2018年1月19日金曜日

辺野古着工後 初審判へ

《稲嶺市政8年「市長権限で国に対抗」》
〈沖縄タイムス2018年1月18日2面〉

名護市長選は28日告示、2月4日投開票される。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、3期目を目指す現職の稲嶺進氏(72)は断固反対、前市議で新人の渡具知武豊氏(56)は、県と国の裁判の経緯を注視するという立場で立候補を表明している。沖縄防衛局が2014年7月に事業着手してから初めての審判が下される。
稲嶺氏は10年1月に初当選。普天間の「県外・国外移設」を掲げた当時の民主党政権は辺野古以外を模索していたが、10年5月に辺野古回帰を表明した。
12年12月に自民党が政権に返り咲くと、沖縄防衛局は13年3月、辺野古の埋め立て承認申請を県に提出。
稲嶺市長は同年11月、「断固反対することが市民の強い決意」と承認しないよう求める意見書を提出した。
仲井真知事は13年12月、「県外移設」の公約を覆す形で埋め立てを承認。多くの県民の反発が強まる中、稲嶺市長は14年1月の選挙で、辺野古「推進を主張した前県議の末松文信氏に大差をつけ、再選を果たした。
防衛局はその2日後に辺野古新基地建設に向けた設計業務の入札を公告。民意を一顧だにせず、14年7月に事業着手した。
「新基地建設を阻止する」と訴えた稲嶺市長は、防衛局が作業ヤードとして整備する辺野古漁港の占用許可や、埋め立てで河口部がふさがれる美謝川の水路切り替えに必要な法廷外公共物占用協議などを「市長権限」として洗い出した。
市長の許可を得るのは難しいとみた防衛局は、美謝川の水路切り替えで、従来設計の変更を申請したが、県の承認が得られず、取り下げるなど”悩みの種”として残っている。
移設反対の翁長知事が15年10月、埋め立て承認を取り消し。稲嶺市長は県と国との裁判で法廷に立ち、「名護市や県の理解を得ないまま強行することは、地方自治の原理に反する」と地元の思いを訴えた。稲嶺市長は8年間で5度訪米し、ワシントンなどで新基地建設を断念するよう求めている。
防衛局は知事や市長の権限を潜り抜けるように従来計画を変更し、17年4月の護岸工事にこぎ着けたが、工期が大幅に遅れているのが現状だ。
稲嶺市長は「圧倒的な権力で強行しても工事は進んでいない」との認識で、「後戻りできない状況ではない」と主張している。
渡具知陣営は「残念ながら名護市の権限で止めることはできない」と強調。「あとは司法の判断を見守る」という姿勢だ。

【自民は幹部次々投入】米軍機事故続きで焦り
自民党が米軍普天間飛行場の辺野古移設が争点となる名護市長選に向けて幹部を次々と送り込んでいる。
前回選では支援を見送った公明党も加わり、秋の県知事選も視野に、与野党対決の構図に持ち込んだ。総力戦の背景には、昨年末から米軍機のトラブルが続発し野党に有利にはたきかねないとの焦りもある。
自民党にとっては今月21日に投開票が行われる南城市長選はその後の名護市長選の「前哨戦」。名護市と同様に、与党が推す候補と、翁長雄志知事と野党が支援する候補の一騎打ちの構図だ。
18日には石破茂元幹事長が南城市入りする。自民党幹部がこぞって応援に訪れるのは「南城が落とされれば、名護も勢いがそがれる」(選対関係者)と懸念しているためだ。名護市には、既に自民党が二階俊博幹事長や竹下亘総務会長、塩谷立選対委員長、公明党は斎藤鉄夫選対委員長が訪れ、てこ入れを図った。
米軍機が昨年12月に窓を小学校に落下させたのに続き、今月は2回、不時着トラブルが発生している。共産党の志位和夫委員長が12日に名護市で基地反対を訴えるなど野党側は攻勢を強める。
自民党幹部は「差を詰めてきたので、不時着は痛い」と話す。今後、人気の高い小泉進次郎筆頭副幹事長を街頭演説に投入していく予定だ。

《南城市長選「きょうから三日攻防」》最終盤 集票合戦に熱

21日投開票の南城市長選は18日から「三日攻防」に入る。4選を目指す古謝景春氏(62)無所属、自民、公明、維新推薦と新人で元衆議院議員の瑞慶覧長敏氏(59)無所属、社民、共産、社大、自由、民進推薦の両陣営は、市内各地を遊説カーで回って支持を訴えており、最終盤の集票合戦が過熱している。
古謝氏は3期12年の実績を強調し「市政継続で日本一魅力あるまちづくりに取り組む」と訴える。支持を表明する大里出身の市議全5人を含む与党系市議15人を中心に運動を展開。10日には市街の県議や市町村議員が市内に入って支持を求め、自民、公明などの推薦政党の支援も受ける。
瑞慶覧氏は偏りのない市政を運営するとし「姿勢をチェンジし、市民の声を反映させた政策を実現する」と主張。野党系市議3人を中心に、スポット演説で支持を呼びかける。グァムから帰国した翁長雄志知事も16日に応援演説し、「オール沖縄勢力」の後押しを受ける。
古謝陣営は昨年10月に事務所開きをした。市内72自治会のうち60か所に「字支部長」を配置。さらに約50か所で地域懇談会を重ねてきており、着々と地盤を固めつつある。昨年12月から毎朝のお手振りをはじめ、企業の朝礼にも出向いて支持を呼びかける。
瑞慶覧陣営は昨年12月に事務所を開いた。選挙戦は「市政刷新」を期待する市民スタッフ中心に展開。政策を訴えるビラは2種類、約1万8千枚を印刷し、全世帯に配布。告示前は湯税を徹底し、これまでに市内のほぼ全域を巡り支持を訴えた。
15日から始まった期日前投票は17日までに2415人が投票を済ませた。

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