2018年1月22日月曜日

強引な市政に批判票

《瑞慶覧氏、受け皿に》
〈沖縄タイムス2018年1月22日2面〉

現職と新人による一騎打ちとなった南城市長選は、「市民の声を行政に反映させる」と訴えた新人の瑞慶覧長敏氏への期待が集まり、65票差で初当選を果たした。2016年の公立保育園全廃決定時に見られた古謝氏の強引な行政運営に反発する現職批判の受け皿になった。

瑞慶覧氏は昨年12月に立候補を表明。出遅れたが、社大党など5党から推薦を受け、翁長雄志知事を支える「オール沖縄」勢力で選挙態勢を構築した。市民の要望を幅広く拾い集め、若年層向けの住宅支援や子ども医療費無料化、公共事業では地元業者が参加しやすくする入札基準の改善などを政策にまとめ上げ、全戸へのビラ入れ配布と遊説に力を入れる”
空中戦”で政策の浸透を図った。
支持する市議は3人と少数だが地域を細かく回り、表には出せない市民の不満をすくいあげた。瑞慶覧氏に期待する女性や若者らもボランティアで運動を手伝い、無党派層や20代の若者に支持を呼びかけた。
新市長にとっては、市議会定数20人のうち、古謝恵春氏の支持する議員が15人を占めており、議会対応が課題となる。訴えてきた政策を実現するには議会の承認が必要で、公約を貫くには難しいかじ取りが迫られそうだ。古謝氏が獲得した1万1千票は現市政への信任票でもあり、今後市政運営の面で一定の配慮が必要となる。
古謝氏は、昨年全廃した公立保育園問題を巡って市民と対立するなど、強引な手法には市民から根強い批判の声が上がっていた。選挙期間中には自民党幹部も続々応援に入り、市外の県議や市町村議らの支援も得たが及ばなかった。

《県政与党、反転へ一歩》自民、知事選に向け痛手

17の市町村選や知事選が控える「選挙イヤー」の幕開けとなった南城市長選は、翁長雄志知事や県政与党ら「オール沖縄」勢力が推した新人が初当選した。
「オール沖縄」勢力が市長選で勝利するのは初となり、2月4日の名護市長選へも一定の影響がありそうだ。自民は保守系首長の「チーム沖縄」の中心メンバーである現職を失い、今後の選挙戦に不安要素を残す結果となった。
「オール沖縄」勢力は、各政党や組織が結集する旗印となる普天間飛行場の県内移設断念などを掲げる「建白書」の実現を訴えた。
ただ、相手候補や応援に入った弁士は基地問題にはほとんど触れておらず、互いの陣営にとって争点は市政の課題に縛られた。
4期目を狙った現職の多選批判など市政運営への不満の受け皿となった面が強く、今後続く選挙は南城との政治構図が異なるため、基地だけではなく経済や教育、福祉などの政策で県政との連携をアピールし、支持を広げられるかがカギとなる。
政府与党の自民は告示後に党本部から岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長らが南城市入りする力の入れようを見せた。背景には南城市を落とせば直近の名護市長選への悪影響を及ばすとの考えがあった。懸念が現実となっただけに、名護だけではなく全県選挙の知事選に向けても痛手となった。
2週間後に控える名護市長選の勝敗は知事選に大きく影響する。現職を支える「オール沖縄」勢力が強みである辺野古新基地反対の民意を集められるか、新人を擁立した自民が公明・維新との協力体制を固め姿勢を奪還できるかが注目される。

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