2018年1月11日木曜日

《国、飛行停止逃げ腰》米へ整備要請止まり「県幹部、『主権国家なのか』」

《国、飛行停止逃げ腰》米へ整備要請止まり「県幹部、『主権国家なのか』」
〈沖縄タイムス2018年1月10日3面〉


うるま市伊計島、読谷村に相次いで不時着した米軍普天間飛行場所属のヘリの同一・同型
機が、9日も県内上空を飛行した。飛行停止を求める県や地元市町村の意向を無視する姿
勢に「全く県民の意向が伝わっていない」(県幹部)と怒りの声が噴出した。米軍に飛行
停止を求めない日本政府には「主権国家とは言えない」と冷ややかな見方が広がる。


【米軍ヘリ飛行継続】
「到底納得できない」読谷村に不時着したAH1Z攻撃ヘリが翌早朝に離陸するとの情報を
得た富川副知事は8日夜、在沖米軍トップのニコルソン4軍調整官に電話でまくしたてた。
だが、米軍は通告した午前7時30分より10分早く、当該ヘリを普天間飛行場へ飛び立たせ
た。


【米軍運用を追認】
この日、米軍はまるで事故がなかったように、激しく訓練飛行を実施した。県や地元市町
村の意向を一顧だにせず、事故機のAH1Zヘリに加え、オスプレイ、CH53E大型輸送ヘリ
を断続的に飛ばした。米軍北部訓練場や那覇市内でも飛行が確認された。
「このまま県民の意向を無視するなら、米軍は沖縄で訓練ができなくなる」。県民の意向
を無視する米軍に県幹部は不信感を強め、日米安保体制への影響に言及。事故を防げない
日本政府には全機種点検を政府の責任で実施するよう迫った。
これに呼応するかのように、防衛省は今回、在日米軍の全航空機を点検するよう米側に要
請した。防衛省関係者は「全機種の整備点検の申し入れは新しい点だ」と強調する。
だが、結局は飛行停止までは求めず「整備点検をしっかりしてほしい」(小野寺氏)との
要望どまり。米軍の運用に関わる事には口を挟めないからだ。


【駐留へ影響懸念】
政府内には米軍の安定的駐留への影響を懸念する一方、米側に何も言えないもどかしさも
のぞく。「当時者効力がない」。翁長雄志知事にそう批判されたことを受け、小野寺氏は
「これからも日本政府全体として安全な運航をするよう強く求めていく」と繰り返すのが
精いっぱいだ。
「年間の事故は30件以上。月2件以上という異常な状況だ」。9日、富川副知事は県庁に沖
縄防衛局の中嶋浩一郎局長と外務省沖縄事務所の川田司大使を呼び強く抗議した。
重ねて飛行停止を求める富川氏に、中嶋氏は「米側へ整備の徹底や航空機の総点検を働き
かけた」と防衛省の対応を説明した。

緊張で張り詰める副知事室。その時、県庁上空を「ばたばた」と音を立てて、オスプレイ
が通過した。

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