2018年1月12日金曜日

《再編交付金 異なる立場》名護市長選立候補予定者市場討論(下)

《再編交付金 異なる立場》名護市長選立候補予定者市場討論(下)
〈沖縄タイムス2018年1月12日2面〉


沖縄タイムス社は2月4日の名護市長選を前に、立候補を予定する現職の稲嶺進氏(72
)と、新人で前市議の渡具知武豊氏(56)に辺野古新基地建設問題や再編交付金に対
する考えなどを質問し文書で回答を得た。また、互いへの質問とそれに対する回答も
得た。


【再編交付金について】
「新基地前提の上不便」稲嶺氏
「特段断る理由がない」渡具知氏


「予算は前市政より拡大しているとのことだが、再編交付金があれば一層拡大したの
では。」
〈稲嶺氏〉
再編交付金は辺野古新基地を造るために協力した分だけもらうお金だ。しかも、経常経
費は補助対象外で市民が本当に必要なソフトメニューの子育て対策や医療費助成には使
えない。例えば、再編交付金がすでに交付されている浦添市でも給食費の完全無料化は
いまだ実現していない。全国のどの市町村も米軍基地を受け入れて、一時的な交付金を
受け取り発展した自治体はない。私は辺野古新基地建設が前提の再編交付金に頼らず、
市職員のアイデアと市民の地域力で前市政より年平均で77億円も予算を増やすことがで
きた。


政策発表の質疑応答で再編交付金について「もらえるのであれば受け取る」との発言の
意図は。
〈渡具知氏〉
政策発表でのやり取りは「再編交付金を受け取りますか?」とのご質問だったと思う。
私の辺野古移設へのスタンスは、国と県が裁判中であることを注視している状況である。
そのスタンスを踏まえた上で、国が再編交付金を交付するというのであれば、特段断る
理由はないという意図の発言だ。


【新基地阻止への市長の権限は】
「許可なく続行できぬ」稲嶺氏


「辺野古新基地建設に関する市長権限の行使と阻止への効果は」。
〈稲嶺氏」
前知事の埋め立て承認から4年が経ったが、建設に係る護岸工事は100mでストップした
ままだ。埋め立て本体工事にはいまだ着手できていない。辺野古漁港周辺の埋め立て作
業ヤードを造るためには、シュワブと辺野古漁港の間の砂浜の使用許可が必要。同漁港
を資材置き場として使用するには許可が必要。辺野古川の護岸かさ上げ工事、美謝川の
水路切り替えもしとの合意が必要。シュワブ内の土砂採取も遺構が確認されているので
協議が必要だ。これらはすべてクリアされておらず埋め立てはできない。


【子育て支援策の財源】
「行政の無駄省き捻出」渡具知氏


「保育料や給食費無料化など子育て支援の財源は。」
〈渡具知氏〉
第一に行財政改革を行い、無駄を省き予算を捻出したい。次に予算の組み換え。受益者
負担の観点から、無料化等施策には一括交付金は原則使えない。しかし、10億円以上あ
る一括交付金と一般財源の組み換えにより子育て支援策を優先的に行いたい。


《クロス討論》


『稲嶺氏回答』
【パンダ誘致の費用と財源】
「民間資金の活用で可能」


〈渡具知氏から〉
「稲嶺市長による市営球場改修の決断が遅れたため、日本ハムファイターズは米国アリ
ゾナに一部キャンプ地を変更したのではないか」。
〈稲嶺氏〉
名護市は県内プロ野球キャンプ地の先駆けとして、これまで日本ハム球団が長年使用し
てきた名護市営球場を老朽化に伴って建て替える。これは球団側からの強い要望だ。
市は何年も前から日本ハム球団と綿密に調整し、プロの使用に耐えられる設計で建設に
着手した。球団は名護市に戻る前提があるからこそ、国内ではなく米国でキャンプを行っ
ていると理解している。工事期間中は当然、球場は使用できないが、昨年のキャンプも
後半は名護で行った。今年も2月17日から23日まで名護市でキャンプを行う準備がすでに
進んでいる。


「パンダを誘致する前にネオパークの整備が先ではないか。パンダ誘致には多額の費用が
かかると思うが、その費用と財源はいくらか」
〈稲嶺氏〉
ネオパークには平成29年度から取締役に市の政策調整官を派遣し、経営改善に取り組んで
いる。本年度から最終損益は黒字化が図られる見込みだ。また、園内施設の効率的な活用
やパートナー企業の誘致など、中長期的経営改善計画の策定にも着手した。パンダは子供
たちに夢を与える一大事業。今、民間レベルで沖縄に招致する具体的な取り組みがある。
名護市としてはそれにいち早く名乗りを上げたということだ。パンダ招致の経済効果は大
きく、財源はファンドなど民間資金を活用する方法などで招致は実現可能と考えている。


『渡具知氏回答』
【オスプレイ撤回決議に反対の理由は】
「決議内容で折り合わず」


〈稲嶺氏から〉
「米海兵隊の県外・国外移転を求める」と明言する一方で「再編交付金は受け取る」と
発言。矛盾している。


〈渡具知氏〉
この発言は、私の政策発表での記者とのやり取りだったともう。私の辺野古移設へのスタ
ンスは、国と県が裁判中であることを注視している状況である。そのスタンスを踏まえた
上で、国が再編交付金を交付するというのであれば、特段断る理由はないちう意図の発言だ。


「安部区へのオスプレイ墜落の後、市議会での(オスプレイ)配備撤回決議に賛同しなか
ったのはなぜか。岩国基地では体験試乗し安全をPRしたからか。」
〈渡具知氏〉
当時、私も野党会派の1人として、議会において議論させていただいた。その中で、「当該
事故について艦化できるものではない」ことは述べさせていただいた。しかし、決議の内容
については折り合わなかったため反対した。


《パンダ誘致に意欲示す》名護市長「実現性高い」
稲嶺進市長は11日の定例会見で、ネオパークオキナワ(名護自然動植物公園)へのパンダ
の誘致について「昨年11月ごろ、民間団体の方で沖縄に誘致しようという動きがあると耳
に入ってきた」とし、実現可能性には「かなり高いと聞いている」と述べた。

稲嶺市長は8日、名護市長選出馬に向け政策発表し、パンダ誘致を訴えた。政策に盛り込
んだ理由について「(パンダは)非常に大きなインパクトを与える、誘致活動が出てきた
とき、ぜひうちのところに、というのは当然」と述べた。

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