2016年11月3日木曜日

土人発言に対する意見記事②

先日、琉球新報に安富歩氏の意見記事が載った。
安富氏のことはあまり知らない。今回のことが話題になるまで男性か女性かも分からなかった。そして安富氏と沖縄の関わりも辺野古や高江ヘリパッド建設に反対抗議行動との関わりも知らない。
ただ、安富氏のこの記事を読んで、「なんだこの記事は」と呆れてしまった。

500人に及ぶ他府県機動隊の高江警備配備とヘリパッド工事反対の抗議行動を行う市民への高圧的な他府県機動隊員の弾圧的警備、水面下での見えない暴力的な行為など、高江に限らず機動隊員と相対峙した経験のある人なら当たり前に分かる機動隊員の圧倒的暴力性は到底否定できるものではない。
他府県機動隊の職務と公務としての法的根拠も示さず、まるで戒厳令下の軍隊の如く振る舞うありさまに県民世論の他府県機動隊員への違和感と不信が高まり、他府県機動隊の沖縄への配備の手続きとその正当性が問題化した。
その度に県警や政府は機動隊の職務と行為の正当性を述べるだけで具体的な説明ができないまま、実力部隊である機動隊員の力による抗議行動の制圧を推し進めてきた。
その中で沖縄県議会9月定例会で沖縄県公安委員会と沖縄県警が槍玉に上がり手続き論と法的な根拠を問いただしたが県政与党のオール沖縄の議員は十分に攻め切れず、その隙を突いて県政野党の自民党議員が上手く公安委員会と県警本部長、委員会では県警警備部長の抗議市民の過激な言動や違法性を機動隊に都合よく説明した答弁を引き出し、機動隊の高江警備の正当性と抗議市民の一部の過激性を取り上げ抗議行動の分断を上手く演出した。
そのようなことを知っての安富氏の意見だろうか疑問だ。
辺野古や高江ヘリパッド建設に反対の県民世論は7割が反対であるが、その民意を具体的に示すのは選挙の結果でしかない。しかし、その民意による選挙結果も万全ではない。長い沖縄の反基地闘争で基地反対でも選挙の投票行動はこれまでも揺れ動いてきた。
高江の現場に多くの県民は各々の事情によりいけない人が多数だ。その分、距離感の温度差は当然でてくる。その微妙な民意に対して、高い意識を維持して現場に駆けつける抗議する市民と現場に行けない市民との分断を地道に工作している人たちもいる。そして基地推進派の自民党政治家もマスコミを使った風景作りに真剣だ。
その舞台の沖縄県議会で公安委員会と県警の言い分ばかりが正しいかのような風景作りに自民党は上手くやった。
その彼らに県警の言い分をアシストするかのような安富氏の「煽る」機動隊員を挑発して暴力を引き出せ作戦の推奨意見だ。県警の言い分にお墨付きを与えたかのような暴言でしかない。
高江の現場で物理的な圧力を受けながら身体を張って抗議行動している人の気持ちに寄り添おうとしない言動としか見えない。その机上の空論で唯一の後ろ盾の民意への悪影響さえ及ぼしかねない最低の識者意見だ。


以下、琉球新報の安富氏意見記事

非暴力の闘争で最も大事なのは、どうすればこちらが暴力を使わずに相手を挑発して暴力を使わせるかということ。
今回、この線から近づくなと言う警察に対し、抗議する人々が、金網を利用して挑発し、日本警察の本質を露呈させた。
「土人」発言という暴力を振るったことで警察は窮地に立たされている。
沖縄が今、考えるべきは、さらに挑発的な次のアクションをどう起こすかだ。
猛烈な差別構造があるからこそ、これだけの基地が沖縄にある。
今回の暴言は、その差別構造ばかりか大阪府知事の差別意識まで露呈させたのだから大成功だ。
もちろん、それが一般化し、「沖縄人は土人だ」という空気が広がる可能性もある。その場合、沖縄は独立せざるを得ない。
そのときに世界中がそれを容認し日本は威厳を喪失するだろう。だからこそ、ここが闘いどころだ。
大事なのは、闘いのアジェンダ(議題)を沖縄が設定すること。
権力の行為に反対する運動ではアジェンダを先方に握られているので敗北は必至。
常に沖縄が主体性を確保し、アジェンダを設定しなければならない。
今回の「土人」騒動は言い訳した大臣の発言が、また、火種をつくっている。
沖縄はかさにかかって権力者を挑発し、ばかなことを言わせ続け、次々に言い訳させて対応を迫るべきだ。できれば米政府、米軍、米大使をその渦に引きずり込む。
米国は人権を重視する国のはずだから沖縄人を土人呼ばわりする日本の警察に米軍が守られている状態をどう思うか、聞いてみたらいい。


0 件のコメント:

コメントを投稿