2018年1月11日木曜日

《名護市長選 2018.2・4「立候補予定者市場討論(上)》

《名護市長選 2018.2・4「立候補予定者市場討論(上)》
〈沖縄タイムス2018年1月11日2面〉


2月4日投開票の名護市長選を前に、沖縄タイムス社は立候補を予定している現職の稲嶺
進氏(72)==無所属、社民、共産、社大、自由、民進推薦==と、新人で前市議の渡
久地武豊氏(56)==無所属、自民、公明推薦==に、選挙の意義や辺野古新基地建設
問題、若者にアピールしたいことを質問し、文書で回答を得た。また新貝に聞きたいこ
とを質問し、それぞれ回答してもらった。2回に分けて紹介する。


【市長選の意義は】
「辺野古への審判問う」稲嶺進氏
「経済活性化を訴える」渡久地武豊氏


市長選の意義はーー
〈稲嶺氏〉
今回の選挙で一番の争点は辺野古新基地問題だ。市民を二分し、対立を生み続けてきた
問題に終止符を打つ。前回の選挙では自民党の国会議員、前知事の裏切りがあった。
SACO合意以来20年以上が経過したが、米軍の事件や事故は増え負担は増すばかりだ。
日米両政府は名護市民、沖縄県民の民意を顧みないばかりか、法的手続きも無視し工事
を強行している。安倍政権は強大な権力を振りかざして民主主義や地方自治を圧殺して
いる。私は辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない。名護市民の審判を問う選挙
にしたい。


〈渡久地氏〉
稲嶺市政8年で本当に市民生活が良くなったか。経済活性化がなされたか。そこが問わ
れる重要な選挙。この8年、経済振興に失敗しているのは明らか。今の名護市を見て中
南部、宮古島、石垣島のような好景気感があるかと問われれば誰もがNOというだろう。
また日本ハムファイターズは名護市のシンボルであり、地域活性化の大きな柱。稲嶺市
政の市営球場改修の決断が遅れたため、38年続いたキャンプは昨年から一部アリゾナに
映った。そのため名護市でのキャンプが大幅に短縮されたことは地域経済に大きな打撃
を与えた。


【選挙結果は辺野古基地建設にどう影響するのか】
「市民の最終的な答え」稲嶺氏
「家庭の話には答えず」渡久地氏


辺野古新基地建設に選挙結果はどう影響するか


〈稲嶺氏〉
相手候補は安倍政権(官邸)と自民党本部丸抱えの選挙を行っている。今回の選挙で辺
野古が唯一と繰り返してきた自民党候補者が3度敗れたら、完全にノックアウトだ。違
法な工事を強行する日米両政府に対して、県内、国内世論だけではなく国際的にも影響
が広がるだろう。
これまで辺野古新基地建設問題に関わってきた歴代知事、市長(名護、宜野湾)を含め、
誰一人として3戦を果たしていない。私の3選によって強固な名護市民の民意が示される
ことになるだろう。それが、名護市民の最終的な答えだ。


〈渡久地氏〉
辺野古移設については、現在、国と県が係争中であり、私は、この行方を注視している立
場。今回の選挙は、稲嶺市政8年間で本当に市民の生活が良くなったか、名護市の経済活
性化がなされたのか、そこが問われる選挙だと考えている。選挙結果については仮定の話
であり、予定候補者である私が発言することは、大変申し訳ないが差し控えたい。


【若者に何を訴えるか】
「新奨学金を創設」稲嶺氏
「雇用環境を整備」渡久地氏


選挙権が18歳に引き下げられから初の市長選。若者に何を訴えるか


〈稲嶺氏〉
子育て環境は県内トップクラス。待機児童は今年4月にはゼロになり、中学卒業までの医
療費は入院・通院も含め無料化を実現した。次は窓口での支払いがなくなるよう取り組む。
若者が保育士資格を取るための奨学金制度も作り、同時に保育士の待遇改善に力を入れる。
さらに、返済のいらない名護市独自の奨学金制度を創設し若者の夢を実現させる。
また、「ITイノベーション戦略センター」を名護市に誘致し、新たなビジネスチャンスも
作る。中南部にはない豊かな自然環境で生活できる名護市に誇りを持ってもらいたい。


〈渡久地氏〉
名護市の若者が安心して地元で暮らせるように、特に雇用環境の整備に力を入れたい。21
世紀の森公園および宇茂佐海岸のロングビーチ形成、そこを中心とした滞在型リゾートホ
テルを誘致したい。
名護漁港についても大型クルーズ船や那覇からの高速艇が寄港できるよう整備し、市街地
には若者が集える映画館やアミューズメント施設の誘致、また名護大通りの無料wifi化も早
急に整備したい。

《国、飛行停止逃げ腰》米へ整備要請止まり「県幹部、『主権国家なのか』」

《国、飛行停止逃げ腰》米へ整備要請止まり「県幹部、『主権国家なのか』」
〈沖縄タイムス2018年1月10日3面〉


うるま市伊計島、読谷村に相次いで不時着した米軍普天間飛行場所属のヘリの同一・同型
機が、9日も県内上空を飛行した。飛行停止を求める県や地元市町村の意向を無視する姿
勢に「全く県民の意向が伝わっていない」(県幹部)と怒りの声が噴出した。米軍に飛行
停止を求めない日本政府には「主権国家とは言えない」と冷ややかな見方が広がる。


【米軍ヘリ飛行継続】
「到底納得できない」読谷村に不時着したAH1Z攻撃ヘリが翌早朝に離陸するとの情報を
得た富川副知事は8日夜、在沖米軍トップのニコルソン4軍調整官に電話でまくしたてた。
だが、米軍は通告した午前7時30分より10分早く、当該ヘリを普天間飛行場へ飛び立たせ
た。


【米軍運用を追認】
この日、米軍はまるで事故がなかったように、激しく訓練飛行を実施した。県や地元市町
村の意向を一顧だにせず、事故機のAH1Zヘリに加え、オスプレイ、CH53E大型輸送ヘリ
を断続的に飛ばした。米軍北部訓練場や那覇市内でも飛行が確認された。
「このまま県民の意向を無視するなら、米軍は沖縄で訓練ができなくなる」。県民の意向
を無視する米軍に県幹部は不信感を強め、日米安保体制への影響に言及。事故を防げない
日本政府には全機種点検を政府の責任で実施するよう迫った。
これに呼応するかのように、防衛省は今回、在日米軍の全航空機を点検するよう米側に要
請した。防衛省関係者は「全機種の整備点検の申し入れは新しい点だ」と強調する。
だが、結局は飛行停止までは求めず「整備点検をしっかりしてほしい」(小野寺氏)との
要望どまり。米軍の運用に関わる事には口を挟めないからだ。


【駐留へ影響懸念】
政府内には米軍の安定的駐留への影響を懸念する一方、米側に何も言えないもどかしさも
のぞく。「当時者効力がない」。翁長雄志知事にそう批判されたことを受け、小野寺氏は
「これからも日本政府全体として安全な運航をするよう強く求めていく」と繰り返すのが
精いっぱいだ。
「年間の事故は30件以上。月2件以上という異常な状況だ」。9日、富川副知事は県庁に沖
縄防衛局の中嶋浩一郎局長と外務省沖縄事務所の川田司大使を呼び強く抗議した。
重ねて飛行停止を求める富川氏に、中嶋氏は「米側へ整備の徹底や航空機の総点検を働き
かけた」と防衛省の対応を説明した。

緊張で張り詰める副知事室。その時、県庁上空を「ばたばた」と音を立てて、オスプレイ
が通過した。

2018年1月10日水曜日

《読谷不時着ヘリ 訓練強行》県の中止要請を無視「防衛局、停止求めず」

《読谷不時着ヘリ 訓練強行》県の中止要請を無視「防衛局、停止求めず」
〈沖縄タイムス2018年1月10日1面〉


読谷村儀間の一般廃棄物最終処分場に8日不時着した米軍普天間飛行場のAH1Z攻撃ヘリは
9日午前7時20分すぎ、自力で普天間に戻った後、午後2時過ぎから7時までに少なくとも
4回の飛行を繰り返した。この日、うるま市与那城伊計島に不時着したUH1Yヘリを含む
普天間所属の全4種類の回転翼機は、本島北部を含む広い範囲で通常通りの訓練を強行。
県や読谷村が原因究明までの飛行中止を強く求めたが、米軍は完全に無視した形で、県
内では反発が広がっている。


沖縄防衛局は「米軍において所要の点検整備を行い、飛行しているものと認識している」
と容認しており、飛行停止を求める考えはないとした。
富川副知事は、事故後も変わらず米軍機が飛び続ける現状に「これが沖縄の実情だ。憤り
を通り越して無気力感しかない」と訴えた。県庁に外務、防衛両省の担当者を呼んで抗議
し、同型機の飛行停止を要求した。10日に上京し、日米両政府に抗議する。
村は原因究明までの普天間所属全機種の運用停止を防衛局に訴えた。処分場を管理する比
謝川行政事務組合は、現場から約70m離れた管理棟に当時3人の職員がいたことを重視し
「人命に関わる事故につながったかもしれない。許しがたい」と抗議した。
しかし、米軍はこの日、県や村の抗議を全く意に介さない形で普天間所属機を飛行させた。
不時着したUH1YとAH1Zの同型ヘリは午後0時20分ごろ、普天間を離陸した後、読谷村役
場近くの上空をそろって通過する様子が村役場から目撃された。名護市辺野古のキャンプ
・シュワブ周辺では午後3時前から2時間以上、UH1Yと8日に不時着したAH1Zが編隊で旋
回を続けた。CH53E大型輸送ヘリとオスプレイも訓練を繰り返した。
米軍は不時着原因について「テールローターのギアボックスで微小な電気的事象を検知し、
警告灯が点灯した」とし、ローター近くのセンサーを交換して安全に問題がないことを確
認したと発表した。着陸場所に関しては「搭乗員はできるだけ建物や人から遠く離れた場
所を選択した」と説明。実弾は積んでいなかったとした。


【知事批判「言葉を失う」】読谷村長「声明・財産守って」
米軍普天間飛行場所属のAH1Z攻撃ヘリが読谷村内に不時着した問題で、翁長知事は「言葉
を失う。日本政府も当事者能力のなさを恥ずかしく感じてもらいたい」と述べ、米軍と日本
政府を強く批判した。9日、県庁で記者団に語った。
事故を繰り返す米軍とそれでも、米側へ強く抗議しない日本政府に対し、「(問題が)たら
い回しにされる中で、沖縄問題が埋没する。憤りを感じる」と非難。その上で「悪い循環を
断ち切らなければいけない。日本の民主主義が問われている」と訴えた。
この日もAH1Zと、6日にうるま市伊計島へ不時着したUH1Yが、読谷村役場近くで飛行した。
原因究明まで全機の運用停止を求めている石嶺読谷村長は「度重なる事故が起きてわれわ
れが要請しても、米軍は一顧だにしない」と強い憤りを表明。

「日本政府に主権国家として、沖縄県民の生命と財産をきっちり守っていくことを改めて
訴えたい」と、主体的に役割を果たすよう政府に求めた。

2018年1月9日火曜日

普天間ヘリ また不時着

《普天間ヘリ、また不時着》読谷、観光ホテル近く「AH1 伊計島で撤去直後」
〈沖縄タイムス2018年1月9日 1面〉

読谷村儀間の比謝川行政事務組合一般廃棄物最終処分場敷地内に8日午後4時45分ごろ、米軍普天間飛行場所属のAH1Z攻撃ヘリ1機が不時着した。県警によると、乗員2人や住民、観光客らに被害はない。米軍は飛行中に不具合を示す警告灯が点灯したためと説明した。現場はホテル日航アリビラの敷地と道を挟んで隣接しており、住宅地から200~300mの距離。
6日にはうるま市与那城伊計島に普天間飛行場所属のヘリが不時着し、8日に撤去されたばかり。相次ぐ米軍機のトラブルに県民の不安や怒りは高まっている。
複数の目撃者によると、不時着機を含む2~3機の編隊が残波岬方面から陸地の上空を低空で飛び、うち1機が不時着した。村内で陸地の低空飛行は珍しい。
読谷村議によると不時着期は8日、普天間飛行場を離陸して嘉手納基地に着陸。午後4時20分ごろ離陸した後、異常の警告があったため旋回して南下したという。防衛省関係者によると米軍は9日早朝にエンジンテストし、問題がなければ午前7時半をめどに普天間飛行場に向け離陸する。
在沖米軍トップのニコルソン4軍調整官は午後6時半過ぎ、富川副知事に電話で「申し訳ない」と謝罪。富川氏は事故原因などの詳細をな説明を求めた。
県は在沖米軍が保有する全機の点検とその間の飛行停止を求めることを決めた。富川氏は9日、県庁に外務、防衛両省の担当者を呼び抗議する。米軍も県庁に呼ぶ方向で調整にはいいた。富川氏は10日に上京し日米両政府へ抗議する。
石嶺村長は相次ぐ米軍機のトラブルに「極めて異常事態だ、原因究明まで一切の米軍機の飛行停止をしてほしい」と憤った。村議会は9日午前9時に緊急の会議を開く。現場は2020年開業を目指す星野リゾートの宿泊施設予定地とも隣接しており、観光に与える影響に懸念が広がった。沖縄防衛局は8日、米軍に文書で抗議した。

《ヘリ 吊り下げ撤去》回転翼に異常「きょうにも基地内へ」

《ヘリ 吊り下げ撤去》回転翼に異常「きょうにも基地内へ」
〈沖縄タイムス2018年1月8日 1面〉


うるま市与那城伊計の海岸に米軍普天間飛行場所属のUH1Yヘリが不時着した問題で、
米軍が8日にも事故機をヘリコプターで吊り下げ、うるま市のホワイトビーチへ空輸す
る方針であることが分かった。7日、複数の防衛省関係者が明らかにした。緊急着陸し
た原因について米軍はメインローター(回転翼)の回転速度超過を示す警告が示され
たと沖縄防衛局に説明した。
1年前に伊計島の農道に新型攻撃ヘリAH1Zが不時着した際は整備後に離陸しており、
不時着機が空輸されるのは異例。早期の機体撤去が必要だと米軍が判断したとみられる。
米軍は7日午前8時ごろから事故機の燃料を抜き取り、メインローターと垂直尾翼のロー
ターをすべて取り外して現場から持ち出すなど撤去の準備を進めていた。沖縄防衛局に
よると米軍は8日は天候を見極めた上で空輸するかを最終判断する。
沖縄防衛局の中嶋浩一郎局長と伊藤晋哉企画部長は7日午前、伊計公民館に玉城正則自
治会長、うるま市役所に島袋俊夫市長を訪ねて昨年に続いて伊計島で米軍機の不時着が
あったことを謝罪した。
玉城会長は「いつどこで大事故になるか分からない。政府の窓口としてしっかり米軍に
言ってほしい。機体は早く撤去して」と訴えた。

島袋市長は米軍機の事故への懸念が住民に高まっていると抗議した上で、「米軍の整備
についてきつく問いただしていただきたい」と述べ、再発防止を国として強く米軍に働
きかけるよう求めた。

《沖縄 米軍機の腐食加速》海兵隊が機体循環計画

《沖縄 米軍機の腐食加速》海兵隊が機体循環計画
〈沖縄タイムス2018年1月8日 1面〉


米海兵隊当局が、沖縄やハワイの過酷な自然環境が米軍機の腐食を加速させているとし、
機体保護を目的に米本国の基地などと航空機の交換(ローテーション)計画を策定してい
ることが7日までに分かった。頻発する事故の背景に、老朽化や軍事費削減による整備体
制の悪化が指摘される中、海域に囲まれ塩害や強風など沖縄の自然環境も機体に影響を与
えていることを示している。沖縄の自然環境が機体に与える悪影響を米軍当局が認め、世
界的な規模で対策をとるのは初めてとなる。


【塩害や強風「環境過酷」】
海兵隊の年間基本運用計画を盛り込んだ米海兵航空計画2018の中で明らかにした。
海兵隊は、航空機交換計画について、「機体の劣化を加速させる沖縄やハワイなどの環境
下における時間を削減する」とその必要性を指摘。航空機のローテーション計画により、
機体の保護と整備時間の削減が可能になり、大型輸送ヘリCH53Eの追加整備などの削減に
もつながるなどと利点を強調している。
海兵隊当局は7日までに本紙の取材に対し、当局主導で現在策定中の同計画は、沖縄など
腐食が起こり得る厳しい自然環境下で運用されている軍用機を必要に応じて他基地配属機
とローテーションすることにより機体を保護するのが目的などと趣旨を説明した上で、
「米兵数や兵力構成を削減させる意図はない」と強調した。
一方で、機体の耐用年数など沖縄の自然環境が軍用機にどの程度の影響を与えているか、
具体的な腐食の現状については明らかにしなかった。

沖縄では昨年、老朽化の激しい大型輸送ヘリCH53Eなどの事故が頻発した。予算削減に
よる整備費不足に影響が指摘される中、事故の多発に歯止めがかからないことから、米国
防総省は事故原因と軍事費削減の影響などの関連性を調査していた。

2018年1月2日火曜日

《県、辺野古代替案に着手》新基地阻止向け検証「知事 3月訪米時発表へ」

《県、辺野古代替案に着手》新基地阻止向け検証「知事 3月訪米時発表へ」
〈沖縄タイムス2018年1月1日 1面〉


米軍普天間飛行場の閉鎖、撤去に向け、県が名護市辺野古の新基地建設に替わる独自案の
作成に着手したことが分かった。シンクタンクや研究者の案をベースに代替案を検証し、
2018年度前半の公表を目指し作業を進める。翁長雄志知事は新基地建設阻止を訴えるため
3月に訪米する予定で、この場で県の考え方の「骨格」を発表することも検討している。
普天間問題で県が代替案を策定すれば、県政史上初となる。


県などの関係者が明らかにした。県がベースにするのはイニシアティブ(ND)と、外交、
安全保障を研究する米ジョージ・ワシントン大学のマイク・モチヅキ教授らの案。共に在
沖米海兵隊のローテーションの変更など米軍の運用を見直すことで、辺野古新基地は不要
との結論を導き出している。
県は従前からモチヅキ氏と基地問題に関し意見交換しており、既にND関係者にも協力を求
めている。モチヅキ氏は1月中旬に来沖する予定で、県は代替案や米軍の運用に関し意見
交換する。
県は、米軍再編後に沖縄に残る第31海兵遠征隊(31MEU)を、在沖米軍が訓練で使用する
強襲揚陸艦がある佐世保基地(長崎県)へ移駐する案など、多方面から検討を進める。
県案決定後には米外交問題評議会(CFR)が発行する専門誌「フォーリン・アフェアーズ」
に投稿し、世界に向け県の考えを発信することも検討している。
県は以前から米政府監査院(GAO)が報告書で辺野古新基地の滑走路に関し「短すぎる」と
指摘している点に着目。今後、米軍にとり辺野古新基地は有用な施設なのか、という点も問
い直し、米国内での再検討や翻意を促したい考えだ。
これまで知事は一貫して代替案は日本政府が示すべきだとの姿勢を示してきた。だが、政府
は「辺野古唯一」の考えを変えず、民意を無視して工事を進めており、県から代替案を示す
ことで「辺野古以外」の議論を活性化させたい意向だ。
翁長知事は辺野古新基地建設反対を訴えて2014年12月に就任後、3度の訪米や国連演説など
を通して新基地建設阻止の考えを訴えてきた。ただ、県の反対の意思は伝わる一方、米側で
は「解決済み」との認識が広がっており、具体的な対案を示すことで新基地建設断念を日米
両政府に迫る狙いがある。


《普天間撤去へ一歩》運用見直し「辺野古不要」新外交イニシアティブ提言
〈沖縄タイムス2018年1月1日 3面〉


県が米軍普天間飛行場の閉鎖、撤去に向けた独自案の策定に動き出す。名護市辺野古への移
設作業を進める日米両政府に対し、「辺野古が唯一ではない」と一石を投じ、国内外の世論
を喚起する狙いがある。シンクタンク「新外交イニシアティブ」(ND)や、米ジョージ・ワ
シントン大学のマイク・モチヅキ教授、ブルッキング研究所のマイケル・オハンロン上級研
究員らは、代替施設の建設を必要としない普天間閉鎖案をまとめている。


新外交イニシアティブ(ND)の提言は、米軍の運用見直しにより名護市辺野古を含め、国
内に新基地を造らず米軍普天間飛行場の返還を可能とするもの。現行の米軍再編後、沖縄に
残る第31海兵遠征隊(31MEU、2千人規模)の拠点を沖縄以外に移すことで、辺野古に新た
な基地は必要なくなるーーとの内容だ。
31MEUは長崎県の佐世保にある海軍強襲揚陸艦に乗り込み、1年の半分以上の期間、フィリ
ッピンやタイなどアジアで実施される人道支援・災害救援活動訓練への参加を任務とする。
提言では、沖縄は海兵隊と船が合流する「ランデブーポイント」(落ち合う場所)でしかな
く、その役割はオーストラリアやハワイでも果たすことができると指摘している。
その上で、31MEUにとって重要なのは、舞台と船との合流の利便性だとし、31MEUの拠点
を沖縄以外へ移した上で、活動を支援するための高速輸送船を日本側が提供することを提案。
「辺野古新基地建設にかかる巨額な財政負担を転用することで、はるかに少ない費用負担で
普天間飛行場の返還が実現可能だとする。
また、31MEUが実施している人道支援・災害救助への自衛隊の積極参加を訴える。自衛隊の
能力を東アジアの人道支援・災害救助に生かすことで各国軍隊との連携を深め、安全保障環
境の改善に寄与すると指摘する。
さらに、海兵隊司令部が東アジアの地震や台風、干ばつなどの災害対策や各種訓練の「調整
役」を担う連絡調整センターを沖縄に設置することを提案。沖縄がアジア諸国の安全保障や
地域の緊張緩和に関する議論の場になることは、戦争で多大な犠牲を払ってきた沖縄の21世
紀にふさわしい姿だとしている。


【佐世保近くに事前集積艦】部隊は米本土から空輸「モチヅキ、オハンロン両氏の普天間閉鎖案」


モチヅキ、オハンロンの両氏は2013年、在沖海兵隊の5千~8千人を残した上で、大半を米本
土へ移駐し、数千人分の武器や弾薬、医療品などを搭載した「事前集積艦」を佐世保基地
(長崎県)の近くに新たに配備する案を発表した。普天間を閉鎖しても、アジア有事への即
応体制を維持できると強調している。
現行で沖縄の海兵隊員を1万人以上の規模で輸送する場合、空輸なら米本土の航空機の応援が
必要で、それとは別に佐世保の揚陸艦4隻で装備品を運ばなければならない。
両氏の案では、米本土の海兵隊員を航空機で直接アジア・太平洋地域に運び、完全装備を積
んだ事前集積艦と現地で合流する方が、時間を短縮できると指摘。
朝鮮半島への配備を1週間以内に完了できる、と利点を挙げている。
米軍普天間飛行場を閉鎖する一方で、沖縄本島北部の既存の基地内に適度な大きさのヘリポ
ートやオスプレイと関連要員を本土の自衛隊基地へ移転、有事や戦争の際に那覇空港まどの
滑走路を使用ーーといった条件を付けている。
日本は辺野古新基地を造る必要がなくなり、その経費で事前集積艦を導入すれば、米側から
の財政負担も減ることから「日米で経費を節約できる」と説明する。
また、辺野古移設では「問題を解決できない」として「政策立案者を新鮮な思考と断固たる
行動に向けさせる最後のきっかけになる」と呼び掛けている。


【海兵隊駐留「政治的事情」】専門家ら抑止力説否定
海兵隊がなぜ沖縄に駐留しているか。その理由について、日米両政府は抑止力や地理的優位
性などを挙げるが、政治家や専門家の間でも否定的な意見が相次いできた。国内に他の受け
入れ先がない、日本政府が見つけ出せないといった「政治的な事情」を指摘する声も根強い。
1996年に米軍普天間飛行場返還で合意したペリー元国防長官は2017年9月に沖縄を訪れ、翁
長知事と面談し、「われわれは沖縄県内への移設でなくていいと強くいったが、日本政府が
駄目といった」と説明したという。
沖縄タイムスの取材にも「(移設先が)必ずしも沖縄である必要はない」と強調していた。
当時の駐日大使だったモンデール氏は04年4月、米国務省付属機関に対し「日本側が在沖米
海兵隊の駐留継続を望んでいた」と振り返っている。
小泉純一郎首相は05年6月、沖縄の負担軽減を「全国民が考えなければいけない」としなが
ら「総論賛成、各論反対。自分のところには来てくれるなという地域ばかりだ」と素直に認
めた。
民主党政権だった12年12月、森本敏防衛相は退任直前の会見で、海兵隊の司令部、地上、航
空、後方支援の各部隊をまとめて配備できれば、沖縄以外への移転も可能との認識を示した。