の代表者、資格を有する非政府組織(NGO)の3者に限定されてるという。
翁長氏はNGOの発言枠で演説したが、江崎さんは「本来、渡航費や宿泊費はNGO nか個人で賄うべきで、県の予算で行くべきではない」と訴えた。今後、同行した職員と通訳の経費として支払われた公金の返還も求めて、2次訴訟も起こす方針。
県側は「訴状を見ておらず現時点ではコメントできない」としている。江崎さんらは10月、住民監査請求をした。しかし1年以内の請求期限を越えており、却下されたことから住民訴訟に踏み切った。


《百田尚樹氏発言 撤回求めて声明》マスコミ労協
県マスコミ労働組合協議会(沖田有吾議長)など5団体は21日、作家の百田尚樹氏の発言に抗議し撤回を求める声明を出した。
百田氏は10月27日、名護市内での講演で沖縄タイムスの阿部岳記者を名指し、「中国が琉球を乗っ取ったら、阿部さんの娘さんは中国の慰みものになります。それを考えて記事を書いてください」と述べた。
声明では「百田氏は公衆の面前で極めて卑しい例えによる侮蔑的な言葉を投げつけ、記者と家族の人権を著しく侵害した」と指摘。

また「凄惨な地上戦を強いられ、4人に1人が犠牲となった沖縄の歴史に寄り添う姿勢が感じられず残念だ」とした上で「発言には言論人としての品格が感じられないばかりか、地元マスコミの報道活動への露骨な脅しであり、圧力だ」と批判している。