2018年1月31日水曜日

基地で振興 56%否定

《沖縄タイムス 名護市長選世論調査》
〈沖縄タイムス2018年1月30日3面〉

沖縄タイムス社が実施した2月4日投開票の名護市長選世論調査で、市内有権者の支持政党や辺野古新基地建設への賛否、最も関心のある争点などが明らかになった。3期目を目指す現職の稲嶺進氏=社民、共産、社大、自由、民進推薦、立民支持=と、前市議で新人の渡具知武豊氏=自民、公明、維新推薦=が激しい選挙戦を展開しており、終盤戦の動向や投票率が情勢に影響を与えそうだ。

『移設 支持先で賛否明確』

【辺野古移設と地域振興】
選挙戦で最大の争点となっている米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設への賛否を聞いたところ、「反対」が53%で、「どちらかといえば反対」の13%を含めると66%が新基地建設に否定的な回答となった。一方「賛成」は10.5%、「どちらかといえば賛成」は17.8%で、容認の考えは計28.3%にとどまった。「分からない、無回答」は5.7%だった。
稲嶺進氏に投票予定のうち「反対」「どちらといえば反対」は合わせて90.6%に上った。一方、渡具知武豊氏に投票予定のうち「賛成」「どちらといえば賛成」は68.5%で、賛否が明確に割れた。
男女別では、「どちらか言えば」を含めた「反対」が男性60.2%、女性71.6%といずれも賛成を上回った。
辺野古移設による政府の地域振興や経済対策への期待に関しては「期待する」22.6%、「どちらといえば期待する」15.4%で計38%だったのに対し、「期待しない」「どちらといえば期待しない」は56.8%と半数を超えた。「分からない、無回答」は5.2%だった。
辺野古移設に「賛成」とした人のうち約8割は「期待する」とし、「反対」の約7割は「期待しない」と回答した。

『高齢者ほど「大いに関心」』

【選挙への関心度・争点】
名護市長選について、どの程度関心があるかを尋ねたところ、「大いに関心がある」が69.3%、「ある程度関心がある」が22.8%で全体の92.1%が関心を示した。
「大いに関心がある」を年代別に見ると、50代以上が80%超と高く、40代で72.4%、30代で57.8%、29歳以下が43.4%と年代が下がるにつれ低い傾向にある。
「あまり関心がない」を職業別でみると学生が41.8%と高く、次に現業職が15.6%と続いた。最も関心の高い争点を尋ねると「辺野古移設」が53.2%、「雇用・経済振興」が16.6%、「医療・福祉の充実」が11.6%、「教育・子育て支援」が11.4%、「観光振興」が3.5%、「交通・インフラ整備」が0.5%だった。
稲嶺氏へ投票予定と答えた人に最も関心の高い争点を尋ねたところ、「辺野古移設」が79.8%と最も高く、「医療・福祉の充実」が6.7%、「雇用・経済振興」が6.5%、「教育・子育て支援」が6.5%だった。
渡具知氏へ投票予定と答えた人に最も関心の高い争点を尋ねたところ、「雇用・経済振興」が35.3%と最も高く、次いで「教育・子育て支援」が19.5%、「医療・福祉の充実」が18.3%、「観光振興」が10.6%、「辺野古移設」は11.6%だった。
投票先を分からない・無回答とした人の37.8%が「辺野古移設」を最も関心のある争点とした。

『建設強行 不支持が67%』

【移設進める政府姿勢】
普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を進める政府の姿勢について、「不支持」が56.5%と圧倒的に多く、「どちらかといえば不支持」の10.7%を加えると67.2%で約7割に上った。沖縄の選挙で示した民意を顧みない強行に厳しい結果が出た。
「支持」は9.3%、「どちらといえば支持」は18.6%だった。
辺野古に断固反対する稲嶺氏へ投票予定の83.5%が「不支持」、8.7%が「どちらといえば不支持」。
逆に、政府・与党の支援する渡具知氏へ投票予定の24.8%が「支持」、43.9%が「どちらといえば支持」と、68.7%で約7割が理解を示した。
自民党支持者の65.4%が支持、27.9%が不支持、公明党支持者の52.9%が支持、45.8%が不支持だった。国政野党では希望の党の支持者を除き、不支持が支持を上回った。「支持政党なし」と答えた人の13.9%が支持、78.8%が不支持だった。


2018年1月25日木曜日

二階氏の協力要請応じず

《石垣市長選 保守分裂へ》砂川氏、きょう出馬表明
〈沖縄タイムス2018年1月24日2面〉

自民党の二階俊博幹事長は23日、党本部で県議の砂川利勝氏(54)==沖縄・自民==と会い、3月11日投開票の石垣市長選の出馬を見送り、3戦を目指す現職の中山義隆氏(50)への一本化に協力するよう要請した。砂川氏は「重く受け止め、後援会と相談したい」と応じたが、同日夜の会合で予定通り24日に出馬表明することを確認。保守分裂は避けられない情勢だ。
同選挙では、陸自配備計画の是非が最大の争点となる見通し。中山氏は容認の立場だが、受け入れの「最終判断」は保留。砂川氏は配備計画予定地とする現計画の見直しも視野に入れている。
配備に反対する市議の宮良操氏(61)も出馬予定で、三つどもえの公算が大きい。二階氏は砂川氏に「わが国の安全保障を確保する観点から大局的な見地に立ってほしい」と求めていた。
砂川氏の後援会幹部は「(要請は)覚悟の上だった。現職で一本化はあり得ない」と述べた。

《対話で島に元気を》石垣市長選「砂川氏、出馬表明」
〈沖縄タイムス2018年1月25日2面〉

任期満了に伴う来年3月11日の石垣市長選で、新人で県議の砂川利勝氏〈54〉は24日、市内のホテルで記者会見し、正式に出馬表明した。「対話でつくる島づくりが原点。均衡ある発展で石垣に元気を」と決意し、市平得大俣への陸上自衛隊配備計画を「白紙に戻す」と明言した。
島への陸自配備は争点の一つ。砂川氏は賛成の立場を強調しつつも現予定地では「住民合意が得られていない」と指摘。「対話で解決し、住民合意の得られる所を提案する」と述べた。
また、現計画では予算規模が大きい新庁舎の設計を見直すとし「身の丈に合った庁舎を地元業者と造る。(経済含め)先を見越した政策に取り組む」とした。
【砂川利勝】(すながわ・としかつ)1963年9月、市桃里生まれ。中部大学土木工学科卒。2002年から市議を4期務め、12年の県議選で初当選し、現在2期目。県たばこ耕作組合会長。石垣葉たばこ生産振興会長。

《埋まらぬ溝 保守分裂確定的》石垣市長選「陸自配備争点 三つ巴へ」
〈沖縄タイムス2018年1月25日2面〉
3月11日の投開票の石垣市長選は、3選を目指す保守系現職の中山義隆氏(50)に対し、反発する一部保守層の擁立した自民党県議の砂川利勝氏(54)が出馬表明し、保守分裂が確定的となった。自民党本部や県連は現職で一本化しようと動いたが思惑は崩れた。新人で革新系市議の宮良操氏(61)の出馬予定で、三つどもえになる情勢だ。
「常識的に考えて保守が分裂して三つどもえなら共倒れだ」。自民県連幹部は危機感をあらわにする。
20、21の両日、西銘恒三郎衆院議員が石垣入りし、中山、砂川の両氏との調整に臨んだ。市平得大俣で進む陸上自衛隊配備計画の是非が最大の争点となる見通しで、23日には党本部の二階俊博幹事長が砂川氏を呼び、「安全保障を確保する観点から大局的な見地で保守分裂を回避してほしい」と要請していた。
自民関係者は「官邸は相当ピリピリしている。石垣は、国防、国策にも関わり、このままで終わるはずがない」と困惑。県連幹部は「自民の推薦は現職の方向。砂川氏が勝つのはかなり厳しい」と指摘する。
「これまでの総括もせず、現職ありきでは納得できるわけがない」。保守分裂の予兆が表面化したのは昨年12月23日。中山氏擁立を決めた自民党石垣支部内で、砂川氏に近い市議の反発が噴出した。
支部内の溝は、砂川氏が初当選した2012年の県議選で、中山氏が別の保守系候補を支援したことに端を発する。14年の副市長人事では、中山氏が与党系に事前相談なく提案したことで一部が反対に回り、否決するなど確執が広がり、「反中山」派が具体化した。16年6月の市議会では陸自配備推進派の請願採決を巡り意見が割れ、自民会派が一時分裂した。
さらに砂川氏に近い自民関係者は、公明支持層を意識した中山氏が陸自受け入れの「最終判断」を保留する「曖昧な態度」も一部保守系の不信を招いた--と指摘する。
砂川氏の出馬表明に、中山氏の関係者は「想定内」と平静を装い、現職2期8年の実績で「支持を固めている」と自負する。一方、砂川陣営は昨年末から水面下で動き、票の切り崩しを続けている。
自民県連の幹部は「降りるに降りられない状況だろうが、現職県議は重要な存在。調整を続ける」と述べた。


米軍ヘリ 渡名喜に不時着

《事故相次ぎ 反発必至》
〈沖縄タイムス2018年1月24日1面〉

23日午後8時5分ごろ、渡名喜村内の村営ヘリポートに米軍普天間飛行場所属のAH1Z攻撃ヘリコプターが不時着した。県警によると乗員は2人で、けがはない。防衛省関係者によると、米軍は「警告灯が点灯し、予防着陸した」と説明しているという。県内では昨年から米軍機の事故、トラブルが相次いでおり、県内から強い反発が上がるのは必至だ。

【普天間機 村営着陸帯に】
村関係者によると、搭乗していた米兵は「油圧系統の異常を感じた」と話していた。不時着したのは漁港そばの村営ヘリポートで、村立中学校から約300mほどの場所。機体のそばには2人の米兵がいたという。同型機は8日にも読谷村内に不時着している。
富川盛武副知事は事故の報告をしたロック米海兵隊太平洋基地司令官に「言葉にならない。原因の報告を強く求める」と抗議。渡名喜村の桃原優村長は本紙取材に「米軍ヘリの不時着があまりにも多い。日本政府は沖縄の現状を真摯に受け止めてほしい」と語った。
防衛省は23日、マルティネス在日米軍司令官に在日米軍所属全機の整備点検を申し入れた。
政府関係者によると、米海兵隊は24日に整備要員をヘリで渡名喜島へ派遣し、点検の結果、異常がなければ同日中に普天間飛行場へ帰還させる方針だ。
渡名喜島近くには米軍の出砂島射爆撃場があり、2009年にも村営ヘリポートに米軍ヘリが不時着したほか、近くの海中で米軍のものとみられる爆弾の破片が見つかるなど、米軍による被害が相次いでいる。
米軍機を巡っては、昨年12月に宜野湾市内の小学校に普天間所属のCH53E大型輸送ヘリが窓を落下させたほか、今月にはうるま市伊計島などに相次いで不時着し、県内で米軍の整備体制への不安が高まっている。

2018年1月23日火曜日

前哨戦 評価は二分

《南城市長選で瑞慶覧氏当選「両陣営、影響探る」》
〈沖縄タイムス2018年1月23日2面〉

2月4日の名護市長選の「前哨戦」にも位置付けられる南城市長選で、翁長雄志知事が支援した新人の瑞慶覧長敏氏が勝利したことを受けて22日、名護市長選への出馬を表明している現職の稲嶺進氏(72)の陣営は「弾みがつく」、新人の渡具知武豊氏(56)の陣営は「影響はない」と、それぞれの評価を示した。

瑞慶覧氏同様、翁長知事を支持する立場の稲嶺氏は「県内11市のうち9市が保守系市長。その一角が崩れた意義は大きい」と強調する。「周囲からは厳しいという情報が入っていたが、厳しい局面を乗り越えて勝利したことで、名護市長選にも弾みがつく」と喜ぶ。
稲嶺氏の陣営関係者は「南城市で起こったうねりをじわじわと高め、名護で大きなうねりにに変えていきたい」と瑞慶覧氏勝利を歓迎した。23日に決起大会を控え、「南城市からも応援に駆け付けるだろう。運動を盛り上げ、勝利の機運を高めたい」と話した。
南城市長選の翌日の22日が決起大会だった渡具知陣営は、同市長選で政府・与党が推す現職が勝利し、名護市長選へ弾みをつけるスケジュールを描いていた。報道陣から影響について問われた渡具知氏は「分からない」と答え、「(南城市民が)新たな期待を求めていたのだと思う」とコメントした。
渡具知陣営関係者は「南城で勝って勢いに乗りたかったのは正直ある。しかし終わったこと。ここは気を引き締めて万全の体制で臨みたい。名護だけは絶対に負けるわけにはいかない」と気合を入れた。

【知事「勇気得られた」】
翁長雄志知事は、南城市長選で支援した新人で元衆院議員の瑞慶覧長敏氏(59)が当選したことに「相手側のトップリーダーに勝てたことは大変勇気づけられる」と述べ、「オール沖縄」側候補の勝利を喜んだ。22日午前、県庁で記者団に語った。
一方、2月の名護市長選など今後の選挙への影響に関しては「選挙は一つ一つ勝っていくのがセオリー。これはこれでありがたいが、その次(の選挙)も一つ一つということだ」と述べた。

【自民の二階氏「負けは負け」】名護市長選へ決意
南城市長選で、自民、公明、維新が推薦した現職が敗れたことについて、二階俊博自民党幹事長は22日の会見で「残念な結果。負けは負け」とし「次なる戦いに負けてはならない。決意を新たに取り組まなければならない」と名護市長選に向けて気を引き締めた。
菅義偉官房長官は会見で「地方の首長選挙なので、政府としてコメントは控えたい」としつつ、一般的に首長選挙は地域の課題や実績を訴え市民が判断した結果と説明した。名護市長選や知事選への影響についても「地域のさまざまな事情の中で行われる」と述べるにとどめた。

【8年ぶり選挙戦へ】八重瀬町長選「きょう告示」
任期満了に伴う八重瀬町長選が23日に告示される。いずれも無所属新人で、前町議の知念昭則氏(66)、元県議の新垣安弘氏(62)==自民・公明推薦、前町議の宮城勝也氏(43)の3人が立候補を表明しており、8年ぶりの選挙戦が見込まれる。投開票は28日。
合併12年の旧東風平町・具志頭村域の発展格差や人口増対策、産業振興、子育て・福祉政策の手法などが争点になりそうだ。
町選管によると22日現在の選挙人名簿登録者数は2万4111人(男性1万1856人、女性1万2255人)。

2018年1月22日月曜日

強引な市政に批判票

《瑞慶覧氏、受け皿に》
〈沖縄タイムス2018年1月22日2面〉

現職と新人による一騎打ちとなった南城市長選は、「市民の声を行政に反映させる」と訴えた新人の瑞慶覧長敏氏への期待が集まり、65票差で初当選を果たした。2016年の公立保育園全廃決定時に見られた古謝氏の強引な行政運営に反発する現職批判の受け皿になった。

瑞慶覧氏は昨年12月に立候補を表明。出遅れたが、社大党など5党から推薦を受け、翁長雄志知事を支える「オール沖縄」勢力で選挙態勢を構築した。市民の要望を幅広く拾い集め、若年層向けの住宅支援や子ども医療費無料化、公共事業では地元業者が参加しやすくする入札基準の改善などを政策にまとめ上げ、全戸へのビラ入れ配布と遊説に力を入れる”
空中戦”で政策の浸透を図った。
支持する市議は3人と少数だが地域を細かく回り、表には出せない市民の不満をすくいあげた。瑞慶覧氏に期待する女性や若者らもボランティアで運動を手伝い、無党派層や20代の若者に支持を呼びかけた。
新市長にとっては、市議会定数20人のうち、古謝恵春氏の支持する議員が15人を占めており、議会対応が課題となる。訴えてきた政策を実現するには議会の承認が必要で、公約を貫くには難しいかじ取りが迫られそうだ。古謝氏が獲得した1万1千票は現市政への信任票でもあり、今後市政運営の面で一定の配慮が必要となる。
古謝氏は、昨年全廃した公立保育園問題を巡って市民と対立するなど、強引な手法には市民から根強い批判の声が上がっていた。選挙期間中には自民党幹部も続々応援に入り、市外の県議や市町村議らの支援も得たが及ばなかった。

《県政与党、反転へ一歩》自民、知事選に向け痛手

17の市町村選や知事選が控える「選挙イヤー」の幕開けとなった南城市長選は、翁長雄志知事や県政与党ら「オール沖縄」勢力が推した新人が初当選した。
「オール沖縄」勢力が市長選で勝利するのは初となり、2月4日の名護市長選へも一定の影響がありそうだ。自民は保守系首長の「チーム沖縄」の中心メンバーである現職を失い、今後の選挙戦に不安要素を残す結果となった。
「オール沖縄」勢力は、各政党や組織が結集する旗印となる普天間飛行場の県内移設断念などを掲げる「建白書」の実現を訴えた。
ただ、相手候補や応援に入った弁士は基地問題にはほとんど触れておらず、互いの陣営にとって争点は市政の課題に縛られた。
4期目を狙った現職の多選批判など市政運営への不満の受け皿となった面が強く、今後続く選挙は南城との政治構図が異なるため、基地だけではなく経済や教育、福祉などの政策で県政との連携をアピールし、支持を広げられるかがカギとなる。
政府与党の自民は告示後に党本部から岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長らが南城市入りする力の入れようを見せた。背景には南城市を落とせば直近の名護市長選への悪影響を及ばすとの考えがあった。懸念が現実となっただけに、名護だけではなく全県選挙の知事選に向けても痛手となった。
2週間後に控える名護市長選の勝敗は知事選に大きく影響する。現職を支える「オール沖縄」勢力が強みである辺野古新基地反対の民意を集められるか、新人を擁立した自民が公明・維新との協力体制を固め姿勢を奪還できるかが注目される。

瑞慶覧氏が初当選

《南城市長選「古謝氏と65票差」》
〈沖縄タイムス2018年1月22日1面〉

任期満了に伴う南城市長選は21日投開票され、新人で元衆議院議員の瑞慶覧長敏氏(59)==無所属、社民、共産、社大、自由、民進推薦==が1万1429票を獲得し、現職の古謝景春氏(62)==無所属、自民、公明、維新推薦==を65票差で破り、初当選を果たした。当日有権者数は3万4328人。投開率は66.92%で前回を7.55ポイント下回った。

2006年の旧4町村合併後12年の古謝市政の評価や、子育て支援の在り方などを争点に8年ぶりに選挙戦が繰り広げられた。
瑞慶覧氏は子育て世代の支援拡充や公平公正な行政の実現を訴え「市政刷新」を主張してきた。翁長雄志知事も応援に入るなど「オール沖縄勢力」の支援を受け、古謝氏の多選や行政運営への批判の受け皿ともなった。
古謝氏は自民、公明、維新まど県政野党や国会議員らの支援を受けて選挙戦を展開したが及ばなかった。
瑞慶覧氏は「立候補から短い期間の戦いとなったが、手弁当で市内外から駆けつけ、頑張ってくれた支持者の皆さんに感謝したい。3期12年を務めた現職の築いた礎の上に、市民一人一人の声を聞いて地域バランスよい発展を図り、すてきな市をつくりたい」と話した。

【瑞慶覧長敏】(ずけらん・ちょうびん)1958年生まれ。93年から英語教室を経営。2009年から衆議院議員を1期務めた。琉大卒。旧大里村仲間出身。

2018年1月19日金曜日

辺野古着工後 初審判へ

《稲嶺市政8年「市長権限で国に対抗」》
〈沖縄タイムス2018年1月18日2面〉

名護市長選は28日告示、2月4日投開票される。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、3期目を目指す現職の稲嶺進氏(72)は断固反対、前市議で新人の渡具知武豊氏(56)は、県と国の裁判の経緯を注視するという立場で立候補を表明している。沖縄防衛局が2014年7月に事業着手してから初めての審判が下される。
稲嶺氏は10年1月に初当選。普天間の「県外・国外移設」を掲げた当時の民主党政権は辺野古以外を模索していたが、10年5月に辺野古回帰を表明した。
12年12月に自民党が政権に返り咲くと、沖縄防衛局は13年3月、辺野古の埋め立て承認申請を県に提出。
稲嶺市長は同年11月、「断固反対することが市民の強い決意」と承認しないよう求める意見書を提出した。
仲井真知事は13年12月、「県外移設」の公約を覆す形で埋め立てを承認。多くの県民の反発が強まる中、稲嶺市長は14年1月の選挙で、辺野古「推進を主張した前県議の末松文信氏に大差をつけ、再選を果たした。
防衛局はその2日後に辺野古新基地建設に向けた設計業務の入札を公告。民意を一顧だにせず、14年7月に事業着手した。
「新基地建設を阻止する」と訴えた稲嶺市長は、防衛局が作業ヤードとして整備する辺野古漁港の占用許可や、埋め立てで河口部がふさがれる美謝川の水路切り替えに必要な法廷外公共物占用協議などを「市長権限」として洗い出した。
市長の許可を得るのは難しいとみた防衛局は、美謝川の水路切り替えで、従来設計の変更を申請したが、県の承認が得られず、取り下げるなど”悩みの種”として残っている。
移設反対の翁長知事が15年10月、埋め立て承認を取り消し。稲嶺市長は県と国との裁判で法廷に立ち、「名護市や県の理解を得ないまま強行することは、地方自治の原理に反する」と地元の思いを訴えた。稲嶺市長は8年間で5度訪米し、ワシントンなどで新基地建設を断念するよう求めている。
防衛局は知事や市長の権限を潜り抜けるように従来計画を変更し、17年4月の護岸工事にこぎ着けたが、工期が大幅に遅れているのが現状だ。
稲嶺市長は「圧倒的な権力で強行しても工事は進んでいない」との認識で、「後戻りできない状況ではない」と主張している。
渡具知陣営は「残念ながら名護市の権限で止めることはできない」と強調。「あとは司法の判断を見守る」という姿勢だ。

【自民は幹部次々投入】米軍機事故続きで焦り
自民党が米軍普天間飛行場の辺野古移設が争点となる名護市長選に向けて幹部を次々と送り込んでいる。
前回選では支援を見送った公明党も加わり、秋の県知事選も視野に、与野党対決の構図に持ち込んだ。総力戦の背景には、昨年末から米軍機のトラブルが続発し野党に有利にはたきかねないとの焦りもある。
自民党にとっては今月21日に投開票が行われる南城市長選はその後の名護市長選の「前哨戦」。名護市と同様に、与党が推す候補と、翁長雄志知事と野党が支援する候補の一騎打ちの構図だ。
18日には石破茂元幹事長が南城市入りする。自民党幹部がこぞって応援に訪れるのは「南城が落とされれば、名護も勢いがそがれる」(選対関係者)と懸念しているためだ。名護市には、既に自民党が二階俊博幹事長や竹下亘総務会長、塩谷立選対委員長、公明党は斎藤鉄夫選対委員長が訪れ、てこ入れを図った。
米軍機が昨年12月に窓を小学校に落下させたのに続き、今月は2回、不時着トラブルが発生している。共産党の志位和夫委員長が12日に名護市で基地反対を訴えるなど野党側は攻勢を強める。
自民党幹部は「差を詰めてきたので、不時着は痛い」と話す。今後、人気の高い小泉進次郎筆頭副幹事長を街頭演説に投入していく予定だ。

《南城市長選「きょうから三日攻防」》最終盤 集票合戦に熱

21日投開票の南城市長選は18日から「三日攻防」に入る。4選を目指す古謝景春氏(62)無所属、自民、公明、維新推薦と新人で元衆議院議員の瑞慶覧長敏氏(59)無所属、社民、共産、社大、自由、民進推薦の両陣営は、市内各地を遊説カーで回って支持を訴えており、最終盤の集票合戦が過熱している。
古謝氏は3期12年の実績を強調し「市政継続で日本一魅力あるまちづくりに取り組む」と訴える。支持を表明する大里出身の市議全5人を含む与党系市議15人を中心に運動を展開。10日には市街の県議や市町村議員が市内に入って支持を求め、自民、公明などの推薦政党の支援も受ける。
瑞慶覧氏は偏りのない市政を運営するとし「姿勢をチェンジし、市民の声を反映させた政策を実現する」と主張。野党系市議3人を中心に、スポット演説で支持を呼びかける。グァムから帰国した翁長雄志知事も16日に応援演説し、「オール沖縄勢力」の後押しを受ける。
古謝陣営は昨年10月に事務所開きをした。市内72自治会のうち60か所に「字支部長」を配置。さらに約50か所で地域懇談会を重ねてきており、着々と地盤を固めつつある。昨年12月から毎朝のお手振りをはじめ、企業の朝礼にも出向いて支持を呼びかける。
瑞慶覧陣営は昨年12月に事務所を開いた。選挙戦は「市政刷新」を期待する市民スタッフ中心に展開。政策を訴えるビラは2種類、約1万8千枚を印刷し、全世帯に配布。告示前は湯税を徹底し、これまでに市内のほぼ全域を巡り支持を訴えた。
15日から始まった期日前投票は17日までに2415人が投票を済ませた。

2018年1月17日水曜日

過剰警備断罪に評価

《車両制止違法判決》市民ら「勇気与えた」
〈沖縄タイムス2018年1月17日29面〉

東村高江の米軍ヘリパット建設に反対する関係者への取り締まりで、那覇地裁が県警側の違法性を認めた。高江のほか名護市辺野古の新基地建設現場でも警察官による「強制排除」が日常化しており、抗議する市民は判決を「警察の傍若無人な振る舞いを断じるもので画期的」と歓迎した。一方、県警幹部は「判決を精査したい」と慎重な対応に終始した。

【県警幹部慎重「精査する」】
高江では、工事車両が県道を通るたびに機動隊が集落から県道に出る道を通行規制していた。
高江に住む伊佐育子さん(57)は「朝の通勤、通学の時間に足止めされ、抗議行動に参加しない住民まで迷惑していた」と県警を批判。「自分たちは対応に疑問を持っていたが聞いてくれなかった。県警は判決を受け止め、辺野古での対応についても考え直してほしい」と話した。
抗議行動中に逮捕され、長期勾留された沖縄平和運動センターの山城博治議長(65)は「非暴力で行動しているにもかかわらず、県警の目に余るような過剰警備にさらされてきた人々に勇気を与える判決だ」と評価。「新基地建設問題で行政に迎合するような判決が続いてきた中、市民の声を受け止めてくれた裁判官の判断は画期的」と続けた。
一方、高江や辺野古での警備について、県警はこれまで警察法2条などを根拠に「現場の混乱防止や交通の安全を確保する目的」で現場を規制し、公務執行妨害容疑などで抗議参加者らを逮捕してきた。
ある県警幹部は、判決に「精査したい」と渋い表情。今後の警備体制への影響へについては「判決が即、現場の警備方針に影響するかは分からない」とし、別の幹部は「これからも法令に基づいて対応することに変わりはない。それしか言えない」と話した。

【国民の自由制約 猛省迫る】
東村高江でヘリパット建設に抗議する市民を支援する弁護士の車両通行を2時間以上制止し、ビデオ撮影した県警側の行為を違法と断じた16日の那覇地裁判決は、当時の警備が国民の自由を制約するほど過剰だったと指摘している。法治国家の根幹である司法的統制を軽視した警察の手法に歯止めをかけ、憲法や法令に違反していないか猛省を迫るものと言える。
憲法13条は個人の尊重や生命・自由の権利の尊重をうたっている。これは国民の私生活上の自由が、警察権などの国家権力の行使に対しても保護されると解される。撮影行為については最高裁が1969年12月、「現に犯罪が行われているような特段の事情がない限り、個人の容貌などを撮影することは憲法13条の趣旨に反して許されない」と判示している。犯罪行為に及ぶ蓋然性がないまま、原告の車両を制止して撮影した行為は憲法に抵触する可能性のある違法な行為だ。
名護市辺野古の新基地建設の抗議活動では現在も、県警や沖縄防衛局が抗議参加者を撮影している。法令や判例に照らして適法かどうか、当局は今一度検討することが求められている。

【抗議活動に公正な判決】中野正剛沖縄国際大教授(刑事法)
今回の判決では、犯罪が起きる蓋然性が高くないのに、東村高江のヘリパット建設に反対する市民を支援する弁護士の車両通行を制止し、車両や弁護士の容貌をビデオ撮影した県警側の行為が違法と判示された。警察官の検問を受ける際、原告の弁護士は自らの身分を明かすことはなかったため、適法に抗議活動をしている一般市民げ原告でも同様の判決が出たことが予測される。
注目すべきは、判決が「抗議参加者であるとの一事を持って、その者が犯罪行為に及ぶ具体的蓋然性があると判断することは、合理性を欠くものと言わざるを得ない」と指摘した点だ。当時、高江では公務執行妨害や道路交通法違反の容疑で逮捕者が出た一方、法を守りながら抗議活動をしていた市民もいたはずだ。抗議活動への一定の理解を示し、中立公正な判断をしている。
被告の県側は検問で原告の車両を止めた理由について「建設工事を妨害するために犯罪行為に至る蓋然性が高い」と判断したと主張しているが、十分に立証を尽くしていない。県警本部の誰がどのような指示や方針で通行を認めないと判断したのか、より具体的な説明が求められる。
今までも同種事案は高江の現地で起きていたが、今回初めて当事者が県を提訴して勝訴した。個人の尊厳や自由を守るためには、こうした地道な訴訟の積み重ねが道を開くのだということを明らかにした。

《高江検問 県に賠償命令》警官が車制止 違法

《高江検問 県に賠償命令》警官が車制止 違法
〈沖縄タイムス2018年1月17日1面〉


2016年11月に、当時米軍ヘリパッド建設が進んでいた東村高江の県道で沖縄県警の指揮下
にあった警察官に車両の通行を違法に2時間以上制止されたなどとして建設反対の市民を
支援する男性弁護士が県に慰謝料50万円の支払いを求めた国家賠償訴訟で、那覇地裁(森
鍵一裁判長)は16日、対応の違法性を認め、県に30万円の支払いを命じた。


【ビデオ撮影「正当性なし」】
訴えていたのは、沖縄弁護士会の三宅俊司弁護士(66)==那覇市。
訴訟の争点は、県警の指揮下で検問に当たっていた警視庁警察官の制止行為と、別の警官
が弁護士本人や車両を撮影した行為の適法性。判決は両争点について「原告の自由を制約
するもので、警察官職務執行法(警職法)や警察法のいずれによっても正当化できない」と
違法性を認定した。
県側は制止行為について「当時、付近の路上では座り込みや自動車の放置による道路封鎖な
ど、建設工事を妨害するための犯罪行為が頻発していた」と主張。
警察官に反抗的な態度を示し、警官をビデオ撮影するなどしていた原告を抗議参加者と判断
し「犯罪行為に走る可能性が高く、警職法5条に基づいて適法に制止した」などと訴えていた。
これに対し森鍵裁判長は判決理由で「同条での制止が許されるのは『犯罪がまさに行われよ
うとする場合』であることが必要」と指摘。付近の路上では抗議活動に伴う犯罪行為が起る可
能性が一定程度あったとしながらも「原告の言動からは犯罪行為に及ぶ可能性があると認める
にのは困難」などと判示した。
県側が「車両を急発進させるなどの危険性があったため、証拠保全のために実施した」と主張
するビデオ撮影についても、判決は「犯罪に及ぶことをうかがわせる原告の言動はなく、あら
かじめ証拠を集める必要性は認められない」と違法性を認定した。
原告の三宅弁護士は「市民の自由を制限する行為で、法にのっとって警備活動をしてもらいた
い」とコメントした。県側は「判決内容を十分に検討した上で対応したい」とした。

判決によると、抗議活動の現場に向かっていた三宅弁護士は16年11月3日午前11時40分ごろ、
東村高江の県道70号で警官に停車を求められた。根拠を繰り返し尋ねたが回答はなく、承諾な
くビデオ撮影されるなどした。三宅氏は、弁護士であることを告げなかった。

2018年1月16日火曜日

軍属の地位 除外者ゼロ

《日米補足協定締結から1年》軍属の地位、除外者ゼロ
〈沖縄タイムス2018年1月16日2面〉

【犯罪防止へ効果不透明】
2016年4月にうるま市で発生した米軍属による女性殺人事件を受け日米両政府が締結した日米地位協定の軍属に関する補足協定で、適格性を満たさないとして軍属の地位を外されてた従業員の数は0となっていることが15日分かった。
同日米側から「該当する契約業者の従業員はいなかった」との報告があった。16日で協定締結から1年を迎えた。
補足協定では軍属の範囲を明確化したことに伴い、既存の契約を更新する従業員が適格性基準を満たさなくなる場合、軍属の地位を終了する手続きをとる。
半年ごとに米側から進捗を報告するが、昨年7末と今回はともに「該当者なし」だった。
政府は軍属ならば米軍の管理が強化され、軍属の地位が与えられなければ日本の裁判権に服することから犯罪防止につながることを期待しているが、適格性が厳格に判断されているかどうかや、米側の軍属に対する管理の在り方も不明で、補足協定の効果は不透明だ。
米側から日本にいる軍属の数が17年10月末時点で7048人、そのうち従業員の数は2341人となったことも報告された。16年末はそれぞれ約7300人、約2300人だった。

外務省は「協定は軍属の数を絞ることが目的ではなく、数をもって協定を評価するのは適切ではない」としている。米側は「補足協定を厳格に履行した結果だ。日米安全保障条約の義務を果たすために必要な数で、時々の業務の必要性で数は変動する」と説明しているという。
一方、県は補足協定の効果を疑問視し、日米地位協定の抜本的な見直しを求めている。

2018年1月15日月曜日

古謝・瑞慶覧氏が立候補

《南城市長選告示「現職と新人一騎打ち」》
〈沖縄タイムス2018年1月15日1面〉

任期満了に伴う南城市長選は14日告示され、現職で4期目を目指す古謝景春氏(62)==無所属、自民、公明、維新推薦==と新人で元衆議院議員の瑞慶覧長敏氏(59)==無所属、社民、共産、社大、自由、民進推薦==の2人が立候補を届け出た。合併後12年の市政の評価や子育て支援の在り方が争点。21日に投開票される。

古謝氏と瑞慶覧氏は14日午前、それぞれ出発式を開いた後、市内を遊説して有権者に支持を呼びかけた。
古謝氏はインフラ整備など3機12年の実績を強調し「市政の継続」を訴えた。
瑞慶覧氏は公平な市政実現を訴え「市民と一体となったまちづくり」を目指す。同日は市議補選も告示され、2人(欠員1人)が届け出た。

13日現在の有権者数は3万4348人(男性1万7235人、女性1万7113人)。
期日前投票は15日から20日の午前8時~午後8時、市役所玉城庁舎で行われる。

【古謝景春】(こじゃ・けいしゅん)1955年生まれ。79年に旧知念村役場採用。2002年村長に当選。沖大卒。旧知念村字安座間出身。

【瑞慶覧長敏】(ずけらん・ちょうびん)1958年生まれ。93年から英語教室経営。2009年から衆議院議員を1期務めた。琉大卒。旧大里村仲間出身。

《2候補熱弁 勝利誓う》南城市長選
〈沖縄タイムス2018年1月15日28面〉

14日告示された南城市長選に、現職の古謝景春さん(62)と新人の瑞慶覧長敏さん(59)が立候補した。3期12年の実績をアピールする古謝さんと、市政刷新を訴える瑞慶覧さんの一騎打ち。14日午前、両候補者は出発式で第一声を上げ、8年ぶりの選挙戦がスタートした。

【元気なまち 実績強調】古謝景春さん
古謝景春さんの陣営は市佐敷新開の選対本部前で出陣式を開いた。青いハチマキを絞めた支援者らが続々集まり、午前8時半に会場入りした古謝さんは握手を交わして笑顔で応えた。
支持を表明する国会議員らは応援演説で、子じゃ産の3期12年の実績を強調。「日本一元気で魅力あるまちづくりができるのは古謝さんしかいない」と呼び掛けると、会場からは「そうだ」と声が上がった。
妻の敬子さんにタスキを掛けてもらった古謝さんは「4町村が合併してゼロからのスタートだった。地域の活性化に向けて頑張りたい」と決意を表明した。
選対本部長の座波一県議は「12年間のまちづくりが間違っていなかったことを示そう」と呼び掛けた。
「必勝、必勝、古謝」。支援者のコールが沸き起こる中、選挙カーに乗り込み遊説に出発。有権者に市政の継続を訴えた。

【市政のチェンジ訴え】瑞慶覧長敏さん
瑞慶覧長敏さんが選対事務所を構える南城市大里高平には支持者が続々と集結。市政刷新を訴える「チェンジ・チャンス」と書かれた黄色のシャツを着た支持者が「チョービン」コールを響かせる中、瑞慶覧さんが現れ、拍手が起きた。
出発式で妻の陽子さんからタスキを掛けられた瑞慶覧さん。「市政を市民の手に取り返す選挙だ。市の未来を支える子ども支援と教育に力を入れ、若者の起業を応援、バイオメタンガスを使った農業モデル地区を造る」と力強く訴えた。
元県議の親川盛一後援会長は「現職の3期12年は長く、市政運営がワンマンになっていないか。住みよい街にしよう」と支持拡大を呼びかけた。
瑞慶覧さんはガンバロー三唱の後、「一緒に頑張ろう」と声援を受け、街宣車に乗り込んだ。地元の大里銭又区で街頭演説した後、市内各地を回った。

大型巡視船、拠点増設へ

《尖閣対応などで海保「石垣・宮古も候補」》
〈沖縄タイムス2018年1月14日3面〉

海上保安庁が、新造を予定する大型巡視船7隻の拠点となる施設を、最大で国内4か所に新設する方針を固めたことが13日、同庁関係者への取材で分かった。中国公船による沖縄・尖閣諸島周辺の領海侵入や、北朝鮮漁船による違法操業などに迅速に対応するのが目的。福井県敦賀市と鹿児島市、石垣島、宮古島の4か所が候補とされ、地元との協議を経て2019年度中にも着工する意向という。
同庁関係者によると、現在、千トン以上の大型巡視船を約60隻保有し、最大は約6500トンのヘリコプター搭載型という。ただ同庁管轄の施設でこれらの大型巡視船を複数係留できるのは横浜市と石垣島の2か所だけで、自治体の港湾施設などを借りているものの大半は1、2隻程度しか配備できないのが実情だ。
そのため同庁は、横浜など2か所に加え、各海域に複数の大型巡視船を同時に出動させることができる新拠点の整備が必要と判断。乗務員の宿舎なども設ける構想で、18年度の予算案に調査費として3億円を盛り込んだ。

石垣市長選、保守分裂三つ巴

《砂川氏、市長選出馬へ》
〈沖縄タイムス2018年1月14日2面〉

3月11日投開票の石垣市長選で、県議の砂川利勝氏(54)==沖縄・自民==が出馬の意向を固めた子ヨガ13日までに分かった。砂川氏は同日、八重山タクシー協会からの出馬要請に「前向きに検討する」と述べるにとどめたが、複数の関係者が24日に正式表明する日程を明らかにした。
同選挙では、3期目を目指す現職の中山義隆氏(50)と、新人で市議の宮良操氏(61)がすでに出馬表明しており、保守分裂の三つどもえとなる公算が大きい。
砂川氏は1963年うまれ。市桃里出身。中部大学土木工学科卒。2002年から市議を4期務め、12年の県議選で初当選し現在2期目。県たばこ耕作組合会長や石垣葉たばこ生産振興会会長を務めている。

《民進県連が瑞慶覧氏推薦》南城市長選
民進党県連は、21日投開票の南城市長選に立候補を表明している新人で元衆院議員の瑞慶覧長敏氏(59)の推薦を決定した。

《南城では古謝氏、名護では渡具知氏》維新県総支部が推薦
維新県総支部(儀間光男代表)は13日、21日投開票の南城市長選で現職の古謝景春氏(62)、2月4日投開票の名護市長選で新人の渡具知武豊氏(56)をそれぞれ推薦することを決定した。

2018年1月12日金曜日

《再編交付金 異なる立場》名護市長選立候補予定者市場討論(下)

《再編交付金 異なる立場》名護市長選立候補予定者市場討論(下)
〈沖縄タイムス2018年1月12日2面〉


沖縄タイムス社は2月4日の名護市長選を前に、立候補を予定する現職の稲嶺進氏(72
)と、新人で前市議の渡具知武豊氏(56)に辺野古新基地建設問題や再編交付金に対
する考えなどを質問し文書で回答を得た。また、互いへの質問とそれに対する回答も
得た。


【再編交付金について】
「新基地前提の上不便」稲嶺氏
「特段断る理由がない」渡具知氏


「予算は前市政より拡大しているとのことだが、再編交付金があれば一層拡大したの
では。」
〈稲嶺氏〉
再編交付金は辺野古新基地を造るために協力した分だけもらうお金だ。しかも、経常経
費は補助対象外で市民が本当に必要なソフトメニューの子育て対策や医療費助成には使
えない。例えば、再編交付金がすでに交付されている浦添市でも給食費の完全無料化は
いまだ実現していない。全国のどの市町村も米軍基地を受け入れて、一時的な交付金を
受け取り発展した自治体はない。私は辺野古新基地建設が前提の再編交付金に頼らず、
市職員のアイデアと市民の地域力で前市政より年平均で77億円も予算を増やすことがで
きた。


政策発表の質疑応答で再編交付金について「もらえるのであれば受け取る」との発言の
意図は。
〈渡具知氏〉
政策発表でのやり取りは「再編交付金を受け取りますか?」とのご質問だったと思う。
私の辺野古移設へのスタンスは、国と県が裁判中であることを注視している状況である。
そのスタンスを踏まえた上で、国が再編交付金を交付するというのであれば、特段断る
理由はないという意図の発言だ。


【新基地阻止への市長の権限は】
「許可なく続行できぬ」稲嶺氏


「辺野古新基地建設に関する市長権限の行使と阻止への効果は」。
〈稲嶺氏」
前知事の埋め立て承認から4年が経ったが、建設に係る護岸工事は100mでストップした
ままだ。埋め立て本体工事にはいまだ着手できていない。辺野古漁港周辺の埋め立て作
業ヤードを造るためには、シュワブと辺野古漁港の間の砂浜の使用許可が必要。同漁港
を資材置き場として使用するには許可が必要。辺野古川の護岸かさ上げ工事、美謝川の
水路切り替えもしとの合意が必要。シュワブ内の土砂採取も遺構が確認されているので
協議が必要だ。これらはすべてクリアされておらず埋め立てはできない。


【子育て支援策の財源】
「行政の無駄省き捻出」渡具知氏


「保育料や給食費無料化など子育て支援の財源は。」
〈渡具知氏〉
第一に行財政改革を行い、無駄を省き予算を捻出したい。次に予算の組み換え。受益者
負担の観点から、無料化等施策には一括交付金は原則使えない。しかし、10億円以上あ
る一括交付金と一般財源の組み換えにより子育て支援策を優先的に行いたい。


《クロス討論》


『稲嶺氏回答』
【パンダ誘致の費用と財源】
「民間資金の活用で可能」


〈渡具知氏から〉
「稲嶺市長による市営球場改修の決断が遅れたため、日本ハムファイターズは米国アリ
ゾナに一部キャンプ地を変更したのではないか」。
〈稲嶺氏〉
名護市は県内プロ野球キャンプ地の先駆けとして、これまで日本ハム球団が長年使用し
てきた名護市営球場を老朽化に伴って建て替える。これは球団側からの強い要望だ。
市は何年も前から日本ハム球団と綿密に調整し、プロの使用に耐えられる設計で建設に
着手した。球団は名護市に戻る前提があるからこそ、国内ではなく米国でキャンプを行っ
ていると理解している。工事期間中は当然、球場は使用できないが、昨年のキャンプも
後半は名護で行った。今年も2月17日から23日まで名護市でキャンプを行う準備がすでに
進んでいる。


「パンダを誘致する前にネオパークの整備が先ではないか。パンダ誘致には多額の費用が
かかると思うが、その費用と財源はいくらか」
〈稲嶺氏〉
ネオパークには平成29年度から取締役に市の政策調整官を派遣し、経営改善に取り組んで
いる。本年度から最終損益は黒字化が図られる見込みだ。また、園内施設の効率的な活用
やパートナー企業の誘致など、中長期的経営改善計画の策定にも着手した。パンダは子供
たちに夢を与える一大事業。今、民間レベルで沖縄に招致する具体的な取り組みがある。
名護市としてはそれにいち早く名乗りを上げたということだ。パンダ招致の経済効果は大
きく、財源はファンドなど民間資金を活用する方法などで招致は実現可能と考えている。


『渡具知氏回答』
【オスプレイ撤回決議に反対の理由は】
「決議内容で折り合わず」


〈稲嶺氏から〉
「米海兵隊の県外・国外移転を求める」と明言する一方で「再編交付金は受け取る」と
発言。矛盾している。


〈渡具知氏〉
この発言は、私の政策発表での記者とのやり取りだったともう。私の辺野古移設へのスタ
ンスは、国と県が裁判中であることを注視している状況である。そのスタンスを踏まえた
上で、国が再編交付金を交付するというのであれば、特段断る理由はないちう意図の発言だ。


「安部区へのオスプレイ墜落の後、市議会での(オスプレイ)配備撤回決議に賛同しなか
ったのはなぜか。岩国基地では体験試乗し安全をPRしたからか。」
〈渡具知氏〉
当時、私も野党会派の1人として、議会において議論させていただいた。その中で、「当該
事故について艦化できるものではない」ことは述べさせていただいた。しかし、決議の内容
については折り合わなかったため反対した。


《パンダ誘致に意欲示す》名護市長「実現性高い」
稲嶺進市長は11日の定例会見で、ネオパークオキナワ(名護自然動植物公園)へのパンダ
の誘致について「昨年11月ごろ、民間団体の方で沖縄に誘致しようという動きがあると耳
に入ってきた」とし、実現可能性には「かなり高いと聞いている」と述べた。

稲嶺市長は8日、名護市長選出馬に向け政策発表し、パンダ誘致を訴えた。政策に盛り込
んだ理由について「(パンダは)非常に大きなインパクトを与える、誘致活動が出てきた
とき、ぜひうちのところに、というのは当然」と述べた。

2018年1月11日木曜日

《名護市長選 2018.2・4「立候補予定者市場討論(上)》

《名護市長選 2018.2・4「立候補予定者市場討論(上)》
〈沖縄タイムス2018年1月11日2面〉


2月4日投開票の名護市長選を前に、沖縄タイムス社は立候補を予定している現職の稲嶺
進氏(72)==無所属、社民、共産、社大、自由、民進推薦==と、新人で前市議の渡
久地武豊氏(56)==無所属、自民、公明推薦==に、選挙の意義や辺野古新基地建設
問題、若者にアピールしたいことを質問し、文書で回答を得た。また新貝に聞きたいこ
とを質問し、それぞれ回答してもらった。2回に分けて紹介する。


【市長選の意義は】
「辺野古への審判問う」稲嶺進氏
「経済活性化を訴える」渡久地武豊氏


市長選の意義はーー
〈稲嶺氏〉
今回の選挙で一番の争点は辺野古新基地問題だ。市民を二分し、対立を生み続けてきた
問題に終止符を打つ。前回の選挙では自民党の国会議員、前知事の裏切りがあった。
SACO合意以来20年以上が経過したが、米軍の事件や事故は増え負担は増すばかりだ。
日米両政府は名護市民、沖縄県民の民意を顧みないばかりか、法的手続きも無視し工事
を強行している。安倍政権は強大な権力を振りかざして民主主義や地方自治を圧殺して
いる。私は辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない。名護市民の審判を問う選挙
にしたい。


〈渡久地氏〉
稲嶺市政8年で本当に市民生活が良くなったか。経済活性化がなされたか。そこが問わ
れる重要な選挙。この8年、経済振興に失敗しているのは明らか。今の名護市を見て中
南部、宮古島、石垣島のような好景気感があるかと問われれば誰もがNOというだろう。
また日本ハムファイターズは名護市のシンボルであり、地域活性化の大きな柱。稲嶺市
政の市営球場改修の決断が遅れたため、38年続いたキャンプは昨年から一部アリゾナに
映った。そのため名護市でのキャンプが大幅に短縮されたことは地域経済に大きな打撃
を与えた。


【選挙結果は辺野古基地建設にどう影響するのか】
「市民の最終的な答え」稲嶺氏
「家庭の話には答えず」渡久地氏


辺野古新基地建設に選挙結果はどう影響するか


〈稲嶺氏〉
相手候補は安倍政権(官邸)と自民党本部丸抱えの選挙を行っている。今回の選挙で辺
野古が唯一と繰り返してきた自民党候補者が3度敗れたら、完全にノックアウトだ。違
法な工事を強行する日米両政府に対して、県内、国内世論だけではなく国際的にも影響
が広がるだろう。
これまで辺野古新基地建設問題に関わってきた歴代知事、市長(名護、宜野湾)を含め、
誰一人として3戦を果たしていない。私の3選によって強固な名護市民の民意が示される
ことになるだろう。それが、名護市民の最終的な答えだ。


〈渡久地氏〉
辺野古移設については、現在、国と県が係争中であり、私は、この行方を注視している立
場。今回の選挙は、稲嶺市政8年間で本当に市民の生活が良くなったか、名護市の経済活
性化がなされたのか、そこが問われる選挙だと考えている。選挙結果については仮定の話
であり、予定候補者である私が発言することは、大変申し訳ないが差し控えたい。


【若者に何を訴えるか】
「新奨学金を創設」稲嶺氏
「雇用環境を整備」渡久地氏


選挙権が18歳に引き下げられから初の市長選。若者に何を訴えるか


〈稲嶺氏〉
子育て環境は県内トップクラス。待機児童は今年4月にはゼロになり、中学卒業までの医
療費は入院・通院も含め無料化を実現した。次は窓口での支払いがなくなるよう取り組む。
若者が保育士資格を取るための奨学金制度も作り、同時に保育士の待遇改善に力を入れる。
さらに、返済のいらない名護市独自の奨学金制度を創設し若者の夢を実現させる。
また、「ITイノベーション戦略センター」を名護市に誘致し、新たなビジネスチャンスも
作る。中南部にはない豊かな自然環境で生活できる名護市に誇りを持ってもらいたい。


〈渡久地氏〉
名護市の若者が安心して地元で暮らせるように、特に雇用環境の整備に力を入れたい。21
世紀の森公園および宇茂佐海岸のロングビーチ形成、そこを中心とした滞在型リゾートホ
テルを誘致したい。
名護漁港についても大型クルーズ船や那覇からの高速艇が寄港できるよう整備し、市街地
には若者が集える映画館やアミューズメント施設の誘致、また名護大通りの無料wifi化も早
急に整備したい。

《国、飛行停止逃げ腰》米へ整備要請止まり「県幹部、『主権国家なのか』」

《国、飛行停止逃げ腰》米へ整備要請止まり「県幹部、『主権国家なのか』」
〈沖縄タイムス2018年1月10日3面〉


うるま市伊計島、読谷村に相次いで不時着した米軍普天間飛行場所属のヘリの同一・同型
機が、9日も県内上空を飛行した。飛行停止を求める県や地元市町村の意向を無視する姿
勢に「全く県民の意向が伝わっていない」(県幹部)と怒りの声が噴出した。米軍に飛行
停止を求めない日本政府には「主権国家とは言えない」と冷ややかな見方が広がる。


【米軍ヘリ飛行継続】
「到底納得できない」読谷村に不時着したAH1Z攻撃ヘリが翌早朝に離陸するとの情報を
得た富川副知事は8日夜、在沖米軍トップのニコルソン4軍調整官に電話でまくしたてた。
だが、米軍は通告した午前7時30分より10分早く、当該ヘリを普天間飛行場へ飛び立たせ
た。


【米軍運用を追認】
この日、米軍はまるで事故がなかったように、激しく訓練飛行を実施した。県や地元市町
村の意向を一顧だにせず、事故機のAH1Zヘリに加え、オスプレイ、CH53E大型輸送ヘリ
を断続的に飛ばした。米軍北部訓練場や那覇市内でも飛行が確認された。
「このまま県民の意向を無視するなら、米軍は沖縄で訓練ができなくなる」。県民の意向
を無視する米軍に県幹部は不信感を強め、日米安保体制への影響に言及。事故を防げない
日本政府には全機種点検を政府の責任で実施するよう迫った。
これに呼応するかのように、防衛省は今回、在日米軍の全航空機を点検するよう米側に要
請した。防衛省関係者は「全機種の整備点検の申し入れは新しい点だ」と強調する。
だが、結局は飛行停止までは求めず「整備点検をしっかりしてほしい」(小野寺氏)との
要望どまり。米軍の運用に関わる事には口を挟めないからだ。


【駐留へ影響懸念】
政府内には米軍の安定的駐留への影響を懸念する一方、米側に何も言えないもどかしさも
のぞく。「当時者効力がない」。翁長雄志知事にそう批判されたことを受け、小野寺氏は
「これからも日本政府全体として安全な運航をするよう強く求めていく」と繰り返すのが
精いっぱいだ。
「年間の事故は30件以上。月2件以上という異常な状況だ」。9日、富川副知事は県庁に沖
縄防衛局の中嶋浩一郎局長と外務省沖縄事務所の川田司大使を呼び強く抗議した。
重ねて飛行停止を求める富川氏に、中嶋氏は「米側へ整備の徹底や航空機の総点検を働き
かけた」と防衛省の対応を説明した。

緊張で張り詰める副知事室。その時、県庁上空を「ばたばた」と音を立てて、オスプレイ
が通過した。

2018年1月10日水曜日

《読谷不時着ヘリ 訓練強行》県の中止要請を無視「防衛局、停止求めず」

《読谷不時着ヘリ 訓練強行》県の中止要請を無視「防衛局、停止求めず」
〈沖縄タイムス2018年1月10日1面〉


読谷村儀間の一般廃棄物最終処分場に8日不時着した米軍普天間飛行場のAH1Z攻撃ヘリは
9日午前7時20分すぎ、自力で普天間に戻った後、午後2時過ぎから7時までに少なくとも
4回の飛行を繰り返した。この日、うるま市与那城伊計島に不時着したUH1Yヘリを含む
普天間所属の全4種類の回転翼機は、本島北部を含む広い範囲で通常通りの訓練を強行。
県や読谷村が原因究明までの飛行中止を強く求めたが、米軍は完全に無視した形で、県
内では反発が広がっている。


沖縄防衛局は「米軍において所要の点検整備を行い、飛行しているものと認識している」
と容認しており、飛行停止を求める考えはないとした。
富川副知事は、事故後も変わらず米軍機が飛び続ける現状に「これが沖縄の実情だ。憤り
を通り越して無気力感しかない」と訴えた。県庁に外務、防衛両省の担当者を呼んで抗議
し、同型機の飛行停止を要求した。10日に上京し、日米両政府に抗議する。
村は原因究明までの普天間所属全機種の運用停止を防衛局に訴えた。処分場を管理する比
謝川行政事務組合は、現場から約70m離れた管理棟に当時3人の職員がいたことを重視し
「人命に関わる事故につながったかもしれない。許しがたい」と抗議した。
しかし、米軍はこの日、県や村の抗議を全く意に介さない形で普天間所属機を飛行させた。
不時着したUH1YとAH1Zの同型ヘリは午後0時20分ごろ、普天間を離陸した後、読谷村役
場近くの上空をそろって通過する様子が村役場から目撃された。名護市辺野古のキャンプ
・シュワブ周辺では午後3時前から2時間以上、UH1Yと8日に不時着したAH1Zが編隊で旋
回を続けた。CH53E大型輸送ヘリとオスプレイも訓練を繰り返した。
米軍は不時着原因について「テールローターのギアボックスで微小な電気的事象を検知し、
警告灯が点灯した」とし、ローター近くのセンサーを交換して安全に問題がないことを確
認したと発表した。着陸場所に関しては「搭乗員はできるだけ建物や人から遠く離れた場
所を選択した」と説明。実弾は積んでいなかったとした。


【知事批判「言葉を失う」】読谷村長「声明・財産守って」
米軍普天間飛行場所属のAH1Z攻撃ヘリが読谷村内に不時着した問題で、翁長知事は「言葉
を失う。日本政府も当事者能力のなさを恥ずかしく感じてもらいたい」と述べ、米軍と日本
政府を強く批判した。9日、県庁で記者団に語った。
事故を繰り返す米軍とそれでも、米側へ強く抗議しない日本政府に対し、「(問題が)たら
い回しにされる中で、沖縄問題が埋没する。憤りを感じる」と非難。その上で「悪い循環を
断ち切らなければいけない。日本の民主主義が問われている」と訴えた。
この日もAH1Zと、6日にうるま市伊計島へ不時着したUH1Yが、読谷村役場近くで飛行した。
原因究明まで全機の運用停止を求めている石嶺読谷村長は「度重なる事故が起きてわれわ
れが要請しても、米軍は一顧だにしない」と強い憤りを表明。

「日本政府に主権国家として、沖縄県民の生命と財産をきっちり守っていくことを改めて
訴えたい」と、主体的に役割を果たすよう政府に求めた。

2018年1月9日火曜日

普天間ヘリ また不時着

《普天間ヘリ、また不時着》読谷、観光ホテル近く「AH1 伊計島で撤去直後」
〈沖縄タイムス2018年1月9日 1面〉

読谷村儀間の比謝川行政事務組合一般廃棄物最終処分場敷地内に8日午後4時45分ごろ、米軍普天間飛行場所属のAH1Z攻撃ヘリ1機が不時着した。県警によると、乗員2人や住民、観光客らに被害はない。米軍は飛行中に不具合を示す警告灯が点灯したためと説明した。現場はホテル日航アリビラの敷地と道を挟んで隣接しており、住宅地から200~300mの距離。
6日にはうるま市与那城伊計島に普天間飛行場所属のヘリが不時着し、8日に撤去されたばかり。相次ぐ米軍機のトラブルに県民の不安や怒りは高まっている。
複数の目撃者によると、不時着機を含む2~3機の編隊が残波岬方面から陸地の上空を低空で飛び、うち1機が不時着した。村内で陸地の低空飛行は珍しい。
読谷村議によると不時着期は8日、普天間飛行場を離陸して嘉手納基地に着陸。午後4時20分ごろ離陸した後、異常の警告があったため旋回して南下したという。防衛省関係者によると米軍は9日早朝にエンジンテストし、問題がなければ午前7時半をめどに普天間飛行場に向け離陸する。
在沖米軍トップのニコルソン4軍調整官は午後6時半過ぎ、富川副知事に電話で「申し訳ない」と謝罪。富川氏は事故原因などの詳細をな説明を求めた。
県は在沖米軍が保有する全機の点検とその間の飛行停止を求めることを決めた。富川氏は9日、県庁に外務、防衛両省の担当者を呼び抗議する。米軍も県庁に呼ぶ方向で調整にはいいた。富川氏は10日に上京し日米両政府へ抗議する。
石嶺村長は相次ぐ米軍機のトラブルに「極めて異常事態だ、原因究明まで一切の米軍機の飛行停止をしてほしい」と憤った。村議会は9日午前9時に緊急の会議を開く。現場は2020年開業を目指す星野リゾートの宿泊施設予定地とも隣接しており、観光に与える影響に懸念が広がった。沖縄防衛局は8日、米軍に文書で抗議した。